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LUCKY PRESENT  作者: みっち
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第十一話 龍食い×ラーメン×延期


――――side sara


「それでな、痺れを切らした『ドラゴン』の相方が変態野郎を仕留めに行ったんだ。かなりの速さだった。一般人じゃあまず反応すらできんだろう。

だがな、その変態達は向かってくる相手に対してそろって何かを言ったんだ。

何て言ったと思う??

たった一言『『邪魔!!』』って同時に言って青ヘルの男の方が相手のパンチに対してクロスカウンターで仕留めやがった。相手より大分早く非の打ち所がないパンチだった。やられた相手は完璧にのびとったよ。

しかもその後何事も無かったように昼御飯の話に逆戻り。『ドラゴン』の奴も流石に無視され仲間を倒されたのにはこたえたのか、かなりの殺気を放ちながら相方の何倍も速く近づいた。

その瞬間、青ヘルの方がピンクのヘルメットの女を抱きかかえ、ドラゴンを場内ギリギリまで引き付けて足をかけたんだよ。『ドラゴン』は突然の不意討ちに驚いたのか止まろうとしたがとどまれず、足にかかってこけて場外。あっけなく『バカップル』の勝利。結局昼御飯は女の言い分が通ったのか、『ラーメンラーメン♪』とはしゃいどった。お前らどう思う??」


ディモンさんの話を聞いて私を含んだみんな愕然としていた。


「Aランクを相手に遊びながらやるなんてそいつらかなりの実力だね」


「信じられないわ…」


「…その服装…着たい…」


一番上の感想からハイトさん、私、レイナ。

私は信じられないけど師匠が言うことなんだからほんとなんだと思う。

すごく認めたくないけど…

そしてレイナは相変わらずの天然ぶり。

ホントに私より一つ年上とは思えない。

小学生と言っても十分通じそう…


「まぁSランクの俺らからしたら『ドラゴン』を倒すのは難しくはないだろうが、あそこまで余裕綽々で戦えるかと問われると首をひねっちまうな。周りの奴らは、『ドラゴン』は気まぐれだからやる気が失せたんだろう、とか言ってるけどとんでもねぇ。あの姿には疑問を持つが、実力は本物だ。

そう言えば『ドラゴン』の相方、ピンクに治癒魔法をかけてもらってた。おそらく戦った相手をそうやって助けたつもりだろうが、やられた方は屈辱以外のなんでもねぇ!」


確かに私もそう思う。

なにしろあの格好だ。

私なら恥ずかしくて2日は外に出れなくなりそう…

聞けば聞くほど嫌なやつ。


「それはおいても、僕達もサラちゃん達と当たるかも知れないね。どれくらい成長したか楽しみだなぁ」


「がははは!そうだのぉ!せいぜい勝てるように頑張るんだな」


確かによく考えたら私達が師匠達と戦う可能性だって十分ある。

まだ一回も勝てたことはないけど、賞品の為にも頑張らなくちゃ!!


そして気がつくともうすぐ昼が過ぎようとしていた。


――――side end


「ったく…どこのラーメン屋にするんだ?」


そう、この俺菊地幸助は昼飯をかけたミディアとのじゃんけんに敗れ、ラーメンを食べることになってしまったのだ…

カレーが良かった…


あの食欲を誘うスパイスの良い香り!

口に入れたときに広がる素晴らしい辛さ!

そしてご飯との絶妙なマッチ!!

俺はカレーなら何杯でもいけるぞぉ!!


「あのー…コースケ様?カレーが素晴らしいのはよく分かりましたけど、負けは負けですからね?ラーメンはあそこの屋台がいいです!」


ゲフンゲフン!

どうやら口に出していたようだ。

仕方なく屋台に入り、店長のおやじにトンコツラーメンを注文する。

どうやらミディアも俺と同じトンコツラーメンらしい。


言い忘れていたが、あの恥ずかしい格好は今は一旦着替えて私服だ。

あんな格好ではおちおち安心して飯も食べられん。


「大将!なかなかおいしいッスねここのラーメン」


「まぁな、何年も修行して作り出した味だからな」


「……ラーメン最初は乗り気じゃなかったくせに……」


やっぱり屋台は大将とこうやって話せるのが良いところの一つだろう。

ミディアが何かぼそぼそ言っていたが気にしないことにした。


と、そこに二人のお兄さんが入ってきた。

あれ?あの人達俺達と戦った奴らじゃない??

