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LUCKY PRESENT  作者: みっち
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第二十四話 鬼ヶ島×魔王×変化

魔王現るッ!!笑


12/04 誤字訂正

12/05 誤字、文法の誤り訂正

 勇者達一行は魔王四天王の最後の一人が待ち構えているであろう部屋の前にいる。

 すでにお馴染みとなった扉の前でため息をつく五人。

 今度は一体どんな変態やつが相手になるのだろうか、緊張よりも悪寒が走る。


「……やっとですね」


 フィーネの言葉には気を引き締めるためというよりかは、ようやく終わるという安堵の意味合いの方が強そうだ。


 ゴゴゴゴゴ………


「「「「「!?」」」」」


 フィーネが扉を開けようとする前に突然勝手に開き一同は驚く。


「ようこそ我がフィールドへ。我の三体のしもべを倒す実力、認めて差し上げよう。我が名は魔王四天王最後にして最強の男、島浦しまうら 桃太郎ももたろう。貴様たちを滅ぼす名である」


 またややこしいのが現れた。

 頭に桃の鉢巻きをして背中に釣竿を提げている男はいったいどちら側で扱えばいいのだろうか困る。


 そして今明らかにされた四天王内の上下関係。

 どうやら今までの動物もどき(一部本物)は手下だったらしい。


 幸介はもはや四天王でないことと、桃〇郎か浦〇太郎どちらかに統一しないことに納得がいかない。


「なるほど、お兄さんが最後の相手なのね〜」


「お、お兄さんだなんてそんな……」


 意外と照れ屋だった。


「ふん、そなたを倒して魔王のもとに行かせてもらおうか。行くぞっ!!」


 レインは風を切り裂く速さで桃太郎に斬りかかる。

 しかしいとも簡単にその攻撃は防がれた。


 ……きびだんごによって。


「何っ!?」


「ふっ、そう焦るな剣士よ。我がきびだんごシールドが貴様らの攻撃、容易く捌いてくれるわ」


 食料にもなる便利品だ。


「ならばこれではどうでしょうか?……穏やかなる安息を…『デス』!!」


 クラインが即死呪文を唱えた。

 しかしこれも桃太郎には効かず、弾かれる。

 それにしてもこの神に仕えし僧侶はなんとえげつない呪文を使うのだろうか。

 ハ〇ーポッ〇ーなら重罪である。


「いきなり即死呪文とは容赦ない。しかしそんなものボス補正の我には効かんっ!!」


 なんという設定。

 そのことに腹がたったのか、クラインが呪文を連発し始めた。


「ちっ、しぶといですね。『デス』、『デス』、『デス』、『デス』、『デス』…………」


「ちょっ、クライン落ち着け。ていうか、跳ね返ってきたのが危ねぇッ!!」


 ヒュンッヒュンッと次々に跳ね返ってきた即死呪文が幸介達の側を通過する。

 もう少しでフィーネに当たるとこだった。


 ようやく落ち着きを取り戻したクラインは肩で息をしている。

 どうやら魔力切れのようだ。

 八つ当たりにもほどがある。


「流石魔王四天王の最後の一人です。序盤から即死魔法を使ってくるなんて……危うく当たりそうでしたよ?」


 どうしても勇者様は桃太郎の仕業にしたいらしい。


「ほう、我の『死の弾丸デスバレット』を避けるとは中々流石と言ったところか」


((((自分の技にしちゃったーー!!))))


 さらに技名まで付けていたとは……恐るべし、四天王。

 突然の暴挙に思わず誰もが同じツッコミを心の中でしてしまう。


 しかし何故かこの二人の中ではまともな会話が成立しているようで、そこだけ一触即発の雰囲気が漂っている。


「今度は私から行きますよ!!」


 キンッ!  カンッ!  カキンッ!  ウキッ!!  イヤン!!  ドカッ!!  キキー……


 二人の姿が消え、剣と剣とのぶつかり合う音だけが聞こえる。


 そんなハイスピードラッシュの中、幸介達は二人の攻防にもノリにもついていけないので端の方で談笑していた。

 後は勇者に任せるということである。


 もし二人の間にさきほどボコボコにしたはずの猿が見えた気がするなら、それはきっと気がするだけだろう。


 やがて剣戟が止み、お互いに膠着状態が続く。


「あっ!おやつがッ!!」


 幸介のこぼしたおやつが地面に着いた瞬間、勇者と桃太郎が地面を蹴って跳んだ。

 互いに剣がクロスし、衝突する。


 キィィィンッ!!


 着地しフィーネは若干血を吐いた。


「ぐふっ!やっぱり強いです……」


 バタッ


「ふんっ、今回は我のま…け……だ」


 しかし、倒れたのは桃太郎の方だった。


 そして今回も何も奴に次(出番)はない。


「ふぅ。さっきの敵はかなり手強かったです」


 全ての四天王を倒した勇者達は階段を上り、カードを手に入れた。


[島浦 桃太郎 ランクB

魔王四天王最強の男。昔四天王全員で鬼ヶ島に行った経歴持つ。褒め言葉に弱い]


(あれが弱点だったのか……)


