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LUCKY PRESENT  作者: みっち
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第八話 旅立ち×密着×鉄拳


ルーンさんが王の間を飛び出した後、しばらくの間俺以外の誰もが呆然として何も喋ることが出来なかった。


「あの…王様?終わりましたけど…」


名前を呼ばれた王様はハッと気づきそして真剣な眼差しを俺に向けた。


「コースケよ…そなたが何者であるかはあえて問わんが願いがある。どうか私の元で剣を振るってはみないか?報酬は好きなだけ出す。地位も与えよう。どうだ?悪い話ではないと思うが…女も望むだけ仕えさせることだって出来るぞ?」


「すみませんが王様の願いと言えども、お断りさせていただきます。私は放浪の身であり、留まることが出来ない理由があるのです。私はすぐにでも出発しようと考えているので…」


正直女の子を侍らせれるのにはぐっときたがなっ!!


「そうか…やはりそんな気はしておったのだが…して、留まることが出来ない理由とはなんだ?話せるのなら教えてはくれまいか?」


「ええ、それは私が異世界から来たいわゆる『プレイヤー』だからです。元の世界に帰りたいので旅をする必要があるのです」


俺がプレイヤーと言ったとき、王様や王妃様、ミディアまで反応していた。何かあるのか?


「そうであったか…ならばもう一つ願いがある。これは是非とも叶えてほしいのだ」


「…なんでしょう?」


「ミディアをそなたの旅に連れていって欲しい」


「「えっ!!」」


思わず俺とミディアの声がはもる。


「実はな、ミディアは私達の子ではないのだ。拾い子なのだよ」


ここにきてハイジもびっくりな爆弾発言が来ちゃった…


「お父様…」


「ミディアはプレイヤーであるが、力無き彼女は一人で外に佇んでいた。城の外であったが故にモンスターに襲われる可能性が高い。そこを私が見つけたのだ。こう見えても私は狩りが得意でね、ハンティングに行くため外に出ることもしばしばあったのだよ。もちろん娘の事は他言無用。そなたを信用して話したことだ。

もともとミディアは外の世界の人間。このアルセウス王国だけでなく、もっと外を見るべきであろう。そなたの実力なら安心してミディアを任せられる。それに一番は、ミディアが私達以外の人になついたのを初めて見たのでの」


「もう!お父様ってばっ!」


ミディアは顔を赤らめているのに対し王様はほっほっほっと笑っている。

微笑ましいな。


「どうだろうかコースケ?」


(うーん…プレイヤーだったのなら連れていってあげた方がいいのかなぁ)


「お父様!!私の意思が入っておりません!勝手に話を進めすぎです!」


「ではミディアは彼と一緒に行きたくないのかの?」


「それは…行きたくなくは…ないですけど…」


もじもじしながら顔を赤くするミディア。

あなたは俺を萌え殺しするおつもりですか?


「なんじゃ、はっきりせんのう…ならこの話は無しだ。コースケ、悪いが…「行きます!!行かせてください!!!………あ」


あまりに大きな声で叫んだので部屋中に響く。

後からそれに気づき、しまったという表情をするミディア。

王様はニヤリと笑った。


「そうか。では、コースケよ。ミディアを…娘をよろしく頼むぞ」


「分かりました。この菊地幸助が命に代えてもミディア様をお守り致します」


かっこよく言ったのは良いが、ミディアがボンッという音と共に倒れそうになっていた。


その時のミディアの心の中はというと……


(これってプロポーズかしら?…キャッ!)


