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第22話 〜『リムジン』と『睡眠薬』と『求刑室』〜

どうして人は夢をみるんだろうね。あ、今の『夢』は睡眠をとってる時にみる『夢』の事だよ?


何故こんな話から始めたかというと、ご周知の通り(?)前回酔っ払った母さんにカラまれたのが原因で悪夢に見舞われたから。動物が睡眠をとるのは疲れを癒す為なのに、夢見が悪かった所為で逆に疲れちゃったよ…。


まぁ、こんな話をしてもつまらないので……


「綺羅、そんなどうでもいい事を考えてないで、早くご飯を食べちゃいなさい」


母さん…朝一からエスパーですか? 日本の警察はこの人を見過ごしておいていいの? 人権侵害しまくりですよ?


「この力は貴方とあっくんにしか効かないから問題ないのよ」


いや…ボクにとっては最重要事項なんですけどね。一緒に朝ご飯を食べてるウズヒと亜梨香も全然助けてくれないし……


「ご馳走様でした。霞さん、私は部屋で出掛ける準備をしていますから」


「お粗末様。時間はまだまだあるから、ゆっくりでいいからね」


「ハイ♪」


ご飯を食べ終えたウズヒが笑顔を残して自室へと戻って行った。……もしかして見捨てられた?


「お母さん、私も時間だから学校に行くね」


「ええ。最近物騒だから気をつけるのよ?」


「うんっ♪ 行ってきます♪」


亜梨香もウズヒと同じ様に笑顔で出掛けて行った。まぁ予想出来た事だけどね。やっぱり悲しいよ…。

亜梨香はまだ中学生だから母さんの仕事は手伝わないらしい。年齢が関係有る仕事なのかな?


「じゃあ私も出掛ける準備をしてくるから洗い物はよろしくね♪」


「…ハイ」


「〜♪〜〜♪♪」


母さんまで鼻歌を歌いながら部屋に戻っちゃった…(因みに曲は《紅/X JAPAN》)。もう見捨てたとかいうレベルじゃないよ。こんな状況にした張本人が居なくなるんだもん。何、このグダクダ感? 誰か助けて!

……で、誰かが助けてくれる筈もなく洗い物を開始。別にいつもやってる事だから苦ではないけど何かツライ…。



しかし…本当にヤバイね。母さんは。スッピンでもAroundアラフォー40だとは思えないよ。

そりゃ、多くの女性はいつまでも若くいる事を望んでるみたいだし、その方がいいとは思うけど年相応の綺麗さっていうのも大事だよね? 絶対あの人はおかしいって。ドーピングだよ! ドーピング! そうじゃなかったら、あんな悪魔に魂を売って手に入れた様な若さを維持出来るはずが……


「綺羅♪」


あ、あれ? 何故か後ろから様々な感情が混ざったような威圧感が押し寄せてきてるよ? 誰か気の所為だって言って! 誰かぁーーー!!


「問答無用♪」


「うわぁーー!?」



その後母さんから粛正を受けました。本気で体が3つに裂かれるかと思った…。何が起こったかはご想像にお任せします。







 ・

  ・


母さんの粛正を受け、皆が準備を終えて家の外に出ると事前に手配してあったという社長用黒塗りリムジンが専属の運転手付きで停まっていた。


本物のリムジンなんて初めて見たよ…。なんで今まで乗せてくれなかったんだろう? みたいな感想を抱きながらも従順に車に乗り込んだ。だって母さんに睨まれたんだもん。

いろいろと言いたい事もあり…ませんが、とりあえずそれは置いといて。


賢と未来を迎えに行き、ボクと同じ様に驚きながら車に乗り込んで1時間。

車内に取り付けられた冷蔵庫に入っていたお酒を飲もうとした母さんを止めたり、『仕事に行くのやめて、このまま遊びに行く?』とか言い出した母さんを仕事場に向かうよう説得したりと散々な目にあいながらも何とか仕事場らしき前面ガラス張りの高層ビルに到着。っていうか何か問題起こそうとしてるの母さんばっかりじゃん! 貴女は子供ですか!? ……まぁお約束通り、思っているだけで口にはしてませんけどね。


