第19話 〜『伝説』と『観覧車』と『オトメゴコロ』〜
絶叫マシーン……主に遊園地に設置してある、もの凄いスピードで走行したり、高い場所から急斜面を滑り落ちたり、不規則な動きで搭乗者にスリルを与えるアトラクション。
ジェットコースター、フリーフォール、バイキング、東○ディ○ニーラ○ドのビッ○サ○ダー・マウ○テン、同所のス○ラッシュ・マ○ンテン、ナガ○マス○ーランドのホワ○トサイ○ロンetc...娯楽施設の発達した現代では様々な絶叫マシーンが存在する。
はっきり言おう。ボクは絶叫マシーンが好きじゃない。スピードが速いのは全然問題無いんだよ?出来れば1度はF1カーとか乗ってみたいしね。ただ、あの落下だけはどうしても我慢できないのよ。落下前に段々と斜面を登っていく恐怖も嫌だし、何より落下中の内臓が浮いてる感じなんてたまったものじゃない。という訳で、もうお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが今のボクの状態は……
「……気持ち悪い」
「ほら、お水もらってきたよ。飲める?」
「ありがとう、ウズヒ。貰うよ」
どうも、ヘタレな主人公:天領 綺羅です。2話続いての冒頭ノックダウンになってしまいました。そろそろボクの身も持たないかもね。
「まったく! 本当にお兄ちゃんは情けないんだから! 折角ウズヒさんが《あれ》に乗る前、『大丈夫?止めておいたら?』って確認してくれたのに、『大丈夫、大丈夫!』って人の忠告を聞かないからこうなるのよ」
「ごめん……」
確かにあの時、忠告通り止めておけば良かった。だけど、1人だけ乗らないのも空気が悪くなると思って頑張ったんだよ。……その結果がこれだけど。
あ、亜梨香の言う《あれ》とは《西強…》の人気アトラクションのひとつである《スパイラル・ミスト》っていう名前のジェットコースターの事。名前の由来は、宙返りが多くて螺旋階段を横にした様になっているのと、降りたときに目を回して目の前が霞んで見えるからだって(パンフレットより)。
「で、これからどうするよ?」←聖
「どうしようね。天領君もこんな状態だし……」←一条君
「ボクの事は放って置いて、皆は楽しんできて? ボクだって、もう高校2年生なんだから大丈夫だよ」←ヘタレ
『何が大丈夫なんだ?』とか『高校2年生にもなってジェットコースター位で酔うな!』とか言わないで!ていうか『←ヘタレ』って何!? 扱い酷くない??
「でも綺羅君1人を残していく訳には……」←ウズヒ
そう言いながらとても心配そうな表情でこちらを向くウズヒ。うん、ボクは本当に良い彼女を持ったね。
「だったら私が残る。それなら心配ないだろ?」←未来
「「未来が?」」←ウズヒ&ヘタレ
いきなりの発言に驚くウズヒとヘタレ……じゃない!! ボクはヘタレだけど、ちゃんと『綺羅』っていう明らかに名前負けしてる格好イイ(?)名前があるの!…っと今はそれより
「何で未来が?」←ウズヒ
「やっぱり飯を食いすぎたな。私もちょっと気分がよくねぇんだ」←未来
仰る通り、未来は昼食を沢山食べた(罰ゲームでボクの奢りだから)。恐らく他の人の約3〜4倍かな。これからジェットコースターに乗るのに、正直あの量はキツイ。まぁそれでもボクより平然としてるんだから脱帽だよ。それにあの量をその細い体に詰め込んだ事にもね。
「それとも何か? 賢が居るのに、私が綺羅を奪うとでも?」←未来
「ん〜それも無さそうだね。じゃあ、皆行こっか♪」←ウズヒ
軽ッ!! それでいいの!?……いいんだろうね。どうせボクと未来だし。
「………」←賢
「どうした、賢? お前は私達の事が心配か?」←未来
「……誰もお前達2人で間違いが起こるとは思わない」←賢
「?? それなら、どうした?」
「賢は『自分だけ楽しんでいいのか』って思ってるんでしょ?」←ヘタレ……改めボク
「何だ、そんな事を気にしてたのか?」←未来
「………」←賢
「それなら心配するな」
「……しかし」
「大丈夫だっつーの。あとで例の《伝説》を味あわせてくれるんだろ?それで十分だ」
「………」
「ほら、皆を待たしたら悪いからもう行けって」
「……わかった。……行ってくる」
そういい残して賢は先に歩き出していた皆の方へ駆けて行った。
「ふぅ…。じゃあ私達も行くか」