 幸介がみんなの後を遅れてついていくと突然ファイルが現れて何か言いはじめた。

 幸介は立ち止まり、声を聞いた。


「サラ様があなたに対して『コンタクト』を使用しました。応じますか?」


 ファイルにYesとNoの選択画面が現れる。

 分からないままYesを押すが、反応はない。


「ん?なんだこれ?サラなのか?もしもーし、聞こえてますかー?……あれ、通じてんのかこれ?」


 するとレイナの声が聞こえてきた。


『コースケ……ばか…急にいなくなって…でも…久しぶり…』


(レイナちゃん……)


「レイナちゃん……ごめんな。元気か?」


『うん…げんき…コースケ…どこいるの…?』


 いつの間にか幸介がいないことに気づいたフィーネ達が戻ってきていた。


「俺か?ちょっと魔王を倒しにな。そこにサラいんの?」


 サラという言葉に反応したレインが幸介に替われと言って話し始める。


『サラだとっ!!サラがそこにいるのか!?』


――――――――――


 感動の再会を終えて俄然魔王討伐に張り切るレイン。


「コースケ殿。妹に逢わせてくれて本当にありがとう。生きていたということが分かっただけでも嬉しいのに、声まで聞かせてもらえるなんて夢にも思わなかったよ」


「ま、俺は何にもしてないんだけどね」


 幸介とレイン以外の三人はレインが妹と会えたという他はあまり状況を理解出来なかったが、空気を読んだのか言及はしてこなかった。


 気を取り直して魔王のもとに向かう一行。

 そして今まで一本道だったのがここに来て二つに分かれていた。

 そこには看板が刺してあり何やら道案内らしきことが書いてある。


|←罠がたくさんあるから|

|注意!!       |

|→魔王専用の道!一般人|

|は入っちゃメッ!!  |


 幸介達は迷わず右を選んだ。


 どんどん進んで行くがそこには罠は一つも無く何の苦労もしなかった。

 そしてまた扉が立ち塞がったのだが、今度は今までの大きさではなく普通の家のドアに近かった。

 ドアノブも付いており、「魔王の部屋」と書いてあるプレートがぶら下がっている。


 もはや無言でドアを開けようとフィーネがドアノブに手を伸ばそうとした時、中から高めの声が聞こえてきた。


「ふふーん♪ふふーん♪今度はどんな人なのかなぁ?入ってきたとき何て言おう?『ははははっ!私が魔王様だぁっ!!どうだぁまいったかぁ!!』かなぁ?それとも『私が魔王様だぞぉ!!怖いだろ−!?』かな?うーん…迷うなぁ……どっちにしても早く来ないかなぁ……ふふーん♪ふ………」


 ガチャ


 勇者は問答無用でドアを開けると、そこにはうつぶせで両手を頬にやり足をばたばたさせている可愛らしい女の子がいた。


 振り向いた女の子と目が合う。


「「「「「……………」」」」」


「…………あ」


 入ってきた勇者達に気づいた女の子は慌てて立ち上がる。


「「「「「……………」」」」」


「……ああぁーーーっ!!!そっちから入ったらいけないんだよおっ!!!看板に魔王専用って書いてあったでしょっ!?それにっ!それにっ!魔王の部屋って書いてあったんだからノックしなきゃいぃーけないんだぁ!!!人の部屋に入るときはノックしなさいってママから教わらなかったの?マゥはママからちゃんと教えてもらったもんね!!へへーんっ!だからっ!だからっ!マゥの方がお姉さん達より偉いんだよっ!!」


 どうだっ!と未発達の胸を張り腰に手を置く自称魔王のマゥ。


「「「「「……………」」」」」


「ねぇみんなどうして黙ってるの?……分かった!マゥが怖いんでしょ?やっぱり魔王だもんね。それはしょうがないかも」


「マゥ…?確か魔王はザーガと言う名前だったはず…君は本当に魔王なのか…い?」


 魔王があまりに可愛らしい女の子なのでレインの口調が思わず優しくなる。

 他のみんなは会話はレインに任せたようだ。


「そーだよ?ザーガはね、パパなんだっ。でもパパ最近魔王やめるーってママとどっか行ったの。だから今は私が魔王だよ。お姉さん達は?」


「そうだったのか……私は剣士のレイン。そしてこちらにいるのが勇者、フィーネ様」


「へぇー…勇者なんだ……じゃあマゥと戦いにきたの?」


「その前に教えてほしい。君は町を破壊したり人をたくさん殺したりしたのかい?」


「えっ!?どうしてお姉さんマゥが町壊したの知ってるの?おかげでまた作り直さなきゃいけなくなったんだから大変なんだよ!?」


「やはりそうなのか……って作り直す…?」


「そうだよ?せっかく上手く出来たのに落っことしちゃったの…レ〇ブロックで作った町。最高傑作だったのに……」


「レ〇…ブロック……だ…と?」


「もういいです、レインさん。魔王であることには違いないんだし」


 フィーネがレインを制すと瞬間その場から消える。

 魔王の前に現れ…一閃。


「あっ……」


 魔王の首が胴体を離れて血を噴き出しながら宙を舞っていた。


 ゴトンッと首が下に落ちると今度はクラインの前にいた。


「ばいばい、クラインさん」


「危ないっ!!」


 一同唖然とする中、幸介はフィーネが剣を振るうより速く二人の間に立ち剣を止めた、がしかし……


 ズブリッ


「なに…っ?」

(くそっ、そういうことか……)


 幸介の体を違う剣が貫いている。

 …彼の背中から。


そして幸介は力無くその場に倒れた……



幸介……無念。


まだ完じゃないですよ。

話は続きます。

次はサラ編ですけど……

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