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LUCKY PRESENT  作者: みっち
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第二十三話 登録×再会×鳥災

温度差あります。

注意してください。笑


少し中身薄めの可能性が…

あんまし進んでもないです……泣


――――side Sara


 傭兵募集の話を聞いてケンプティア帝国の首都である帝都ランブルディアへと移動したサラとレイナ。

 どうやらそこで隊の編成や演説等があるらしい。

 集合場所の広場には受付があり、ここで登録しなければならないようだ、が……


「何?この長蛇の列。行列ができるラーメン屋でもこんなに並ばないわよ……一体何時間かかるのかしら?」


 そこには先が見えないほど人によって列が作られていた。

 目的地の広場などもちろんのこと。


 サラは最後尾のプレートを持った人の所へ行き仕方無しに並ぶ。

 今回の金欠の件は完全に彼女に非があり、簡単に止めたとは自分からはとても言えないのだ。


 そして無論そんな面倒なことをレイナが我慢できるわけもなく、彼女は並び始めて30秒経つと、飽きたと言ってアイスクリームを求め旅立ってしまった。

 そこには端から見れば当然レイナを一人にして大丈夫かという疑問が生まれるが、彼女はたいてい認識疎外の魔法を自身にかけており自分から話しかけない限りは気づかれない。

 いつも一緒にいるサラでさえたまに見失うので相当強力なのだろう。

 彼女が神出鬼没と言われる所以も実はそこら辺にあったりする。


 5時間後、ようやく長蛇の列から解放され、登録を済ませた二人(一人は遊んでいたのだが)は一旦とっておいた宿に帰った。

 次の日お偉いさんによる実にどうでもいい演説があるらしい。

 サラ達はそんなことに興味はないのでサボタージュも考えたが、給料が減ってもらっても困るので真面目に行くことにした。


 宿に帰ると幸介への想いがつのる。


(あいつ、一体どこにいるのかしら……そもそも何でいきなり消えたのかも分からないし……そういえば戦いに備えて一応スペルカードの確認もしとかなきゃ)


 サラはレイナを呼んで一緒にあとどれだけのスペルカードがあるのかを確認しようとした。


「レイナ、一応戦いで使えるカードの確認をしましょう」


 二人でファイルを出し、スペルカードの点検を始める。

 始めた瞬間にサラはあることに気づき、ファイルから手を離した。


「レイナ……私達馬鹿だわ…何でこんなことに気づかなかったのかしら……」


 サラはファイルから一枚のカードを手にしていた。

 レイナは分かっていないのか首を傾げて言葉の続きを催促する。


「レイナ!『コンタクト』よ『コンタクト』!!これを使えば簡単に連絡取れるじゃないッ!!あーホントに馬鹿だった……最近アイテムカードばかりでスペルの方は全く気にしてなかったからだわ……」


 レイナも「…おー」と驚いた様子。…いや、寝ぼけているのかもしれない。


 『コンタクト』とは、ファイルの名簿に登録されているプレイヤーと会話できるスペルカードである。

 要するに電話みたいなものだ。


「早速使ってみるわね。『コンタクト』オン!コースケ!」


 サラが使用するとカードはポンと消え、少し経つとファイルから少年の声が聞こえてきた。


『ん?なんだこれ?サラなのか?もしもーし、聞こえてますかー?……あれ、通じてんのかこれ?』


久しぶりの幸介の声に「あ…」とか「え…」しか言えないサラ。

 その声は小さいのでもちろん幸介には届いていない。

 するとサラの代わりにレイナが話しはじめた。


「コースケ……ばか…急にいなくなって…でも…久しぶり…」


『レイナちゃん……ごめんな。元気か?』


「うん…げんき…コースケ…どこいるの…?」


『俺か?ちょっと魔王を倒しにな。そこにサラいんの?』


『サラだとっ!!サラがそこにいるのか!?』


 突然知らない女の人の声が聞こえてくると、呼ばれたサラはレイナに代わった。


「あの、どなたですか?ってコースケあんたまた違う女の人たぶらかしてんの?」


 するとファイルの向こうで『またってコースケさんは女たらしなのですか〜?』とか、『ぼうややるねー』など複数の女性の声が聞こえてきた。


『ち、ちがーうッ!!サラ変なこと言うなよな!まったく…せっかくの感動の再会が……』


「感動の再会ってべ、別にあんたに会いたかったわけじゃないわよ!!」


『はぁ…?俺なわけないだろ?ほら、レイン。久しぶりなんだろ?』


 それは不意打ちだった。


 一人の女性の名前が幸介の口から出てきた時、サラの体に衝撃が走る。


(えっ…嘘……!?まさか…そんな…それってもしかして……)