一人勘違いをするミディアであった。


俺はサラ達が起きる前までに戻らなければいけないので真夜中だがミディアに出発の準備をしてもらう。

王様達だけに見送ってもらい城を後にした。


瞬間移動が他人に見られるといろいろ不味いので暗い路地に連れて行く。


「ミディア、今から仲間の元へ行くが、仲間には俺が強いことを黙っていてくれないか?」


「お仲間がおられたのですね。どうして黙っておくのです?」


思えば黙っておく理由など無いが今のままが居心地がいい気がする。

いや、俺がサラにいじめられて喜ぶ変態とかじゃなくて。

俺が強いと今までのサラの態度が壊れそうでギクシャクしそうな予感がするからだ。

でも説明しづらいので適当に理由をつけることにした。


「実は俺が雇った護衛の人達だから、俺の方が強いってなったらプライドを無くすかもしれないだろ?」


あながち嘘でもない。

そのことも感じていたのは確かだ。


「そうでしたのね。でもそれなら最初から頼まなかったら良かったのに…」


痛いとこついてくるなこの子は…


「まぁ一人は心もとないだろ?」


「そうですね。それに私もいますからコースケ様に寂しい思いなんかさせません」


「はは、ありがとな。それにしてもその敬語口調どうにかならないのか?立場が逆転したみたいで変な感じがする」


「私はコースケ様には命を助けられました。一度無くした命を今度はコースケ様だけに尽くすのはいけませんか?」


「命ってそんな大袈裟な…」


「大袈裟ではありません!!もし私があの男達に襲われていたら今頃はおそらく身投げしていました…」


「そっか…ならこの俺からのお願い。その敬語を止めてほしいな」


「むぅ…ずるいです」


「悪く思わないでくれ」


「私があなたを悪く思えるはずがないじゃないですか」


「じゃあ返事は?」


「わかりま…はい!」


「良くできました。じゃあ一瞬で行くから捕まって」


「えっ…はい」


ミディアは俺の腕をつかむと俺はサラ達の眠るテントまで瞬間移動した。

いきなり景色が変わったことにミディアはとても驚いている。


「なにが起こったの?ここはどこ?」


戸惑いを隠せないままおろおろしている。

まぁそうなるだろうな。


「あのテントに仲間がいる。起こしたら悪いから静かにしてくれよ」


そう言って俺はテントの横に丸まって横になる。

外は夜なだけあって寒い。


「テントの中に入らないのですか?」


「ん?…ああ、これは女性陣のテントだからな。男の俺は入れないよ?ミディアはいきなり入ったら敵かと思われるから俺が新しいテントを準備してあげる。…ってミディア?どうした?」


途中買っていたテントをファイルから出そうと体を起こすとミディアがわなわなと震えているのを見た。

両手には拳が作られている。


「雇った…って女性の方だったのですね…ましてや一人で寂しいという理由で…コースケ様の浮気者ー!!」


いきなり頬を殴られ唖然とする俺。

てか浮気者って何だ!?


「お、落ち着くんだミディア。あいつらが起きるだろ。一体どうしたってんだよ?」


「もうコースケ様なんて知らないっ!」


プイッとそっぽを向くミディアも可愛い…じゃなくて!


「何怒ってんだよ?何でもするから頼むから機嫌直してくれ」


もうなんか娘に嫌われそうなお父さんが焦って「何でも買うから!」って言う気持ちがすごい分かった気がする…


「何でも…ですね??」


あれ何か黒いオーラが…

はっ!まさか念の使い手!?


「えっ…まぁ一応二言はないけど…」


「ならテントなんていらないから一緒に寝てください」


「…へ?」


「だから隣で寝さしてください」


何を言い出すんだろうこの子は…

だがなんでもすると言った手前断れない。


「…寒いけどいいの?」


これはどういうシチュエーション??


「コースケ様で温まるから大丈夫です」


これはエロい予感が…青〇ですか!?


「なら体が冷えない魔法をかけてあげる」


そう言って俺とミディアに魔法をかけると再びシートに横になる俺。

ミディアは俺の腕を持ってぴったり密着している。


(こ、これは…む、胸が…)


いかん!!

下半身がデンジャーなことに…

神よ!静まりたまえ!!