「綺羅様、お考え事中申し訳ございませんが、社長はじめ他の方々は既に行ってしまわれましたよ?」


車を降りてそんな事を考えていると黒服の人(ごめんなさい。名前を知りません)が『コイツは何でこんな所で立ち止まってるんだ?』みたいな目で声を掛けてくれた。

そして周りを見渡してみると本当に誰も居ない。皆してもうビルの中に入ってちゃったみたい。


「す、すいません。ありがとうございました」


黒服さん(ボク命名)にお礼を言ってからウズヒ達が入って行った(筈の)建物へ走った。

遊園地へ行った時にもこんな事があったような気が……。そんな扱いばっかりだから、あんまり気にならなくなってきた自分が悲しい…。







 ・

  ・


なんとか母さん達に追い付き、そのあと『準備があるから』と言い残して母さんは何処かへと去っていった。

母さんが去っていった後は社長専属の美人秘書さんが《求刑室》と書かれた部屋に案内してくれたんだけど……ここでボク達は何をすればいいの? 罰を下さいって頼めばいいんですか? それとも死刑や懲役○年って言い渡されるのを待てばいいんですか? そんな疑問を思わず口にしてしまったら……


「あれは漢字の変換ミスに決まってんだろ? それくらい考えたら分かんだろうが」


と未来さんに怒られ(?)ました。そりゃボクだってそれくらいの事は分かりますよ。でも立場上色々ツッコミを入れたりしなければいけない状況もあるんですよ。そこにその言葉は結構キツかったり……


「き、綺羅君元気だして? 私も『此処は何の部屋なんだろう?』って思ったから。ね?」


ウズヒがそうフォローをしてくれるけど、君がそんなに慌ててる時点で大方嘘だって分かっちゃうからね? 心遣いは凄く嬉しいけどさ。


「ところで今日、私達は何をすればいいんだ?」


「あれ? 未来達まで何するか聞かされてないの?」


「……ああ。……俺は聞かされてない」


「って事は、お前らもまだ聞いてないって事か」


ん〜未来や賢まで知らされてないとは思わなかったな。車の中では聞けなかったけど、一息つけたらその時にでも聞こう思ってたのに……。あてが外れちゃったな。まぁどっちにしろ手伝うんだからその内分かるんだろうけど。


そしてそのまま雑談すること30分。もっぱら話すのは女の子2人で、ボクと賢は相槌を打つだけ。女の子同士ってホントよく喋るよね。個人的な差も有るだろうけど、やっぱりそんなイメージが有るなぁ。

でも、そんなお喋りは突然の終わりを……


「お待たせ♪ やっと準備が終わったわよ」


母さん、急に現れないで下さい。いきなりの登場で全員椅子から数cm飛び上がっちゃったし、ボクの話も途中だったから。


「これから4人はそれぞれ指定された部屋に行って、メイクしてもらってね?」


そう言いながら母さんがボク達にそれぞれ一枚の紙を渡す。ボクの紙には105、ウズヒの紙には113って書いてあるのが見えた。って言うか今はそれよりさ、


「あの……母さん? ボク達まだ今日何をするか聞いてないんだけど?」


「あら? そうだったかしら?」


その問い掛けにボク達4人は一斉に首を縦に振る。


「あらら。ごめんなさいね? 秘密にしてた方が後々ビックリするかと思って黙ってたら言うの忘れちゃってたわ」


ペロッと舌をだして謝る目の前のこの女性は本当に悪いと思っているのだろうか? 否! 絶対思ってない! どうせ『過ぎた事だし、しょうがないか』ぐらいにしか思ってないんだ。