「そうだね。でも何処へ?」
「適当に座れる所を探そうぜ」
「ん〜。あ、あそこにオープンカフェが有るよ?あれは?」
そう言いながら100m位先にある建物を指差す。
「…まぁいいか。行くぞ」
「ちょっ…置いてかないで!」
……なんか変な感じだね。いつも隣に居るのはウズヒだからかな? 別に未来だから何、って訳でもないんだよ? 小学校からの親友だし、姉御肌だから何かと助けてもらってもいるし……
「おい! 何処行くんだよ!?」
「へ?」
うん。考え事してたら、いつの間にかカフェの前を通り過ぎてた。ボクのマヌケっぷりも、ここまでくると芸術だね。
《芸術は爆発だ!!》
……特に意味は有りません。
「…大丈夫か? 店に入るぞ?」
「あ、うん。オーケーだよ」
店内に入ると冷房が効いてて涼しい…というよりちょっと寒いかな。
「結構混んでるな。じゃあ私が飲み物を買ってくるからお前は席を取っといてくれ」
未来がカウンターの方へ行ったので空いてる席がないか周りを見回してみるが、さっき未来が言った通り人が多く、空いている席が無い。
(どうしようかな…。ここでずっと立ってる訳にもいかないし……)
そんな事を思いながら席が空くのを待っていると、ふと階段が視界に入ってきた。
(そういえば、さっき外から見た時、上にテラスが……)
自分の低すぎる記憶力を恨みながらも階段を上る。するとそこには日差しがキツイ為に敬遠されたのか、空いている席が幾つもあった。
「ふぅ。確かにちょっと日差しはキツイけど、耐えられない程酷くはないし大丈夫だよね?」
誰に語りかけるでもなく独り言を呟いていると、ある事に気が付く。
(未来に上に居るって伝えてないや…。しかも、何を飲むかって事も伝えてない……。でも、まぁ大丈夫だよね? うん大丈夫、大丈夫)
今度は心の中で自分自身に問い掛け、さらに自己完結までしてしまった。
そんな自分勝手な自己完結から待つこと5分……
「お前、此処に居たのかよ。上に居るなら居るって伝えろよな?」
未来が文句を言いつつ階段を上ってきた。でも、そのご意見はごもっとも。
「ごめん、ごめん。未来なら大丈夫だと思ってさ」
「何が大丈夫なんだ?」
「…さぁ? 何だろうね?」
「疑問に疑問で答えるなよ……。あ、お前はアイスコーヒーでよかったよな?」
「うん、ありがとう。いくらだった?」
「んな事気にすんな。私の奢りだ」
「でも……」
「いいって。昼飯はお前の金で沢山食わしてもらったし」
「……そうでした」
遠慮無しにドンドン食べてたもんね。たぶん、そんな飾らない所も未来が人を魅き付ける1つの要因なんだろう。だけど多少は遠慮してね?
「だから気にするな。ほら、飲めって」
「…ありがとう。未来は何飲んでるの?」
「私? 私はアップルティーだ。飲むか?」
「い、いや! いいよ! 遠慮しとく」
「?? 変な奴だな?」
ふぅ…危ない、危ない。もし貰ってたら間接キスする所だったよ(ストローで)。高校生にもなって、そんな事気にするなって? 相手が美少女だからしょうがないじゃん。幼馴染だけどさ。それに、もし賢に間接キスした事がばれたら殺されちゃうし。
でも、賢がウズヒと間接キスしてもボクは何もしないよ? 返り討ちにあうのが関の山だから。別に怒る程の事でもないしね。
「おい、1人で考え事するなよ。残された私はどうすればいいんだ?」
「ご、ごめん。そ、そういえばさっきの話だけどさ……」
「どの話だ?」
「未来が賢との別れ際に話してたやつ」
「あぁ、『伝説』の事か?」
「そう、それそれ。やっぱり未来達も狙ってたりする?」
「そりゃそうだろう。折角此処に来たんだからな」
《西強伝説》……由来は不明だが、《西強…》の開園当初から続くカップル用の伝説。
《西強…》ではナイトパレードの後に6〜8月の夏季限定で花火が打ち上げられ、その花火と連動して人気アトラクションの大観覧車が停止する(午後7時ちょうど)。その時に頂上で止まり(絶対1台が頂上で止まるよう設定されているらしい)、口付けを交わしたカップルは必ず結ばれる……だけでなく、何度生まれ変わっても恋に落ちて永遠を共にするという、何処まで信じていいのか分からない伝説。
……お願いだから、在り来りとか言わないで!実現可能な《伝説》なんて大体そんな物だから!!