バレたら恥ずかしいじゃ済まないぞ…

いや、顔とか分かんないから焦る必要はないはず。

落ち着け俺…


「あれ?私達あなた達と予選で戦いませんでした??」


※たった今俺の頭上に爆弾が投下されました。


…おっ、おい!!ミディア!!

バカ!!バカタレ!!

何やってんだよ!?

そんなことしてたら恥ずかしい思いして変装した意味ねぇだろ!!

ばれないための変装だろうがあぁぁああ!!


「おっ、おい…ミディア…それ以上は…」


「悪いが、俺は負かした相手は覚えていないんだ」


ん?もしかしてこれはバレていない??

助かったのか??

それにしてもイケメンだなこいつら。

く、悔しくなんて無いんだからねっ!


「そりゃあ、Aランクの『ドラゴン』さんがいちいち戦った相手のことなんて覚えてないだろうよ。数えきれないほどの敵を倒しているんだからな」


大将はどうやら彼らのことを知ってるみたいだ。

へぇー『ドラゴン』って言うんだ。

俺たちよりはまだましな名前だな、ちくしょう。


「……何言ってるんですか??勝ったのは私達ですよ??あなた思いっきりコースケ様にこかされて場外だったじゃないですか。それにもうひとりの貴方はコースケ様に思いっきりカウンターやられちゃって完璧のびてたのを私が治療したのを覚えてませんか??」


ミ、ミディア……お願いだから空気読んでくれよー…

『ドラゴン』の方々思いっきり固まってるじゃないか。

嗚呼…穴があったら入りたい…


「ま、まさかお前らがあの変態の格好をした……」


何!?

それは聞き捨てならん!

確かにあの格好は十中八九変態だが俺だって着たくて着てるわけじゃないんだぞ!!


「変態とはなんですか変態とは!!!私達のコスプレに文句をつけられる筋合いは有りません!!!」


バンッ!!と突然ミディアが机を叩いて立ち上がり半狂乱に騒ぎ立てる。

おいおい…大将まで固まってるぞ…

てかおいミディア!!

今思いっきりコスプレって言ってるじゃねーか!!

ペアルックって言って騙したな!!

ふんっ!もう俺は着ないからね!


言われた『ドラゴン』さんは「あ、ああ…俺が悪かった」とミディアの恐ろしい迫力に気圧されている。

そして俺を見ないでくれ。

俺だってあんなミディアは恐ろしくて止められやしねぇ。


ようやくミディアの怒りが収まって改めて自己紹介をすることになった。

よく考えるとバレたの店にいるこの二人と大将だけでまだ助かった気がする。


「俺の名はダリス=ヒルトン。ダリスでいい。ランクはAだ。二つ名は『ドラゴンイーター』、『ドラゴン』で通ってる」


「僕はダイ=ハース。ダイって呼んで。ランクはBだよ。」


ドラゴンって一人なんだ。

てか二つ名とか何?恥ずかしくないの?