「綺羅?」


「ごめんなさいごめんなさい!! 許してください!!」


恐らく思考を読んだのであろう母さんが此方を見たので、即行で謝った。ヘタレのいい所は今みたいな反応速度だよね。普段は絶対不必要だけど。


「えーっと……今日の仕事内容だったわね。赤川さん、説明お願い出来る?」


「はい、社長」


社長かあさんから話を振られた赤川さん(さっき此処まで案内してくれた美人秘書さん)が説明をしてくれる。


「本日アナタ方には我が社の発行している雑誌のモデルをして頂きます。普段は専属のモデルを起用するのですが、今回は特別号ということで社長直々に選ばれたアナタ方を起用させて頂く事になりました。衣装、メイク等は我が社で提供させて頂きますのでよろしくお願いいたします。もちろん全国区の雑誌なのでその点もご留意下さい」


「ま、そういう事よ。何か質問は有る?」


「あの……他の3人は分かるけどさ。何でボクも入ってるの?」


ボクはイケメンでもなければ美少女でもない(←当たり前)。兄妹でも母さんの血を色濃く受け継いでる亜梨香と違って、父さんの血をもらったボクは雑誌にモデルとして出られるような容姿じゃないし……。


「その事については私に考えが有るから大丈夫よ。他に質問はない? ……ないみたいね。じゃあそれぞれの控え室に移動して頂戴」








 ・

  ・


《求刑室》を出たボクは、控え室が2階にあるという賢と未来と別れ、ウズヒと共に廊下を歩いて自分の控え室を探している。


「でも急にモデルなんて驚いたなぁ。ウズヒは大丈夫? 無理してやらなくてもいいと思うよ?」


「ううん。私は前の学校に居た時に経験があるから大丈夫だよ。校内新聞とかでね。それに綺羅君と一緒なら何処に居ても同じだもん♪」


「まぁウズヒがいいんだったらボクは別に構わないんだけど…」


やっぱり前の学校では色々な場所に登場してたんだね。《校内新聞》も、たぶん一面をバーン!!って飾ってたんだろう。ウチの学校でも、この前そんな計画が進められてるって話を聞いたし。


「あと、全国に発売される雑誌なら『この男性ヒトは私の彼氏なので誰にも渡しません!!』って見せ付けられるしね」


いや、絶対逆の立場になるよね。全国の男性全員が『この美少女の隣に居るアホ面の男は誰だ!?』みたいな感じになるから。

あー…そういえば全国に発売される雑誌なんだよなぁ…。ウズヒ達は容姿端麗だから全然問題無いと思うけど、やっぱりボクは自信ないよ…。これは謙遜でも、自分を卑下してるわけでもない。自分の事をそれなりに分かってるつもりだからそう思う。今からでも母さんに頼んで辞退させてもらおうかな……


「…羅君! 綺羅君!!」


「え? ウズヒ…どうかしたの?」


「『どうかしたの?』じゃないよ。綺羅君の控え室って此処じゃないの?」


そう言うウズヒが指差すドアには《105》と書かれたナンバープレートが付いている。うん、確かに此処だ。


「ごめん。気が付かなかったよ」


「ふふっ。別に謝る事じゃないでしょ?」


「…ごめん」


「また謝ってる〜。まぁ綺羅君らしいけど♪ じゃあ私の控え室はもっと向こうみたいだから行くね?」


「うん。また後でね」


挨拶を交わした後、歩き出した彼女は直ぐ次の角を曲がり、姿は見えなくなってしまった。

独り残されたボクは扉と向かい合って考える。


(う〜ん……。今更『や〜めた♪』なんて無責任すぎるよね。多くの人に迷惑をかける事にもなるし……。うん、少しでも期待されてるんだったらやっぱり頑張ろう!!)


そう考え直し、『これから今日一日どんな出来事が待っていても一生懸命頑張っていこう!』 と意気込んで控え室に入ると……


「あら、綺羅君。思っていたよりも遅かったので心配しましたよ?」


ナツメ…さん……?」


そこには我が高校の美人保険医である沖原棗さんが居ました。棗さんの説明は要らないよね? 前にもしたし、キャラ紹介もあったので思い出せない人はそこで確認して下さい。


「綺羅君? どうかしましたか?」


「え…? あぁ何で棗さんが此処に居るのか考えてたんですよ」


『貴女の事を読者さん達に確認してました』なんて言える筈もなく、もっともらしい質問を口にする。我ながら中々上手い切り返しだと思う。……別に普通だね。特に上手くもなんともないや。


