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LUCKY PRESENT  作者: みっち
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第十八話 勇者×思惑×変態

お待たせしました第二部のはじまりはじまりです。


コンセプトとしては何人かの主人公に分かれて物語が進みます。


至らない点があると思いますが楽しめていただけたらと思います。


幸介、ついに本性が……


とりあえずさくさくと草原を北に進む幸介一行だったが思いの外何もないのでミディアに体力が途切れず車以上の速さで走ることの出来る魔法をかけた。

端から見たら忍者のように見えるだろう。


さっさと過ぎようと草原を駆け抜けていたところ、一台の馬車が停車していたのでスピードを落とした。

ゆっくり通り過ぎようとすると中から鎧を纏った女性に声をかけられた。

というより怒鳴られた。


「そこの者達止まれッ!お主らこの先魔王の城があると知って向かっているのか!?」


「魔王…です…か?」


「お主らまさか知らんと言うのか!?すでにこの一帯は近寄ってはならんと令が下っておるだろう。よもやお前達は魔王の仲間か!?勇者様!!魔王の手下共が現れました!!」


どうやらこの腰に差した剣を持つ女性は剣士らしい。

というかこっちは否定の言葉を言う間もなく魔王の手下にされてしまった。


そして慌てて出てくる勇者の仲間達。

三角帽子を被った魔法使いに、シスターの格好をした僧侶。

剣士を合わせて仲間は三人らしい。


(それにしても…勇者め…ハーレムを形成しやがって…一体どんなやつだ?)


そう、仲間は全員美が付く女性なのだ。

しかし幸介も一時期ハーレムを形成していたのだがもちろん自覚はない。

そして勇者が現れた。


「魔王の手下でしゅか!!あっ、噛んじゃった!」


「「「「「…………」」」」」


勇者のせいで一同の空気が凍ったのは言うまでもない。


(というか…)

「レズ…だ…と……ッ!?」


「「「「「…………………」」」」」


幸介の言葉で氷河期が来たのも言うまでもない。

幸介はけしからんことを考えていたのか、あまりの意外性に思わず口に出てしまったのだ。


―――――――――――――


「わ、私はそんなんじゃないんだからねっ!ちゃんと男の子が好きなんだからね!あっ!言っちゃった////」


「おのれ…魔王の手下め…神聖なる我々魔王討伐隊を愚弄しおって…八つ裂きではすまさんぞ……」


「私達僧侶は神に己を捧げた身。禁欲が基本。そのようなことは断じて有り得ません」


「レズねぇ…その発想はなかったわ…ありがとね坊や、早速今度試してみるよん」


上から勇者、剣士、僧侶、魔法使いなのだが…


「(ミディア、こいつらはいろんな意味で危ない!その場しのぎで逃げよう)」


「(コースケ様!確かにそのようですね!)」


「あの…勇者様、僕達本当に知らなかったんです。すぐに帰るんでごめんなさい」


「本当なんです。許して貰えませんか?」


二人はすぐさま腰の低い対応で逃げようとしたのだが…


「お前達…最初から聞こえていたからな……?覚悟しろよ?」


剣士の剣がチカッと光る。


「「う、うぎゃーーッ!!」」


―――――――――――


「全く…一般人だったと分かったとは言え私達を厄介視するなど言語道断」


「まぁまぁ、抑えて下さいレインさん」


「しかし勇者様…」


「そうそう。坊や達のアドバイスのおかげで新しい可能性にちょうせ、痛っ」


「アーニャよ、聖なる勇者に仕える者がふしだらな発言をするはよろしくありません。ましてや乙女がそんな…」


「ほんとクラインたんもレインたんも堅いのよねー。もっと仲良くしないと。ね、勇者様」


「ひゃっ…アーニャさん…どこ触って…あんっ」


「こらっ!やめんか変態!!勇者様の体をまさぐるな!」


「あの、取り合えず自己紹介しません…?」


このままだとピンク色の流れに一直線に突っ走りそうなので幸介は会話を断ち切った。

実はもう少し見ていたかったのは秘密。


「おっと、こんなところを見せてしまいすまないな。我々はつい先日復活した魔王「ザーガ」を討つべくしてケンプティア帝国より勇者様を筆頭に編成された選鋭された討伐隊である。そしてこちらにいらっしゃるのが勇者、フィーネ様。黒の修道着を纏っているのは僧侶、クライン殿。そして私が剣士、レインだ。ちなみにそこの露出狂の変態はアーニャ。基本的に気にしなくて良い」


