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LUCKY PRESENT  作者: みっち
16/36

第十五話 佐藤×罠×嫉妬

ここらから一人称視点から三人称視点に変わると思われます。



11/20 脱字訂正


「今大会一回戦で早くもかなりの好カード!!皆さんご存知『双刃の姫君』VS『ガーゴル』だぁ!!実況はお馴染みこの俺、DJ佐藤がお送りするぜぃ!!」


わああぁあぁぁ!!!!


幸介はDJ佐藤って、G.G.佐〇に似てるなと、関係の無いことを思っていた。

幸介の隣のミディアはたくさん食べたからなのか、この大歓声の中でも眠そうにうとうとしている。

ミディアとは反対側に座っているドラゴンことダリスはDJ佐藤って初めて名前聞いたし…お馴染みじゃあねーだろ。

と心の中で冷静にツッこんだ。


そんな三人の思いは関係無しにDJ佐藤は喋り続ける。


「みんな知ってると思うが、紹介するぜ!先に入場してくる『双刃の姫君』!まずはいつも鎧でお顔は見えない。しかし逆にそれがコアなファンを引き付けている紅刃姫ことサラちゃん!!」


うおぉおおおぉぉお!!!


サラはどうやら顔が見えなくても人気らしい。

確かに素顔はそこらへんのアイドルよりかなり可愛いトップクラスの美少女。


幸介はよく聞くと歓声の中に「サラちゃんお顔見せて−!」とか「結婚してー!!」とか「俺を殴ってー!!!」とか聞こえてきた。


なるほど。確かに一部コアなファンもいるようだ。


「そんなサラちゃんのパートナー!おっとり系で癒し系、よしよししたいされたい部門両方で第一位を獲得!!蒼刃姫ことレイナちゃん!!」


うおおおぉぉぉー−−−−−!!!

キャアーーーーー!!


どうやらレイナは女性からも絶大な支持を得ているようだ。

サラが堂々と歩いてるのに対してレイナはサラの後ろをてくてくと付いて歩いているように見える。


あれ?よく考えたら俺よしよししたしされたくね??

なんか優越感だぜー、と幸介はちょっと自慢げな顔をしてみる。

そもそも「よしよししたいされたい部門」ってなんでそんなピンポイントなんだろうかと疑問に思う。


「続いては対戦相手の『ガーゴル』の入場だぁ!!今大会にエントリーしているのはなんと!イケメングループリーダーと副リーダー!!『トーマス=ウィルソン』と『ゴーズ=クリアー』!!」


キャアーーーーー!!!!!!!!


黄色い声援が鳴り響く。

なんというイケメン。

イケメンは俺の敵だ!

と幸介は俄然サラ達の応援に気合いを入れる。


「サラ−!イケメンなんてぶっ飛ばせー!!」


気合いが入り過ぎて思わず立ち上がり叫ぶ。

すると直後に応援していた数多もの女の子達から睨みをきかされることになってしまう。


そのあまりの凄みに思わず「すません…」と謝りすごすごと席に着いた。


そんなこんなで既に会場は緊張状態。

ピンと張り詰めた空気の中『双刃の姫君』と『ガーゴル』はゴングの音に全神経を集中させている。


カァーーーン!!