ふぅ…なんとか制御に成功。

それにしても体に悪い。

しかもミディアは分かってやっているのかそうでないのかすでにスースーと可愛らしい寝息を立てて眠っている。

俺はその後色々な葛藤と戦ったが、そこはアン曰く「ヘタレ」に定評のある俺。

結局何も出来なかった。


(…あれ?これってもしかして…)


俺はふとある可能性を考える。


ミディアと一緒に寝る→

遅くまで寝てなかった俺たちよりサラ達の方が早く起きる→

サラ達は俺が勝手に知らない女の子を侍らしたと勘違いする→

俺にサラの鉄拳→

俺バッドエンド


(こ、これは最悪のパターン…なんという飴と鞭。あの黒いオーラはこれを示していたのか…ミディア…恐ろしい子っ!!)


でも結局睡魔に襲われた俺は眠りについてしまった。


――――――side sara


冒険者たるもの早起きには慣れておかなければならない。

レイナはどうやっても早く起きれないのだがそこは彼女の体質を考えてもしょうがない。


「ふぅ…いい朝ね。ルクスムまで早く行きたいしあの変態でも叩き起こそうかな」


もちろん外では顔を隠す鎧を付ける。

私は男の人とはどうしてもこれ無しでは普通に喋れない。

これは幼いころのトラウマのせい。

これを知っているのは今はレイナと師匠だけ。

あまり人に話せる事でもないし話したくない。


(でも、彼には言っても言いかな?)


出会ったばかりだが何だか変態、もとい彼が気になっている。


(私を騙した地球の人の癖に…)


私はテントを出ると、深呼吸をして朝の空気を吸う。

そして彼が眠っているであろうシートの元に行くと…


「なっ!…何やってんのよこの変態!!!」


あろうことかこの男は知らない女の子に抱きつかれて寝ているのではないか。

私は思いっきり変態…コースケの腹を蹴りあげた。

「ぐふっ!」と奇声をあげ飛び起きようとするが、女の子の抱きつく力が強いのか身動きが取れていない。


すっかり目を覚ました彼は「ミディア離してくれ!」と懇願しているがミディアとかいう女の子は全く起きる気配はない。

私は再びコースケを蹴った。


―――――――side end


「がはっ!さ、サラ!!待て!止めろ!話せば分かる!!話せば…「コースケさまー…激しいですー…むにゃむにゃ…」………………」


「へー……何を話せば分かるのかしら?分かるのは夜の営みの内容だけでしょうがぁ!はぁっ!」


「おぶっ!!」


いきなり蹴り起こされた俺は必死に話し合いを求めるがミディアがことごとく邪魔をする。

寝ているくせにタイミングを狙っているかのようだ…

10分後ようやく俺はミディアとサラから解放されたが現在ミディアと二人仲良く絶賛正座中。

俺はその間蹴られ続けたので身体中アザだらけ。


「…で、あんたこの子どこで拾ってきたのよ?」


「え…っと、夜女の子が叫ぶ声が聞こえたんだ。起きて行ってみると女の子がモンスターみたいなのに襲われてた。俺は倒せないからこのモンスター避けの結界張ってるところまで逃げてきたってわけ。幸い近かったから助かったよ」


(まぁ…間違ってはないはず)


「で、その後事に及んだと…モンスターってあんたのことなんじゃないの?」


「んなことしてねえよ!!一緒に寝てたのはモンスターが怖くて寝れなかったミディアの添い寝。もちろん手は出してない」


「ふーん…そうだったの。じゃあ人助けってことで今回は許してあげるわ」


(なんとか助かったか…なんか殴られ損な気がするが誤魔化せただけこの際良しにしよう)


「で、この子はどうするの?」


「はい。私はコースケ様に命を救われた身です。だからこの体も心もコースケ様に捧げます」


胸を張って宣言するミディア。

もうちょっと言い方ってものが…


「やっぱりあんた達そういう関係だったのね…覚悟しなさーいッ!」


「うわぁああぁあ!!!」


その叫びは草原中に響き渡ったという…

そしてその声でレイナちゃん穏やかに起床。



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