第10話 〜親友の『爆笑』と『スポーツテスト』〜
すがすがしい朝、ボク達3人はTVを見ながら朝ご飯を食べている。
『次のニュースです。先月に引き続き、福〇内閣の支持率は下がり続け……』
また下がってるよ……。このままじゃ、海パン履いて踊ってる芸人と一緒に今年中には消えちゃうよ…。
「お兄ちゃん?? 早く食べないと学校に遅刻しちゃうよ? 今日はスポーツテストなんでしょ??
ウズヒさんはもう上にあがって行ったよ」
いつの間に!?
「ヤバッ!! 急がなきゃ」
そう。今日はスポーツテスト(正式名称¨体育運動能力調査¨……だった気がする)がある。
ボクはそんなに運動は得意って訳じゃないけど、学校が半日で終わって帰れるのがとても嬉しい。
そんな事を自分の部屋で考えながら着替えていると……
『キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン』
「お兄ちゃ〜ん!! ウズヒさぁ〜ん!! 未来さんと賢人さんが来たよぉ〜!!」
2人とも来るの早いよ!! ってボク達が遅いのか……。
『コンコン』
「はい」
「入ってもいい??」
ウズヒか。まぁ他に来る人も居ないね。亜梨香はさっき来たし。
「いいよ」
『ガチャッ』
「どうしたの?」
「どうもしないよ。……ただ最近キスしてないから、学校行く前にしたいなぁ〜って」
何故このタイミングで?
「え…でも2人が待ってるし……」
「したいなぁ〜って」
「急がな……」
「したいなぁ〜って」
「……わかりましたよ」
この娘は言い出したら聞かない。……ボクに対してだけ。ボクが最後には折れるってわかってるから。
「これで満足して頂けましたか??」
「うん。続きは帰って来てからね♪」
それは勘弁してほしい……。
玄関に着いたら、賢と……人を小ばかにしたような笑顔を湛えた未来が待っていた。
「おはよう♪」
「おはよう。賢、未来」
「……ああ」
「ククッ。おはよう、お熱いお2人さん」
「「??」」
「さっき綺羅の部屋でキスしてただろ??」
「!!」
「なんで知ってるんだよ!?」
「賢と一緒にじっくりと会話を聞かせてもらったからさ。なぁ、賢?」
「賢人君、そうなの??」
「……ああ。……だが気を悪くしないでくれ。……2人を迎えに部屋へ行った時、廊下で偶然聞いてしまっただけなんだ」
「でも未来のこの反応は……」
アニ〇ル浜口もびっくりなくらい大爆笑してるし……。
「ワリィワリィ。ただ気を使って雰囲気を壊さないようにそのまま私達は下に降りて来たんだぜ?」
「だからって……」
かなり恥ずかしい。
「まぁいいじゃない。今度は賢人君と未来のキスシーンを私達が目撃しちゃえばいいんだから♪」
「……そうだな」
見られてもいいのかい!!
「まぁ私達は人前でキスなんかしないから大丈夫だな」
「へぇ〜。じゃあ人前じゃなきゃ、賢人君とキスするんだ?」
ナイス反撃。未来の顔がすっごい朱くなった!!
「そ、それは……」
「「それは??」」
「……もう学校へ向かおう。……早くしないと遅刻するぞ?」
「そ、そうだ!!は、早く行くぞ!!」
……上手くはぐらかされた気はするけど、時間も危ないから行くか。
「賢、ごめん……」
「……気にするな。……これからは自分で墓穴を掘るなよ?」
「ああ…。気を付けるよ」
なんだかんだ言って、この2人はいいコンビなんだよ。
……ボクにとばっちりさえ飛んで来なければね。
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「よぉ〜し。皆揃ったな」
学校に着き、体操服に着替えたボク達は今、グラウンドで先生の話を聞いている。
「これから2人1組になって、それぞれいくつかの競技をしてもらう。
1年の時にもやったからわかるな。質問はあるか?」
誰も手を上げなかったので、そのまま解散となり各々がパートナーを探し始める。
「さて、誰と組もうかな」
賢と未来はセットだろうし、ウズヒは……あっちで人混みの中心にいる。
「桜井さん、俺と一緒に回ろうよ?」
「いや、僕と回ろう!!」
「何をおっしゃっているのですか?私と回るに決まってるでしょう??」
来たね、安藤B。
「ごめんなさい。先約があるから……。また誘ってね?」
先約があるのか。じゃあどうしようかな。
「綺羅君、行こっか?」
「え??」
「いいから♪」
ボクは約束なんてした覚えは無いけど……。
「どこから回りたい?」
「その前にボクは約束なんてしてないよ?」
いつの間にか約束してたとか? 例えば…寝言とかで。
「え??あぁ、その事? 私が行動するときは綺羅君と一緒に決まってるじゃない♪」
「はぁ…そうですか……。ボクの意思は関係無いのね…」
「そんな事無いよ。嫌だったら別の男の子と回るよ? それでいいの?」
ウズヒがボク以外の男子と一緒に歩いてる……。
「……嫌」
「でしょう? だから文句言わないの」
「…はい」
そりゃボクだってヤキモチの1つや2つ妬きますよ!!