『や、やあ、私だ。レインだ。私のこと、お、覚えているかい?こ、ここここには、私を追って来たのか?……君は本当にサラ、サラ…エメリッヒなんだよな?』


 よく聞けば…聞けば聞くほど覚えのある声にサラの長年の隠れていた想いが弾けていく。


「おねえ…ちゃん?私のお姉ちゃん……?レインお姉ちゃんなの!?」


『ああ、そうだよ……随分と久しぶりだね、サラ……』


「私ずっと、探してたんだからね…ぐすっ…ずっと、会いたかったんだからね…………ごめんね…ひっく…」


 気が付けばぽたぽたとサラの瞳から涙がこぼれ落ちていた。

 サラは泣くつもりはなかった。

 自然と溢れ出た気持ちに自身も戸惑っている。


 この世界に来て5年……いろんなことがあった。

 来てすぐにこの世のものとは思えない酷い体験をした。

 そのせいで男と一時期本気でまともに関われなかった。

 それでも……それでもこの世界から出て行こうと思わなかったのは姉を探す為。

 必ずどこかにいるはずの姉と再び会うためだった。


 やがて親友と呼べるレイナと出会い、信頼出来る師匠と出会い徐々にましになってきた男嫌い。

 普通の日常を取り戻してきたのと同時に姉を探す目的も薄れてきた。


 レイナには強がってみせているが、サラは心の中ではもう姉には会えないと思っていた。

 会いたいと思えば思うほど辛かった思い出だけが甦り、自分を苦しめる。


 今は一緒にいて楽しい仲間や、家族と思える人達がいる。

 別に苦しい思いをしてまで生きているかどうかすら分からない姉を探して何になるのか。


 自分はよく頑張った。

 もういいだろう。


 サラは半ば姉に会うことを諦めかけていた。


 消え入るような「ごめんね」は諦めようとした自分を姉に許して欲しかった、そんな自然にこぼれ出た言葉なのだろう。


 二人の間に長い沈黙が続いていく。


 顔は今は見えないけれど、二人はお互いに生き残っていた喜びに浸っているのだろう。

 側にいるレイナにとってもどこか心地好い沈黙だった。


 やがて沈黙は姉、レインによって破られる。


『サラ…悪いが今すぐには会えない。私には魔王を倒す使命がある。お互いに積もる話はあるだろうがまた会ってからにしよう』


「うん、分かってる。私も仕事があるから……」


別れの挨拶を終え、プツンッと連絡が切れる音と共に二人の再会は終わりを告げた。


「レイナ…私本当は会えないと思っていたの……あなたに嘘ついてた。ごめんなさい。……ははっ、私って最近ほんと謝ってばかりよね」


 乾いた笑いが響く。

 レイナはフッと一瞬だけ微笑むと何も言わずそっと布団に入る。

 サラも「そうよね、明日は仕事だもんね。おやすみ」と同じ様に布団に潜り明かりを消した。


 明かりが消えた夜の部屋の中でただ一人の少女の枕が濡れ続ける……


――――change side Midia


 幸介特製のお守りから出てきたのは、自称不死鳥の喋るひよこだった。


「どやっ!わいが伝説の不死鳥やからって、お二人さん揃って開いた口が塞がらんようなったんか??」


 このひよこは何を言い出すのだろうかと、男は魔法で出した小さい火の玉をひよこにぶつけた。


「熱うっ!何するんや、兄ちゃん!!もうちょいでこのダンディなおひげがチリチリになるとこやったわ!!」


 ひよこにひげもくそもダンディも何もない。

 あるのは可愛さだけだ。


「あなたは…本当に不死鳥なんですか?あの程度の火の玉受けて熱がるなんて炎の不死鳥、フェニックスとはとても言えないでしょう」


「あほか兄ちゃん!何聞いとったんや!!ええかぁ?わいの名前は『フェニックシュ』や!ほんま間違えんとってほしいわぁ」


「もういいですピヨちゃん。十分楽しかったですから」


「ぴ、ピヨちゃん!?!?あかん…あかんよ嬢ちゃん……そんな可愛い名前で呼ばれたら、この不死鳥の面目丸つぶれや……」


「だってひよこなんだからしょうがないじゃないですか」


「ひ!よ!こ!だってえぇぇぇ!!!!そんな失礼な呼び方する奴今までで初めてやっ!!」


これを不死鳥と呼ぶ奴の方がフェニックスに失礼だ。


「ま、まぁ何というか姫も大変なんですね……では私はこれで行くので後はここで待ってもらえればよろしいです」


 男はそれだけ言うと踵を返して帰って行った。

 おそらくこのひよことこれ以上関わりたくなかったのだろう。


「行っちゃいました……もう私達ここから出られないのでしょうか……」


 ミディアは暗い趣で呟く。

 そしてピヨちゃんは腕組みをしながら悩むそぶりをする。


「確かにこのままだと何されるか分からんしな…何か脱走するええ方法ないんか?」


 檻の外から。


「そうですね……ってピヨちゃん!どうして外にいるのですか!?」


「ピヨちゃんは不本意やけど、あんたがマスターなら仕方ないなぁ……そりゃ中におったら囚人みたいで嫌やろ?」



「そういう意味じゃなくてですね……そうだっ!そのまま牢屋の鍵を探してきてくれませんか!?」


「あー…無理やわ。わいはコースケの旦那との契約でミディアの側からある程度離れられんようになってんねや」


 つくづく使えないひよこだ。

 勇者達がここにいたらまさしく焼き鳥にされていただろう。


「そんな……絶望的です…」


「大丈夫や!何たってわいがついてんねんからなぁ!!嬢ちゃんにはもう指一本も触れさせんで!!」


「それは心強いですけど……ここから出ないと意味ないです」


「それは他の人に頼むんやな。わいは管轄外や」


 ミディアの受難は続く……

 しかしもう静かになることはないのだろう。



今回ちょっと話がつかめなかったのではないかと思います……涙

サラの過去はですね…第三部に書こうかなと一応は予定しています。


次回はいよいよVS魔王?

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