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第16話 〜『テスト』と『女教師』と『伊達眼鏡』〜

激闘の球技大会から早1週間と少しが過ぎ、学校全体の雰囲気も落ち着き始めた5月の終わり。

久し振りに主人公の座が戻ってきたボクは、日曜日の朝なのに自室にある勉強机でシャープペンシルを武器にして数学と格闘している。


「えーっと…Xに5を代入するとYが20になるから……」


『学生の本分は勉強である』と言われているせいで、どれだけ勉強したことを理解できているかを計るために行う、考えついた人を恨みたくなる定期テストと呼ばれる物が迫っているからだ。今回は一学期の中間テストなので、範囲が狭いのがせめてもの救いだね。




『コンコン』


「綺羅君入ってもいい?」


「うん、いいよ」


『ガチャッ』


「どう? 勉強ははかどってる??」


こちらも久々の登場で、ボクにとって許婚兼恋人であらせられる超絶美少女のウズヒさんです。


「まぁまぁかな。ウズヒは?」


「テスト範囲の勉強は終わっちゃったから私は大丈夫だよ」


「早いね…」


家に帰って来てからウズヒが勉強してるの見たこと無いのにな…。いつ勉強してるんだろう?


「ウズヒってさ、いつ勉強してるの?」


「え? 内緒♪」


内緒にする意味がわからない…。マズイ事でもあるの?


「まぁいいけどさ…。そういえばウズヒは前の学校でどれくらいの順位だったの?」


「ん〜大体1位か2位だったよ」


「え!? 本当に?」


「本当だよ♪」


あの日本でも数本の指に入る謳歌高校で1位か2位って…。どう考えても天才じゃないですか……。


「なかなか取れる順位じゃないでしょ? 凄いね」


「ありがとう♪ 寝る間も惜しんで一生懸命勉強したからね♪」


「何か理由わけがあったの?」


追い詰められた高校3年生ならテスト前に徹夜で勉強するかもしれないけど、高校1年生の娘がそんなに頑張らなくても…。


「テストでトップ争いする位の成績を残さないと《ミス謳歌》の候補にも入れてもらえない決まりだったの」


「へぇ〜。でも何でそんなに《ミス謳歌》に選ばれたかったの?」


ウズヒがそんな肩書を大事にしたり、求めたりするとは思えない。


「《ミス謳歌》に選ばれれば、綺羅君は絶対私の名前を耳にするってお母さんに言われたからね」


だけどボクは……というかボクだけがそれについて知らなかったんだよな……。


「…ごめんなさい。これからはもっと外からの情報を入れるようにします……」


「今一緒に居られるんだから気にしないで♪…って言っても綺羅君には無理か」


「すいませんね」


流石よくわかってらっしゃるよ。


「フフッ♪ いいえ♪ それより今は勉強しよっか? 私でよかったら教えてあげるから」


笑いながら許してくれて、さらに勉強を教えてくれようとする彼女には本当に頭が下がります。


「ありがたいよ。どうかお願いします、ウズヒ先生」


「先生……。あっ! ちょっと待っててね?」


と言って部屋を出ていった。何か余計な事言っちゃったかな。……少なくともただでは済まない気がする。

そんな風に軽く後悔していると…



「ジャーン♪ 《女教師 桜井太陽》参上♪」


…だそうです。基本的にいつものウズヒとの差は無い。唯一の違いは……


「この眼鏡どう? 女教師っぽいでしょ?」


「似合ってはいるけど…。ウズヒは眼鏡掛けてたっけ?」


「これは伊達眼鏡だよ。こんな事もあろうかと、前々から準備しておいたの♪」


こんな事って…と言おうとも思ったけど、本当に似合っているので言わないことにした。このままだったら何も起きないで済みそうだし。


「じゃあ、さっそく勉強を始めましょうねぇ〜♪」


すっかり先生気分なんですね…。









 ・

  ・


「…そうそう。だからそのグラフがこうなるでしょ?」


「あ〜そういう事か。だからここの答がこれになるのね」


ウズヒと勉強を始めて3時間。彼女の教え方が学校の先生よりも上手く、めちゃめちゃ捗った。


「うん。ふぅ〜……。一段落ついたし、少し休もっか?」


「そうだね。一度にこんな勉強したのは久し振りな気がするよ」


前のテストが1年生の学年末試験だったから3ヶ月振りかな。その時の結果は…聞かない方がいいと思う。別に特別悪かったわけじゃないんだけどさ。


「じゃあ、頑張った綺羅君にはご褒美を……」


「いや、遠慮しとくよ」


この反応を予想していたボクは顔を近付けてきた彼女の肩を掴み、今まで腰掛けていた椅子にもう一度座らせる。


「えぇ〜少し位いいじゃない。減る物じゃないでしょ?」


「いや、ボクの自制心とか精神力が減っちゃうから」


「なら好都合じゃない♪ ということで……」


「ストップ! ストップ!!」


掌を彼女に向かって突き出し、暴走を止めにかかる。


「しょうがないなぁ〜。なら、教えるのを頑張った私にご褒美頂戴?」


人差し指を顎にあて、首を傾げながらボクにそう聞いてくる。

クッ……めちゃくちゃかわいい上に教えてもらった手前、非常に断りづらい。


「…そう言えばボクが断れない事を知ってて言ってるでしょ?」


「うん♪」


『うん♪』って素直に認めちゃいましたよ! しかも飛び切りの笑顔で!!


