お気楽女とヤンデレ君
最上千穂、18歳。
このたび、幼馴染みの中島響にーー監禁されました。
切っ掛けはたぶん、昨日の私のあの一言だと思う。
私と響はいわゆる幼馴染みで、赤ん坊の時から一緒に隣り合わせで育ってきた仲だ。
響は昔からとても格好かった。まぁ幼稚園の時は可愛い!天使!って感じだったけど…。
小学校の時、響がモテはじめた。
それにより近くにいる私が邪魔だったのか、女子達から様々な嫌がらせをされた。
中学、高校になってもそれは変わらず、友達もできずにずっと響と一緒にいた。響さえいればいい、って感じで。
依存してたんだと思う。でもこれではダメだ!と思い、響と離れようと決意し、進路を遠い大学に決めた。
「千穂、○○大学行くんだよね?」
「えっと私、県外の大学行こうと思ってるんだよね」
ちなみに、○○大学とは近所にある大学だ。
ーーピシリ、空気が凍った。響の目がだんだん虚ろになり、笑いだした
「どうゆうこと?千穂千穂千穂。俺を置いてくの?俺を一人にするの?俺から離れたかったの?ハハハ、面白い冗談だよね。そんなこと俺が許すわけないよ。ずっと一緒にいてよ。いてくれないなら…」
…
で、この状態なわけ。う~ん。まさか響があのヤンデレ属性だったとは…。
漫画とかでヤンデレこわっ!とか監禁されて可哀想…とか思ってたけど、以外と快適だわ。
ん?何故って?
だって部屋から出なくていいし(閉じ込められてるから)ご飯作ってくれるし(しかもプロ並み)食べて寝ての繰り返し。「俺以外と話さないで!」って言われたけど、私友達いないからどうせ話せないしね。
それに親は…あぁ、ダメダメ。どうせ妹ばっかり構って私のことなんて忘れてるに1万8千125円。私の全財産だ。
小さい頃からコツコツと貯めていたんだ。少ないけどね!だって皆妹のほうが可愛いとかいって私の分のお年玉とか妹に渡すんだもん。誕生日プレゼントとか貰ったことないし…。あ、別に恨んではないよ?だってずっとそうだったし。慣れだよ慣れ。
…
「ただいま、千穂」
「おかえ…響、それなに?」
響が帰ってきた。買い物袋を両手に持って。
「あぁ、これ?可愛いだろ?千穂に似合うと思って買ってきたんだ」
そう言って袋から出したものは…首輪と手錠。
「…本気?」
「本気だよ」
…とまぁそんなわけで、私と響の監禁生活が始まったのだったーー。
最上千穂
18歳。赤茶の髪に茶瞳。
響のことは好きだが、恋愛感情ではない。
中嶋響
18歳。焦茶の髪に暗い黄の瞳。
千穂が大好き。もちろん恋愛感情で。
離れると聞いてつい監禁してしまうほど。
ヤンデレ。