第7話 〜我が『妹』と止まない『喧嘩』〜
「ン……ンン…。…眩しい」
太陽の光によって目を覚ます。
ついにボクも男になっちゃいましたよ。昨日のウズヒはマジにいままでで1番可愛かった!!
もう彼女にぞっこんですが何か?
ふと横を見てみると、
「あれ?居ない……」
ウズヒが居なかった。
「先に起きて下に降りたのかな?」
階段を降りて1階のキッチンに入るとエプロンを身に着けた彼女がいらっしゃいました。
「綺羅君、おはよ♪」
「お、おはよう」
気まずいよ…。彼女はそう思ってないみたいだけど、昨日あんな事した手前非常に話し掛けにくい。
「もう少しで出来るから座って待ってて??」
「う、うん。ありがとう…」
そう言って椅子に座る。
「??」
本当に少し(約30秒)くらい待つと彼女がハムエッグとフランスパンを持って来てくれた。
「ホントに早かったね?」
「早く起きたからね」
それはボクのせい?
「ごめん…。あんまり眠れなかった?」
「そういう意味じゃないの。たまたま早く起きただけだから」
「そう?」
「うん♪ 早く食べよ??」
ボクに気を遣ってか、笑顔で応えてくれる。もう少し上手く出来たらよかったな…。それなりに頑張ったんだけど。
「そういえば、昨日は満足さしてあげられなくてごめんね」
え??
「何で?」
「だって……。私が起きたときに大きくなってたから、満足出来なかったのかなって……」
それはどうしようもないかな…。
「そんな事ないよ!! 男なら皆そうなっちゃうもんだから気にしないで」
「そうなの?」
「そうなの。ウズヒのあんな声聞いて欲求不満なわけないじゃん♪」
「もう、バカ!!」
嗚呼、ボクのキャラが崩れていくよ……。
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もうすぐ昼になろうかという時間。今は2人でゆっくりしている。別にいちゃついてるわけじゃないよ? ただボクがソファーに座り、そのボクの膝の上に彼女が座っている。ただ、それだけの事。
……ごめんなさい。いちゃついてますね。でもウズヒがこの体勢が良いって言ったんだもん。しょうがないじゃん。
そういえば昨日の夜も思ったけど、何か忘れてる気がするんだけどな……。
その時…
『キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン』
チャイムが鳴った。
「誰だろ?? 私がでるね?」
「うん。お願い」
と言って軽くキスを交わす。いやぁ〜これまたウズヒの唇が柔らかいのよ。
スルーでヨロシク。
何を考えてたっけ? あぁ、何か忘れてるって話だった。家を訪ねて来た誰かのせいで忘れてたよ。
………誰か??
「あっ!!」
急いで玄関に向かう。決して良い状況ではない事は容易に想像出来る。
玄関に着くと…
「………」
「………」
「………」
最悪。案の定マズイ雰囲気で動けない。動いたら雰囲気に殺される気がする。でも男にはやらなきゃいけない時があるのだよ!!
「あ、あの…お二人さん? 中に入ろ? ね??」
「………」
「………」
中に入って行ってくれたのはいいんだけど、黙って行かないでよ……。怖いから!!
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あのまま雰囲気が変わる事無く時間が過ぎている。もういやだ。そしてボクは口を開きたくない。そして開く度胸も無い。
すると…
「この娘は誰なの? 綺羅君?」
ドスが効いてますねぇ〜。
「え?? あぁこの娘はね…」
「貴女こそ誰なのよ!?」
ボクに最後まで話させて下さい……。
「私は桜井太陽。綺羅君の許婚よ!!」
「許婚!? このHigh tech(ハイテク)な時代に何を言ってるの!? 嘘でしょ!?」
おぉ。ボクとまったく同じリアクションだよ。
「彼と同じリアクションをしないで!! それに嘘じゃないわ!! ね? 綺羅君??」
「う、うん。まぁ……」
「ホントなの!? でも、そんな事お母さんから一言も聞いて無いよ? お兄ちゃん??」
「お兄ちゃん!? この娘、綺羅君の妹さん!?」
「そうだよ。妹の亜梨香」
天領 亜梨香(テンリョウ アリカ)ボクの実の妹で、中学2年生。
特に母さんの血を色濃く受け継いだようで、容姿は基本的に母さんを幼くした感じ。唯一大きく違うのは髪の長い母さんに対して亜梨香は短くしている所だ。なんでもスポーツをするときに邪魔らしい。
彼女は中学のバスケットボール部に入っていて、2年生ながらチームのエースで次期主将候補。そんなところも母さんに似たのね……。
さらに勉強も出来て、それらを鼻にかけない性格のおかげでファンクラブまで存在するらしい。
何でボクのそばにはこう完璧超人ばっかり揃ってるのかな……。肩身が狭いよ…。
「私の質問にも答えてよ!!」
「ごめん、ごめん。母さんが言っていかなかったのは想像がつくでしょ?」
「こんな状況にするため??」
「たぶん」
「はぁ……。お母さんならやりそう…。まぁいいわ。亜梨香です。よろしくお願いしますね、ウズヒさん?」
「こちらこそよろしくね、亜梨香ちゃん♪」
よし、この雰囲気だ!! この雰囲気でいかなければ!!