「俺は菊地幸助。コースケって呼ばれてる。始めに言っとくがあの服は趣味ではない!!てかギルドランクってなに?俺ここに来たばっかであまり分かんなくて…」


「はぁ?ならお前らはどうやって金稼いでんだぁ?そんな実力があるのに律儀にバイトでもして貯めてたのかぁ?」


「いやそこはいろいろとあって資金は困ってないんだ」


主にミディアのとこの王様から。

貰いすぎたとも言える金額を。


「ふーん。いろいろねぇ。そういやお前らもプレイヤーなんだろ?この大会やっぱりカード目的か?」


ダリスはラーメンをすすりながら横目で質問してくる。


「いや、プレイヤーには変わりはないんだが別にカードが目的って訳じゃない。」


「ということはお前はそれほどの腕からしてバトルジャンキーかぁ?人は見かけによらねぇもんだな」


「違う違う。ただ一緒に旅してるプレイヤーがカード欲しがってるんで俺は暇つぶしさ。俺はカードにはそれほど興味はないんでね」


ダリスはなるほどね、とまだラーメンを口にしながら喋っている。

ふと反対側のミディアを見ると、いつの間にかラーメンの替え玉をたのんでおり美味しそうに頬張っていた。


「そーか。来たばかりなのにもう連れがいるなんて恵まれてるな」


「うーん…あれは連れと言うより護衛なんだよな?一応金取られてるし…」


あの金を巻き上げてく迷惑極まりない顔隠したがりツンデレ少女。

レイナちゃんは癒し系だから許す!!


「あぁん?お前別に護衛なんか必要ねーだろ。誰だ?その護衛って?」


「えーっと…サラとレイナっていう二人組。一応『双刃の姫君』で通ってるらしい。今回の大会にも出てる。それこそカード目的で」


やっぱり有名なんだろうな、二人とも。

名前出したらダリスとダイ、大将までも露骨な反応を見せてきた。


「あの二人が護衛してるなんて豪華だな。あいつらとは一緒に仕事したこともあって知り合いでもある。よほどの金を取られたんじゃねーか?サラの方が護衛なんて金の割に時間ばかりかかるからやってらんないわよ!とかなんとか言ってたからな」


ドラゴンことダリスは雰囲気だけサラを真似て言った。

全然似てなかったけど…


「そこんとこは俺の有り金ほぼ全部だ。というより逆なんだよ。どっか行って欲しいから金渡したら護衛代とか吐かしてついて来た」


ダリスは苦笑しそいつは災難だったな、と他人事のように言い放った。

ほんと、良い迷惑だよ。


いつの間にかみんな食べ終わっていたので大将にお金を支払い店を出た。

そしてダリスとダイと別れたのだが、別れ際にダリスに


「気をつけろよ。この大会俺なんかよりレベルがいくつも上の奴らがうじゃうじゃしてるからな。でも俺は俺達を倒したお前らを応援してるぜ」


と忠告と応援をされた。


そろそろ本戦が始まるかと思いミディアと会場へ戻ったのだがそこには長さ10M有りそうな掲示板にでかでかと張り紙がしてあった。

その人だかりが出来ていた場所には大きくこう書かれてある。


『今大会は例年を大きく上回る数の参加者のため本選は明日の朝からとします。トーナメント表は当日に張り出します』


それを見てがっかりしていた人が多数いたが恐らくそのほとんどが闘いを楽しみにしていた観客だろう。

選手はむしろ予選での疲れを癒せて好都合のはずだ。


「延期になっちゃいましたね本選。コースケ様これからどうします?」


「あいつらと合流して宿をとらないといけないな。ミディアも探してくれないか?」


「はいっ!…て、あそこにいるの違いますか?」


ミディアの指差した方を見ると確かにいた。

あの鎧姿は目立つ。

サラの鎧姿を見るとどうしても歴戦の猛者というイメージが湧いてしまう。


「よっサラ。予選どーだった?」


するとはぁ、とサラにため息をつかれた。


「あんた暇なのに見てなかったの?ま、まぁ確かに見なさいとは言わなかったけれど見ておくのが普通なんだからねっ!」


パコッと何故か叩かれた。

俺何か悪いことしました?

取り合えず気を取り直して宿の話をするとすでにとっていたご様子。

さすがちゃっかりしてるな、と思いきや


「は?なんで私があんたのまでとらなきゃいけないわけ?そんなの自分でとってないあんたがバカなのよ」


とのことでした…

相変わらずの鬼。

そこでミディアが私二人部屋に一人なので一緒に使いません?と美味しい話を持ち掛けてきたのでもちろんOK。


ところがサラが…


「ミディアとあんたが一緒ならか弱いミディアが襲われるに決まってるじゃないっ!私が代わりになるわ。あんた私を襲ったら蹴り殺すからねっ!!」


と予想外の展開に…


俺、どうなるんだろう…?



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