「しかし、《伝説》を叶えられるのが1組だけってのは頂けないよな。運が良くても私達かお前達しかのどっちかしか選ばれない訳だろ?」
「確かにね。だけど確率は低くてもチャンスを貰えた事だけでも喜ばなきゃ。第一本当は此処に来るのだって葉書とかネットで応募して、さらにそこから抽選で選ばれなきゃいけないんだし。」
「まぁそうだな……。……あーもう、止めだ! 止め!! こんな事考えても上手くいくかどうかなんて変わりゃしねぇ。話題を変えようぜ? もちろん話のタネ出しはお前な」
「はい、はい。ん〜〜最近賢とは上手くいってるの?」
「……いつも近くで見てんだから分かるだろ?」
「あれ? 顔が朱いよ?」
「お前…殺されたいか?」
「ごめん、ごめん。で、どうなの? ボクの居ない所で昔みたいに『どうして私の考えてる事を分かってくれないんだよ!?』とか言ってない?」
その時本人達は勿論真剣だったんだろうけど、傍から見てるとドラマか何かのワンシーンを再現してる様にしか見えなかった。しかも、このご時世に人前(ボクだけしか居なかったけど)でそんな発言するのもねぇ。
「…よくそんな事を覚えてるな?」
「いつも仲直りの仲介はボクがやらされたからね。1つ1つの出来事を良く覚えてるよ」
「…心配するな。少なくとも私は上手くいってると思うぞ」
「そう。それは良かった」
2人が喧嘩すると1番被害をくらうのはボクだからね。世界中の皆さん《仲良き事は美しき事かな》ですよ。
「私達の事はいいが、お前達はどうなんだ?」
「ボク達は大丈夫だよ。喧嘩した事も無いし、もし喧嘩したとしてもボクが直ぐに謝れば済む事でしょ?」
「ふふっ♪」
「?? どうしたの?」
「いや、な。皆喧嘩する前はそう思うんだよ。でも、いざ喧嘩すると謝れなくなるんだ。自分の中で『謝らないといけない』って分かってても何故か上手くいかねぇんだよな、これがまた」
「経験者は語る、って事?」
「まぁな。だから何か有ったら私か賢に相談しろよ? ほんの小さな事が大きくなっていって最終的に別れる、なんて嫌だろ? しかも相手はあの《ミス謳歌》だ。もしウズヒがお前の下を離れていったら、あれ程の女は2度とお前の前に現れねぇぞ?」
「……そうだね。肝に命じておくよ」
「ん、それでいい」
ウズヒと喧嘩、か。もしする事があっても謝る自信は有るんだけどなぁ。まぁ喧嘩しないのが1番だよね。よし! 常にボクが下手にしてよう。…口に出したらウズヒに怒られるけど。
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「早く順番が来ないかなぁ〜♪ タ・ノ・シ・ミ♪」
未来とカフェに入ってから約1時間後、皆と合流して様々なアトラクションに乗り(絶叫マシーン有り)、《伝説》の時間が近づいてきたのでボク&ウズヒと賢&未来は他の皆と別れて観覧車の列に並んでいる。他の4人が居ない理由は簡単、自分達に《伝説》は無関係だからだって。たぶん今はナイトパレードが始まるのを待ってる頃だろう。
「早く回ってくるのもいいけどさ、あんまり早過ぎると頂上で止まらないんじゃない?」
「大丈夫だよ♪ ちゃんとリークしてきた情報通りの時間に並んだから」
「調べてきたの?」
「勿論♪ だって《伝説》の御利益も大事だけど、綺羅君とキス出来る口実が増えるんだもん♪ ちゃんと調べなきゃ♪」
「………」
後半、口実が何とか聞こえたけど聞こえないふりをする。
「無視しないでよぉ〜。……あ、今ナイトパレードが始まったって亜梨香ちゃんからメールが来たよ」
「じゃあ、あと30分もしない内に花火も始まるね。こっちは後どれ位で順番がくると思う?」
「20分位じゃないかな。心配しなくても私が集めた情報は確実だから大丈夫だよ♪」
「ねぇ、さっきから思ってたんだけどそれって何情報?」
「友達+ネット情報♪」
「友達?」
「うん。昔からのね♪ あ、男の子じゃないよ?」
「別にボクは何も言ってないけど……」
「綺羅君は顔に出過ぎだよ。私には綺羅君しか居ないんだから、そんな顔しないの♪」
ウズヒがそう言いながらボクの頬をツンツン突いてくる。……前にもこんな事なかったっけ? 気の所為?