「してくれないの…?」


彼女の残念そうな表情は未だに演技なのか素なのかがわからない。たぶん、一生わからない事の1つにダイナミックエントリーだな。…意味が不明だけど。


「ハイハイ、わかりましたよ。教えてもらったのは事実ですからね」


嫌々を装っているけど、実際はそんな嫌なわけじゃない。というよりも、寧ろこんな美人の彼女とキス出来るのは嬉しい。……ボクって変態ですかね?



「では許可も下りたので……ん〜♪」


ボクの頭をがっちりホールドしながら彼女の顔が目の前に迫ってきて、唇が重なった。


(これって半分襲われてる? あ、でもOKした場合は襲われている内に入らないのかな?)


とか考えていたら……


「!?」


ウズヒの舌がボクの口の中に…。しかも動きが激しくて……


「……ン! ンン…!!」


抵抗しようとしても、頭をホールドされている為に全く抗えず、逆に彼女の舌使いが激しくなる。


「……ゥン…ン…!」


そんな彼女の悩ましい声と、呼吸が満足に出来ていない事からくる息苦しさに、理性が飛んでしまいそう……。


「……ン…ン。………ハァ…ハァ…」


流石にボクが苦しそうだったのか、頭を掴んでいた手をボクの首の後ろにまわし、顔を少しだけ離してくれた。


「……ハァ…途中からのってきてくれてありがとね♪ 嬉しかったよ♪」


……そうなんです。一瞬だけ理性が飛んじゃって、本能に全てを任しちゃいました。


「ねぇ綺羅君?」


「何?」


「このまましちゃおっか?」


何を……って所謂にゃんにゃんだよね?ウズヒの表情が軽く紅潮していて色っぽく、色々とヤバイ。


「でも亜梨香が居るし……」


「亜梨香ちゃんなら、さっき友達と出掛けたよ? 知らなかった?」


「……マジ?」


「マジ♪」


我が妹ながらなんてタイミングのいい…いや、違う違う。なんてタイミングの悪い……


「ねぇ、しようよ♪ 家で2人きりなんて久し振りなんだから」


「そうだけど…」


「何で嫌なの? するのが嫌い?」


「ボクも男だし、そういう訳じゃないんだけど…」


「もしかして胸の大きい娘が好みだった? 私はあんまり大きい方じゃないからしたくない…?」


「……何故そうなるの?」


「何となくそんな気がしたから」


いつの間にそんなイメージが出来上がったんだろ…。そんな事を言った覚えも無いし、そういうわけでも無いから理由が全く不明だよ……。


「そんな事は関係ないよ。するとしたらボクはウズヒとしかする気は無いからね。ボクの好きな人はウズヒなんだから」


他にボクを相手にしてくれる女性も居ないだろうし。あ、別に変な意味じゃないよ?



「綺…く…いよ?」


「え?」


声が小さ過ぎてよく聞こえなかった。


「……ちょっとこっちに来てくれる?」


椅子から立ち上がったウズヒにそう言われたので近づいていった。すると……


「………」


『ダンッ!!』


「…ゥワッ!!」


机の近くに置いてあるベッドに押し倒された…。普通は立場上、逆だと思うんだけどな。まぁ男女同権の時代にそんなの関係ないか。っとそんな冷静に現状を分析してる場合でもなかったね。



「ウズヒ?」


「綺羅君、酷いよ?そうやって私の心は持っていくのに、体は持っていってくれないんだもん。私…おかしくなっちゃいそうだよ。」


「……ごめん」


「してくれないならそんな事言わないで。期待しちゃうでしょ?」


「…ハイ」


「他の高校生のカップル中には毎週、休みになる度に愛し合ってる人達もいるんだよ?それが恋人同士の全てじゃないとは思うけど、お互いの体温を感じるのも大事だと思うの。OK?」


「……OKです」


「じゃ早速♪ まずはこの邪魔な服を……」


服は人類がした偉大な発明ですよ? それを邪魔って言うのは……。それに攻められてるけど、ボクはマゾじゃない! 特殊なプレイなんて望んでない! ……まぁいいか。彼女がする行動はボクの事を考えて気遣ってくれてる証だと思うし、ありがたいとも思うから。