「もうそろそろ昼ご飯の時間じゃない? 3人で食べようよ?」
「そうね。じゃあ私が作ってくるわ。2人はゆっくりしててね?」
「いいえ、私が作ります。ウズヒさんこそゆっくりしてて下さい」
あー…このままだと……
「いいのいいの。私が作るから!!」
「お客さんに家事をさせるわけにはいきませんから、私が作ります!!」
失敗??
「そんな事気にしないでいいのよ!? それにお客じゃないわ」
「お客さんじゃないですか!?とりあえず私が作ります」
何で2人共喧嘩腰になっちゃうのかな? 仲良くしようよ。
「ちょ、ちょっと!!喧嘩しないで。2人が一緒に作ればいいんじゃないの??」
ボクが仲裁に入ると……
「綺羅君(お兄ちゃん)がそう言うなら……」
うおいッ!! 久しぶりにボクの発言を素直に聞き入れてくれたよ!!
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今ボクの目の前には、そんじょそこらの家庭では見ることのできないいろいろな国の豪華フルコースが並んでいる。
おそらく2人が競い合ってこうなってしまったんだろう。今月の食費はどうなっちゃうのかな……。
「綺羅君食べてみて?」
「う、うん」
目の前にあるどっちが作ったのかわからない酢豚をたべる。
「美味しいよ」
「やった♪ よかった」
ウズヒのか。
「お兄ちゃん、こっちのクッパも食べて?? はい、ア〜ン」
「ちょ、ちょっと!! 何してるのよ!?」
これも美味しいな。っていうか、よくクッパなんて作ったね?
「どう??」
「うん、美味しい」
「次は私のグラタンを食べて??」
「それより私のハンバーグを食べてよ」
「次は私でしょ!?」
「私はお兄ちゃんが食べたい物を食べてもらいたいんです!!」
「じゃあ私の作った料理の方がいいじゃない!!」
もう……。いつまで喧嘩するの? ボク疲れてきたよ……
「お兄ちゃんはどっちを食べたいの!?」
「どっちも美味しそうだと思うけど??」
ここは逃げでしょ? ボクの中では敵前逃亡上等ですから。
「「それじゃダメ!!」」
逃げれませんでした…。
「じゃ、じゃあさ。お互いの料理を食べてみたら?」
「「え??」」
「ホントに両方とも美味しいから」
「…じゃあ少し貰うわね、亜梨香ちゃん?」
渋々ながらウズヒが亜梨香に了承をとる。
「はい。私も少し貰いますね」
亜梨香がそれに応え、それぞれ相手の料理を口に運ぶ。
「「………」」
「どう??」
互いの料理を食べた2人が一向に喋り出さないので、先を促す。
「「…美味しい」」
「でしょ? だから喧嘩しないで?」
全部ボクにとばっちりが来るから。仲は良い方がいいしね。
「わかったわ。亜梨香ちゃんごめんね」
「いえ、私の方こそ意地を張りすぎました……。ごめんなさい」
よし!! 助かった!!!!
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どうにか楽しい昼食をとって今は3時のティータイム中。
「そういえば何でお客さんじゃないんですか?? 遊びにきたんでしょ?」
「え……。いや…それは……」
「?? 私は此処に住まさせてもらってるからお客さんじゃないよ」
あちゃ〜。それを言っちゃいますか……。
「此処に住んでるんですか!? お兄ちゃん、ホント!?」
「本当だよ。もう2週間くらいになるかな」
「へぇ〜。そうなの」
あれ?
「何でそんな淡泊なの??」
「だってお兄ちゃんが誰もいない家に、女の人を呼ぶ度胸が無いことくらい知ってるもん」
……確かに。
「一緒に住んでてお兄ちゃんに変な事されませんでした?? 襲う度胸も無いでしょうけど」
「大丈夫よ♪ 一緒に寝てても襲ってくれなかったから」
「やっぱり。お兄ちゃんはヘタレですからねぇ〜」
一緒に寝てるって部分はスルーなんだ?まぁ喧嘩するよりいいけどね。
「………」
「………」
「………??」(←ボク)
「なんで一緒に寝てるんですか!!??」
おぉ神よ。ボクに平穏を与えたまへ。
結局その後、いろいろな喧嘩が終わったのは深夜になってからだった。
どうもakishiです。
最近無駄に長くなってしまってすいません……。
アドバイス等あったらよろしくお願いします♪