アーニャが「私の扱い酷くなーい?」と幸介に抱きついている。

幸介の頭はマーニャの豊満な胸に埋まってしまい、ミディアが慌ててそれを引き離している。

ようやく離れたところで幸介は残念な顔をしていたが、ミディアが般若の顔つきになったのですぐさま本題に戻った。


「そうなのか。俺は幸介。一応冒険者として旅してる。こっちはミディア。俺の仲間で同じく冒険者ね」


「ん…ミディア?どこかで聞いたことがある覚えが……ミディア殿、出身はどちらで?」


ミディアという単語に思い当たる節があるのか首を傾げて何か思い出そうとするレイン。


「私達は二人ともプレイヤーですから出身はこの世界ではないですよ」


「そうでしたか。あなたたちもプレイヤーでしたか」


「『あなたたちも』ってまさかレインさんたちもですか?」


「ああ、そうだが?」


当たり前のように返すレイン。

ということは…どういうことなのだろう。

幸介は考えてみると一つの疑問が浮かんだ。


「じゃあ勇者様達ってどうやって選ばれたんだ?プレイヤーならその…ケンプティア?帝国だっけ。そこに肩入れする必要もないんじゃない?」


いつの間にかレインを除く三人は会話に参加しておらず、違うところでだべっていた。

しかし勇者様という単語に反応したのか、フィーネは「私のことはフィーネでいいですよー」と笑顔で手を振って言ってくれた。


「私は元々ケンプティア帝国の兵士として士官していた身。勇者様は召喚の儀によって最も勇者に相応しい者がケンプティア帝国内から呼び出されたのだ。仲間はそれぞれの分野において最も名高き者達が召集され、今の部隊となった」


(士官っていうのもあるんだ…まぁ確かに目的は人それぞれで、別にクリアを目的としなくて良いってアンさん言ってたな)


さらにレインは続ける。


「そして魔王を倒した暁には報償が王より与えられる。確かSランクのカードだとおっしゃられていたな。私は興味ないのだが…あとは魔王城にも宝が山ほどあると噂が…まぁそこは定かではない」


これを聞いて幸介は一つの答えを見出だした。


(なるほど…ということはこれは十中八九特殊イベントだろう。すると…聞いておきたいことがもう一つあるな)


「じゃあさ、ここら辺のこんな広範囲の立入禁止令って王様が考えて決めたのか?」


「いや…最初はもっと狭いエリアで初めから王が定めておったのだが、それでは危ないと勇者様がおっしゃったので範囲を広くしたのだ。それがどうかしたのか?」


「何となく聞いただけだから気にしないで」

(これは…意外と勇者さんは腹黒いな……そうなると周りのこいつらが危ない!)


幸介はレインにお礼を言うとその場を離れて勇者達がいるところへ向かった。


「勇者さん?あの…よろしければ…俺もパーティに加えて貰えませんか?」


突然のお願いにミディアも含めて一同は驚く。

慌ててレインが止めに入った。


「冒険者と言えども魔王の力は強大で敵う相手ではない。それに宝を狙うのであればやめておけ。命がいくらあっても足りないぞっ!?」


「いや、宝などいらない。魔王を倒したという名誉もいらない。ただ勇者達の手助けをしてみたくなっただけだよ。こう見えて剣術には自信があるんだ。それに多い方がいろいろと役立つと思うんだけど…」