「…お前達は大衆の面前でそんな事して恥ずかしくねぇのか?」
「恥ずかしくないよ♪ 逆に私と綺羅君の仲の良さを見せ付けられて嬉しいくらい♪」
「ボクは恥ずかしい……」
兎に角周りからの視線が目茶苦茶痛い。主に男の人から発せられる『お前みたいな野郎がそんな美少女とイチャついてんじゃねーよ!!』ビームが体中に突き刺さってる……気がする。でも、《伝説》が懸かったこの時間に観覧車の順番待ちをしているのはカップルばかりな訳で。目からビームを出せる(ウソ)人達も直ぐに彼女さんの方に向き直してくれた。
「綺羅の意見が普通だ」
「……同感」
「2人とも酷いよぉ〜。恋は人を盲目にしちゃう事を知らないの?」
「お前の場合は盲目じゃなくて見えてるのが綺羅オンリーなんだよ!!」
「エヘヘ♪ それほどでもあるかなぁ〜♪」
「認めんな! 褒めてもいねぇ!! それにその緩みきった表情を少しは締めろ!!」
全くですよ、未来さん。ボクが言うのも何だけど、今のウズヒの表情がめちゃめちゃ嬉しそう……と言うよりデレデレしてる。もしボクがウズヒと赤の他人で、そんな表情を見せられたら間違いなく一目惚れだろう。
「あれ? ジーっと私の顔を見てどうかした?」
「い、いや。何でもないよ。」
急に指摘され、急いで明後日の方向に首を捻る。
「……たぶん綺羅は君の顔が見たくてしょうがないんだろう」
「は!?」
今度は驚きの発言をした賢の方へと首を捻る。いやぁ〜ボクの首は働き者(首?)だね。忙しすぎて猫の手も借りたい、っていう切羽詰り過ぎた事を言う人位働いてるよ。……流石にそれは言い過ぎか。
「なんだぁ〜。それならそうと早く言ってくれれば良かったのに」
賢の発言に騙された(?)ウズヒはボクの顔を両手で掴み、女の子とは思えない凄い力で自分の方へ向けさせる。
「これで良く見えるでしょ♪」
満面の笑みでそう仰るウズヒには何も言えず、助けを求めて2人の方を見ても未来は呆れて何も言えない表情、賢は俯いて口元を緩ませていた。
それを見た瞬間にボクは自分に助け舟が出ない事を悟ったね。
〜そんなこんなで20分経過〜
係の人に誘導されて観覧車に乗り込み、向かい合って座る。
「ふう。やっと乗れたね」
「うん♪ 今何時?」
「6時55分だよ。ちょうど良い位じゃない?」
「少し早いかなぁ〜。もしかしたら次の未来達か、もっと後ろの人かもしれないね」
「まぁ、まだ希望は捨てないでおこうよ。ひょっとしたらボク達かもしれないんだし」
「そうだね。私達に回ってくる様に2人で祈ってよ?」
〜さらに3分経過〜
「………」
「………」
か、会話が無い……。始めの方はちゃんと喋ってたんだけど、この密室空間に緊張してきて上手く言葉が出てこなくなり(ボクが)、この状態になって早5時間(体感時間。実際は1分)。何とかしようと思えども、さっきからウズヒはずっとそとを見つめてるし……。
「……ねぇ綺羅君?」
「え? な、何?」
急にウズヒが振り返って話し掛けてきたのでうろたえるボク。実に滑稽だ。
「…そっち行ってもいい?」
「うん、いいよ」
「…ありがとう」
そう言いながらボクの左側に座り、彼女の右手がボクの左手を包み込む。そんな彼女のとても残念そうな、悲しそうな眼をしている。