今闘いの火蓋がきって落とされた。


サラは構えていた両手剣で一気に斬りかかりに行った。

一方ガーゴルの方は二人ともサラの動きを見ても微動だにしない。

サラは剣をリーダーのトーマス目掛け振り下ろそうとした瞬間


「「シールド展開!!」」


トーマスとゴーズが魔法を行使し、二人の周りをバリアーみたいなものが覆った。

サラの攻撃はそのバリアーによって阻まれたようだった。


「ちっ!『二重詠唱デュアルチャント』ね。これだから魔術師ウィザードは嫌なのよ」


悪態ついたように吐き捨てたサラに対して、トーマスが応えた。


「いえいえ。そうは言っても後少しシールドが遅ければ早くも私の首は無くなってたところでしたよ」


「そんなことを余裕ぶって言うとこがむ、か、つ、く、の、よっと」


会話をしながら魔力を貯めた手でバリアーに触れた途端パリーンっと音がして先程まで彼等を守っていたバリアーが消えた。


「相変わらず無茶苦茶な魔法無効化呪文ですね」


それでもどこか余裕そうなガーゴル。

しかしサラはシールドが消えた瞬間既にそこからは消えていた。


瞬間身を翻す二人。

二人には見えていたのかいつの間にか後ろにまわっていたサラの攻撃をやすやすとかわした。


しかしサラは一度の攻撃では止まらない。

一撃二撃…と続き様に二人に詠唱をする暇を与えないように攻撃し続ける。

見る側からするとそれはまるで剣舞を実戦で行っているようだった。


しかしそれでもガーゴルの二人に掠りもしない。

するとサラの動きがどんどん早くなっていく。


「ブラスト!!」


余裕が無くなってきたのか、トーマスが呪文を唱えると突風が発生し、サラを突き飛ばした。


サラは小さく「せっかくノッてきたのに…」と残念そうに呟いた。


「今です、ゴーズ!!」


「おう!任せな!『アークレイ』!!」


トーマスの掛け声に反応してサラの攻撃をかわしながら少しずつためていた魔力を使い周りに電気を帯びた光線がゴーズから発射された。

しかしそれをサラは簡単に避ける。


「残念だったわね。せっかく虚をついた攻撃だったつもりが…「バーカ!狙いはお前じゃねーよっ!!」なっ!!」


ゴーズに反応して後ろを振り向くとそこにはなんとレイナがいた。

彼等はサラの攻撃を避けながらサラとレイナが一直線に重なるよう誘導していたのだ。


まんまと罠にかかったサラは「しまった!!」と心底悔しそうにし、レイナの心配をした。


しかし時既に遅し。


ズガァァーーン!!!!


とてつもない轟音を響かせながらサラはレイナに着弾したところを見てしまった。

そこは砂煙舞っていて、レイナの姿は見えない。


「そんな…私のせいで…」


サラは膝を地につき俯いている。

ゴーズは楽勝と得意げな顔をしていたが半面トーマスは訝しげだった。


「ハッハー!あれであいつはばっちりあの世行きコースだぜ!!これで後は…「なんて言うと思う!?」なにっ!?」


「ゴーズ!!下ですっ!!」


トーマスの声に即座に反応しゴーズが慌てて空高く跳ぶと、ゴーズが居たところには一面針だらけになっていた。

跳ばなかったら間違いなく串刺しだっただろう。


しかし次には上から雷が降ってきた。

これにはゴーズも流石に避け切れず見事に直撃しそのまま針の地面へと落下していった。


それをまずいと思ったトーマスが針に刺さる前に助けだし、安全な地面に着地した瞬間、勝負が決した。


そこにサラの剣がトーマスの喉元に突き付けていたのだ。


「どうやら僕達の負けのようですね。すっかりやられましたよ。僕らがサラさんと遊んでいた間レイナさんは『呪文短縮スペルカット』を唱えていたんですね。通りで私たちの攻撃を防いだ後すぐに強力な魔法を続けざまに行使出来た訳です。」


それにしても、とトーマスは砂煙が消え明瞭に見えるようになったそこを見て話し続ける。


「僕達の攻撃を受けて傷一つ付かないなんて、心外ですね…」


そこには服すら汚れていないレイナが佇んでいた。どうやら魔法の使い過ぎで疲れたらしい。

立ちながら眠るという、レイナちゃんは最後までレイナちゃんらしかった。


「説明お疲れ。まぁあの子はああいうもんだからね」


サラが労いの言葉をかけ、勝負の終わりを告げるゴングが鳴り響いた。


「まっことにすんばらしい闘いだった!!!選手達に盛大な拍手を!!!『双刃の姫君』!!二回戦進出ぅ!!!」


うおおおぉぉぉーーーー!!!

わあああぁぁぁーーーー!!!


盛大な歓声と共にDJ佐藤が締めくくりサラ達の一回戦が幕を閉じた。




「いやぁお疲れ!サラ!レイナちゃん!二人ともかっこよかったよ!」


試合が終わった後サラ達と合流した幸介達。

どうやら幸介は前回のように怒られずにすんだようだ。

サラの機嫌が良さそうに思える。


「まぁあたしにかかれば楽勝よ!それよりなんでドラゴンなんかと一緒にいるの?あんたたち知り合い?」


ドラゴンことダリスは試合後も幸介達と一緒について来たようだ。


「なんかってお前もかよ…まぁ幸介とは同じラーメンを食った仲って感じかな」


「はぁ…何それ?意味分かんないし。ねぇコースケ…ってあんた何やってんのよっ!!」


見ると幸介はレイナに「よくがんばったな−えらいぞー」とよしよし撫でているではないか。

レイナは全然まんざらでもなさそうで気持ち良さそうにしている。

その隣でミディアが私も私もーとせがんでいる。

端から見れば子供の世話をしているお父さんみたいだった。


「レイナに手を出すなって…言ってるでしょうがぁっ!!」


バコンッという音と共に飛んでいく幸介。

その音にびっくりしたダリスは心底幸介を心配した。


「や、やりすぎだ…ぞ…サ、ラ…」


ゾンビみたく手を伸ばしてはい上がってくる幸介の様子は気持ち悪い。


「レイナだけになんて…ず、ずるいんだからっ…私だって…がんばったのに…」


そしてサラの小さな小さな呟きはやはり誰にも聞こえなかった。



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