「あ、眼鏡外した方がいい? それとも掛けてた方が萌える??」


「……どちらでも」


「なら着用で♪」


前言撤回。彼女にも色々あるんでしょうね。少しはボクの事を考えてくれてる…と思いたいけど。










 ・

  ・


「ハァ……」


ダイニングにあるテーブルに突っ伏しながら溜め息をつく。

疲れた…。もう精も根も尽きたって感じ。すぐお風呂に入ってすっきりして、寝ちゃいたい。



「夕ご飯作っちゃうから、少し待っててね?」


「うん、お願い」


「飛びっ切り美味しいご飯作るから♪」


にゃんにゃんした後から、何故かウズヒさんがずっと笑顔なんですが……。喜んでくれるのは嬉しいんだけどさ、ほら、こう…何故疲れてないの? とか、してる時に何であんな事したの? とか色々と疑問がね…。

あんな事…とてもボクの口からは言えません……。ご想像にお任せします。



「綺羅くーん! ちょっとこっちに来てー!!」


そうウズヒに呼ばれたので台所に行くと……


「あれ?」


ウズヒが居ない。確かに呼ばれた筈なのに…。


「綺羅君?」


そう背後から話し掛けられたので振り向…『ガシッ!』…こうとしたら後ろから抱き着かれた。


「う〜ん、綺羅君あったかい♪」


「あったかいって…。もうすぐ夏だよ? あったかいってよりも暑くない?」


「綺羅君の温もりが暑いわけないじゃない♪」


暑いものは暑いと思うんだけどな。まぁ感覚は人それぞれだから仕方ないか。


「ほら、さっきまでずっと抱き合ってたでしょ? それにご飯の用意もしないといけないから離れようよ、ね?」


「ならキスして? もちろん激しいやつで♪ あ、でも最後までは駄目だよ? 亜梨香ちゃんから『もうすぐ家に着きます。』って電話が掛かってきたからね」



『じゃあしなきゃいいじゃん。』とは思っていても言えない。『してくれなきゃ泣いちゃうよ?』と彼女のが語っているから。



「しょうがな……!?」


『しょうがないな。』と言いながら振り返ったら、即唇を重ねられた。『キスして?』って言ったのに、結局ウズヒからになるんだね。

と、そんな事を考えていると…



「ただいまー!」


「「!?」」


亜梨香が帰ってきた。



「ただいま…って、お兄ちゃん? キッチンで何してるの?」


「いやぁ〜。最近お腹周りに脂肪が付いちゃってさ。腹筋だよ! 腹筋!!」


「それは見ればわかるけど……。こんな所で?」


「1人は寂しいからね」


「……そうなの。あ、ウズヒさん。早く着替えて手伝いますね」


「ごめんね。お願い出来る?」


「はい。お兄ちゃん、あんまりウズヒさんに迷惑掛けちゃ駄目だよ?」


と言い残し、亜梨香は自分の部屋に向かっていった。どうにかごまかせた…と思いたい。



「普通のキスで終わっちゃって残念だったね?」


「……そうだね」


正直な所、ボクはそれで十二分なんだけど。


「もう、綺羅君のエッチ♪」


絶対に理不尽だよ! どう考えてもウズヒが言い出したんだし! 等とヘタレのボクが言える筈もなく、心の中でそう叫びつつ、女性が…と言うよりも、ウズヒが眼鏡を掛けるといつも以上に積極的になる事を痛感しながら一日が過ぎていった。














結局《女教師 桜井太陽》はテストが終わるまで登場し続け、ボクの精神力は主に例の《ご褒美》でボロボロになっていった(でも、亜梨香が居たので最後までは自重してくれた)。まぁ回復してくれたのも《ご褒美》だったんだけどね。

因みにテストの結果は、ボクが6××人中50位。ウズヒが1位で、賢が2位、未来が3位だった。


作者「どうもakishiです。まずは今回から作者のお相手をしてもらう事になった朱実君です。どうぞ〜〜」


朱実「どうも、天領朱実です」


作者「では早速本題に……」


朱実「おい、ちょっと待てよ!」


作者「今頃キ〇タク?流行らないよ?」


朱実「違う!最初に俺が今回から登場する事になった理由を説明しろよ!」


作者「わかったよ。前々から対話型式の後書きにしたかったんだけど、本編によく登場する人はあんまり呼びたくなかったんだよね。そこに打ってつけの君が現れたから…ってわけなの。OK?」


朱実「ああ。しっかし、この小説に登場する女性陣は積極的過ぎねぇか?」


作者「君と綺羅君がヘタレ過ぎるからだよ。それに君達もいい思いしてるじゃん。君の場合、もし霞さんが積極的じゃなかったら付き合うなんて出来なかったでしょ?」


朱実「うぅ……」


作者「どうせプロポーズだって彼女からなんじゃないの?」


朱実「違う!プロポーズはきちんとしたわ!!」


作者「そうなの?まぁどっちでもいいけどね」


朱実「いいのかい!!」


作者「……」


朱実「無視するなよ!」


作者「……只今番外編で書いてほしい登場人物を募集しています。ご希望がありましたら、メッセージ等頂けたらありがたく思います」


朱実「俺をシカトして話を進めるな!」


作者「…次回も宜しくお願いします。では……」


朱実「おい!勝手に終わるな!!…最初の回でこの扱いは無いぜ…」


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