「だが、しかし…「いいんじゃないですか?」ゆ、勇者様ッ!?」


「確かに私達と行けば死ににくくなるし、私達にとっても一緒に戦ってくれる仲間が増えるのはいいことだと思うよ?力量は…そうだね、レインさんが見てあげなよ。まぁ、剣を持っていないのに剣術っていうのもおかしな話だと思うけど」


(明らかにフィーネの雰囲気が変わった…)

「その辺は大丈夫。ほら」


幸介はいつの間にか一本の刀を手にしていた。

これにもミディアを含めてみんな驚いている。

幸介は地面から砂鉄を集め錬成し即席の刀を作ったのだ。


「まぁ隠し武器ってやつが趣味なだけだよ」


幸介は創造した刀を何回か振って感触を確かめる。

相変わらず全く分からないが…


「分かりました。勇者様がそこまでおっしゃるのなら、この剣士レインがお相手しよう」


シャンという音とともに腰の鞘から剣を抜いたレイン。


「いつでもいいぞ。コースケ殿」


「じゃあ行くぜっ!はあぁっ!!」


コースケはレインに向けて連撃を繰り出した。

一本の太刀筋からいくつもの攻撃を生み出す技だ。

しかしレインも涼しい顔でその攻撃を捌いていく。


「ふっ、その程度か?」


そしてレインの反撃。

レインはただ剣を振り下ろしただけだが、それを受け止めたコースケの身に大きな負担がかかった。

単純に攻撃が早く重い。

幸介は受け止めるのを止め、弾いて距離をおいた。


(まぁ流石に選ばれただけあって強いな。サラといい勝負するんじゃね?)


幸介はもちろん手を抜いている。

それでいて負けるつもりなのだ。

幸介には一つの考えがあった。


「行くぞレイン!これで終わりだ!!」


幸介はその場で刀を振り下ろした。

するとそこから無数の衝撃波が生まれレインに襲い掛かる。


レインは衝撃波を避け切れず剣で受け止めた。


「くっ……今のは流石に危険を感じたぞ…本気を出そう!!エンチャントオブファイアッ!!」


するとレインの剣を炎が纏う。


「とどめだッ!!くらえッ!!!!」


レインはさっきよりも早いスピードで幸介の後ろに回り込み強烈な一撃を浴びせた…かのように見えた。


「なっ…!!我が一撃を止めるとは…ならばもう一度ッ!!」


「ストーップ!!ストップ!!やめやめッ!俺の負けだ!!」


幸介は慌てて刀を離して手を交差させた。

それを見たレインは構えを解く。


「どうした、もう終わりか??怖じけづいたのか?」


「いや、戦おうとも刀が…な」


そう言って幸介は離した刀を拾う。

刀は真ん中の受け止めたところが真っ二つに折れていた。

もちろん幸介の刀はそう簡単に折れるわけじゃなく、自ら演出の為に折ったのだ。


「分かってくれたか?それとレイン。自分をもっとよく見てみるんだな」


レインは訳も分からず自分の体を見ると、何故か身を包んでいた鎧が無くなっており下着だけになっていたのだ。


「〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」


そのことに気づくとすぐに馬車の中に飛んで行き隠れてしまった。

もちろん幸介の仕業である。

衝撃波は鎧を切り裂いてしまったのだ。

それを考えて幸介はわざと早く負けるように勝負をつけた。


(ふっ……試合に負けて勝負に勝つ。それにしてもレインは水玉模様だった…意外と乙女っぽいな)


それにしてもこの男、変態である。


そんな中ミディアは一人物思いにふけっていた。


(ルーンさんといい、レインさんといい、コースケ様は必ず戦った女性の方を必ず辱めています。やはりわざとなのでしょうか?それにしてもドSなコースケ様…素敵です///出来るなら私だけいじめて欲しい////)


それにしてもこの少女、ドMかつ変態である。


結局強さを認められたコースケ達は勇者フィーネ達と共に魔王城を目指すこととなったのだった。



ここからはストックが切れてきそうなので不定期更新とさせてもらいます。


感想やアドバイス、誤字脱字の指摘、どんどん待ってます。

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