「……もう《伝説》は叶えられそうにないね」
「…そうだね」
時刻は6時59分になったばかり。そしてボク達の乗り物の隣には大観覧車の中央に立つ柱。
「残念だけど今回は……」
『諦めるしかないみたいだね。』そう言おうと思った瞬間
『ガタンッ!!』
「キャッ!!」
「えっ? な、何?」
突然照明が落ち、乗り物が大きく揺れた。
「て、停電?」
「ううん、違うみたい。ほら、下の建物には電気が点いてるもん」
……さっき『キャッ!!』って悲鳴を上げた割にはいやに冷静じゃない?
『ガコッ……えー観覧車に乗っておられる皆様へご連絡をさせて頂きます。只今システムトラブルにより観覧車自体が全く動かない状態になっております。全力で復旧作業を行っておりますので、申し訳ありませんが今しばらくお待ち下さい』
「っていうことは……『ヒュ〜……ドン!!』…って事だよね」
「綺羅君、花火だよ! 花火!!」
「うん、凄く綺麗」
目の前には次々に打ち上げられる大きな花火。そして後ろを振り返り向くと、そこにはこの大観覧車を支える1番大きな柱。
「ウズヒ、後ろを見てみてよ」
「後ろ?……え? もしかして此処ってちょうど……」
「そう、頂上」
「じゃあ私達が《伝説》を叶えられるの?」
「そうなるね」
「………」
「ウズヒ?」
急に彼女が無言になった。何かまずい事言ったかな? とも考えたけど、生憎ボクのお世辞にも良いとは言えない頭じゃ原因となった発言を見つける事は出来なかった。
「今日は…今は…私からなんて嫌だよ? ちゃんと綺羅君から……してくれるよね?」
…そういう事ですか。んー…やっぱりオトメゴコロは難しい。それともウズヒだからなのかな?等と考えてみたりもする。
「ふぅ……」
兎にも角にもまずは自分の中に有る今はどうでもいい考えを払拭する。そして意を決し、彼女に近づいて肩に手を置く。
「………」
それに反応したウズヒも目を瞑り、同じく目を瞑ったボクの顔が彼女に近づいて唇が――重なった。
「ん……。……綺羅君?」
「何?」
「これからもよろしくね」
「うん、こちらこそ」
結局観覧車が動き出したのは1時間後だった。その間ずっとウズヒにキスを迫られてたのはここだけの話。
そして帰りの道中に未来から文句を浴びせ続けられた事は言うまでもない。
akishi「どうもakishiです」
朱実「どうも天領 朱実です」
akishi「さて、《遊園地編》も終わりましたが、いかがだったでしょうか」
朱実「最後が在り来たり過ぎたな。もう少し捻っても良いと思うんだが」
akishi「痛い所を突くね?文才が無いからどうし様もないのよ」
朱実「まぁそれならしょうがないな。ところでウズヒちゃんがちょっとイタイ娘になってか?最終的には自分から迫ってたし」
akishi「綺羅君一筋の感じが出てて可愛いんじゃない?それにもっと甘々な部分が欲しいとも思ってたしね。最後に迫ってたのは《伝説》とは関係無いから良いんだよ」
朱実「まぁ俺は読者の皆さんが良ければそれで良いんだけどな」
akishi「それは言えてるね。では、これからも皆さんのご期待に添えるよう一生懸命頑張っていきますので、」
akishi&朱実「よろしくお願いします」