「まずは体育館に行って、未来達と合流しない?? さっき体育館に行くって言ってたから」
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あの後、体育館で賢達と合流したボクとウズヒは反復横跳び、長座体前屈、幅跳び、上体起こし、握力測定をやった。
ボクは大体10点満点中7、8点だったので、そこそこだと思っていたら……。
「どうだった? 私はオール10点だったぜ」
「私も♪」
「……同じく」
マジですか!? ボクが計測してたから、ウズヒが全部10点なのは知ってたけど……。
「綺羅はどうだったんだ??」
「え? ボク??」
「ああ。まぁ見せてみろよ」
と言って、ボクの手から記入用紙を引ったくる。
「プッハハハッ!! なんだよこの微妙な点数!! どーせ取るならもっと低い点じゃないと笑いも取れねーぞ??」
大爆笑してるのは誰ですか!?
「別に悪い点数じゃないと思うけど?」
「……ああ。……あいつは分かってて笑ってるんだ。……承知していると思うが、毎度の事だから気にするなよ」
付き合いは長いから分かってるけど……。
「それにしても笑いすぎじゃない??」
「……そうだな」
自分が女の子(しかも容姿が抜群)って自覚があるのかね……。
「ハァ…ハァ…。笑いすぎて苦しい…。次は外の競技だな。少しはいいところを見せてくれよ、少年」
貴女達が近くにいたら、どんなに頑張っても低く見えちゃいますよ!!
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・
「さて何から始めるんだ?」
「ん〜グラウンドではハンドボール投げ、持久走、50メートル走をするみたいだよ?」
「じゃあ1番疲れる持久走を最後にして、先にハンドボール投げか50メートル走に行かない?」
「……なら空いているハンドボール投げだな」
というわけでハンドボール投げに決定。
順番は賢→未来→ウズヒ→ボク(未来が無理矢理決めた)になった。
「まずは賢。あっさり10点取っちゃえよ?」
「……ああ」
賢の第一投(あ、1人につき2回ね)は……
「ただいまの記録、53メートル」
おいおい……。さっき野球部が投げて36メートルだよ?
「いいぞ〜、賢」
続いて第二投……
「ただいまの記録、55メートル。」
「「「「オォ〜!!」」」」
周りの生徒からも驚きの声が上がりましたよ。
去年の記録よりだいぶ上がったんじゃないかな?去年はこんなにヤバくはなかった。
「次は私だな」
未来の第一投は36メートル、第二投は35メートルだった。
同じくウズヒは36メートルと37メートル。
もちろん2人とも10点満点でした。
「次は綺羅君だね。頑張って♪」
まぁ、やれるだけやってみますか。
第一投……
「リャァァァ!!」
「……ただいまの記録30メートル」
あれだけ大きな声出したのに……。恥ずかしい……。
「もう1回あるよ〜。頑張って〜」
「ハハハッ!! なんだよあれ」
未来…本当に傷つくよ……?
……気を取り直して第二投
「リャァ!!」
オッケイ!! 手応え有り!!ってそっちは………
『ザバッ』
大ファールの位置にある、バスケットボールのゴールに入っちゃった……。
しかもその下には……
「天領……よくも俺の頭にクリーンヒットさせてくれたな……!!」
「ちょ、今のは不慮の事故……」
「問答無用!!」
ヤバッ…逃げなきゃ!!
「ハハハハッ!! あいつ最高!!」
「綺羅君、大丈夫かな……?」
「……たぶん」
「おい、天領綺羅がごりせんに追い掛けられてるぞ!!」
「マジか!? この前は逃げられたからな。野郎共全員で追い掛けるぞ!!」
「「「「オォーー!!」」」」
ちょっと待ってよ!!軽く100人超えてるし!!
「「「「待てぇーー天領綺羅ァーー!!」」」」
待てって言われて待つ訳無いでしょうが!!
「綺羅君、可哀相…」
「あいつはあれで楽しんでるんだぜ?」
「そうなの?」
「そうそう」
納得しちゃ駄目だって!!
「「「「待てえー!待たないとひどい事になるぞ!! 待ってもひどい事になるけどな」」」」
……もうイヤ。
その後、どうにか逃げ切ったボクは、疲れた身体で50メートル走と持久走に参加した。
その結果………倒れて保健室に運ばれましたとさ。
チャンチャン♪
どうもakishiです。
upが遅れてすみません。いろいろとありまして……って言い訳ですね。
これからも頑張りますので、よろしくお願いします。