「私が此処に居る理由ですか? それでしたら霞さんに頼まれたからですよ」


「母さんに?」


「はい」


母さんが棗さんに? 2人って交友が有ったの? それより学校はいいのかな? それに頼まれたって何を頼まれたの? そんな疑問を投げ掛けると…


「私は昔霞さんに助けてもらいまして。だから恩があるんですよ。霞さんは『別に気にしなくていいのよ♪』と言って下さいましたが、それではいけないと思ったんです。だから今日は貴方専属のメイク兼スタイリストとして協力させて頂けるようお願いしたんですよ。恩を返すのに10年も掛かりましたが……。

あ、あと保健室は校長先生にお願いしたので心配無用です」


今の発言の中に色々聞きたい事が含まれてたけど、何より気になるのは校長先生のくだりだよ…。母さんに続いて棗さんにまで……。同情します。


「えっと…取り敢えず時間が少し押しているので、早速メイクを始めたいと思うので此方に座って頂けますか?」


「あ、はい」


彼女が座りやすい様にずらしてくれた椅子へと腰掛る。目の前には美容院などにある鏡が壁に掛けてある。へぇ〜やっぱりこういった感じでメイクとかするんだ。


「まずは髪のカットからなんですが…お飲み物はコーヒーと紅茶のどちらがいいですか?」


「あ、飲み物だったらボクが用意しますよ?」


棗さんにはこれからお世話になるんだから、ボクが用意すべきだと思ったんだけど……


「気にしないで下さい。私が勝手にしている事ですから」


「はぁ……。ならコーヒーを」


「分かりました。コーヒ−ですね」


頼んでからの彼女の動きは早く、あっという間に目の前には美味しそうなアイスコーヒー。そして、ちゃんとお礼を言ってから一口啜る。


「…うん。美味しいです」


「ありがとうございます。ではカットを始めますね」


そう言って彼女は近くのキャリーバックから、美容師の人達がハサミを入れる為のベルトを出して腰に巻き作業を始めた。その動きの滑らかな事! これからは毎回彼女に頼もうかと思うくらいに上手い。


「でも、棗さんにこんな特技があったなんてビックリしましたよ」


「そうですか?」


「ええ。いつもボク達は保健室での棗さんしか見てませんからね」


母さんと知り合いだった事にも驚いたけど。世間って意外に狭いんだね。母さんの交友が広いだけかも知れないけどさ。

普段の棗さんは保健室にやって来る生徒の人生相談に乗ったり、自分目当てにやって来る男子生徒の仮病を見破って(←自分目当ての事には気がついていない)やんわり丁寧に追い返したり…という印象しかない。

そんな彼女の姿を見て、将来は保険医になってもいいかな? なんて考え…た…り……? あ…れ? 何故か…急に眠気が……


「そろそろ眠気が出てきましたか?」


え…?


「すみません。先ほどのコーヒーに少々睡眠薬を入れさせて頂きました」


な…んで? そんな事を考えながら先程までコーヒーの入っていたグラスを見る。


「心配いりませんよ。貴方が目覚める頃には全て終わっていますから」


なに…が…? 何が…終わって…る…の? その疑問はボクの外に出ることはなく、頭、そして心の中で反芻するだけだった。 















そしてボクの意識は暗闇の中へ落ちていった。


akishi「………」


朱実「って喋れよ!!」


akishi「…感想沢山頂いたからさ、三日連続更新しようと思って頑張って書いた話をケータイにストックしておいたのに……」


朱実「おいたのに?」


akishi「…友達同士で喧嘩してたから、その仲裁に入った時にケータイを握ってて……」


朱実「で?」


akishi「…手を弾かれて、その拍子に握ってたケータイが飛んでって……そのままアニメみたいに水が入ったバケツの中へ『ポチャン♪』って」


朱実「そ、それは災難だったな(そんな事で待たされた読者はもっと災難だけど)」


akishi「………」


朱実「さ、作者もこんな状態なので今回はここら辺で…。更新が遅れてすいませんでした(なんで俺が謝ってんだ?)」


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