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LUCKY PRESENT  作者: みっち
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第九話 二日目×カミカミ×素顔

2011 7/30 誤字訂正

ようやくルクスムに向けて再出発した俺たち。


ちなみにサラにやられてボロボロだった俺の体はミディアに治して貰った。

彼女は治癒魔法が得意らしく、それを聞くとサラは喜んでパーティーに組み入れた。

レイナは補助の魔法が得意だが治癒魔法も使える。とは言っても効果は微弱なものらしい。

サラに至ってはあいつは攻撃魔法しか覚えてない。

どんだけSなんだよ…


これも聞いた話なんだが、治癒魔法系のカードは攻撃系や補助系に比べてランクが高く、入手難度やお金が1.5倍くらいする。

だから治癒の魔法が使える人はどこでも重宝されるということだ。


(まぁ、ある意味掘り出し物だよな。てか結局ミディア言葉使い直っちゃったし…でもそれが彼女の素のしゃべり方みたいだからもういっか)


俺たちは順調に草原を進んでいく。

途中モンスターに襲われることもあったがサラが瞬殺してくれるので特に問題はない。

あるとするならモンスターが現れる度ミディアが怖いと抱きついてくるのでサラの殺気がものすごいだけだが…

そしてもし誰かが傷ついてもミディアの治癒魔法により一瞬で治る。

うん、すごく順調。

つか、俺って何も出来ないふりしてっから足手まといだな。

レイナも暇そう。

モンスター出てきても変わらずぼーっとしてるのってある意味すごいよ…

マイペース過ぎ。

でもそれだけサラを信用してるんだろうな…


そうこうしてるうちに日が暮れていた。


(今日はどれだけ進んだんだろ?)


さくさく歩いたから結構な距離いったんじゃないかと思う。


「で、あんたは今日もご飯抜きなのよね。かわいそー」


「ぐっ…」

(おのれ、他人事だと思って…嫌なやつだな)


「あの…私も食べるもの無いんです」


(おおっ!ミディアも仲間か!後で美味しいところに連れてってやるぜ!!)


「えっ!?そうなの?なら私の食べて。こんなときの為に沢山買っておいたから」


「な…ッ!!」

(お前ギリギリしか持ってないって言ってただろーがあぁぁ!!!)


「えっ?でもコースケ様は…」


「そっか…ミディアは知らないのね。ここにいる変態は草食動物だからそこら辺の雑草が大好物なの。だから食料には困らないわ」


「そうそう…雑草うまー…ってそんなわけあるかあぁぁぁあ!!!!!」


何てこと言いやがるこの女!

そんなことミディアが信じるわけ…ってミディア!?「あー、なるほど」って何納得してんだよっ!

確かに草食系男子かも知れねぇけど雑草は主食じゃありません!!てか食べません!!


くそーミディアめ…裏切ったな。

餌(食べ物)につられやがって。


もういいもんっ!

一人で美味しいもの食べに行くもんねっ!

ふんっ!


とはぶててみる。

するとレイナちゃんが頭をなでなでしてくれた。

背が届かないから背伸びしてるところが可愛い過ぎる。

もう決めた!

この子をお持ち帰りぃ!!


二人の空間に入ってて、忘れてたサラ達を見ると恐ろしいことになっていた。

なんとこちらにまがまがしいオーラが漂っているではないか。


「ぁんの変態め…レイナに手を出しやがって…許さん…」


「レイナちゃん…大人しいと思ってほっといておいたら虎視眈々と…ちっ」


(あ、あれ?ミディアなんかキャラが…)


コースケはどうする?

戦う

弁解する

機嫌をとる

→逃げる ピッ


しかし回り込まれた。


「にがさないわよコースケ??」


「コースケ様?私を置いてどこに行くつもりですか??」


(こ、怖いよー)


コースケはどうする?

戦う

弁解する

→機嫌をとる ピッ


「サラさん。今日もお綺麗ですね」


「あんた顔見えないのに何調子の良いこと言ってんのよ!!」


「ぐはっ!」


サラの鉄拳。

コースケに180のダメージ。


「くっ…めげてたまるか!ミディア!こっちにおいで」


「はいっ」


コースケの撫でる攻撃。


「ふにゃぁ」


ミディアに天文学的数値のダメージ!!

ミディアは戦闘不能!!

やがてミディアは起き上がるとペットになりたそうな目でこちらを見ている。


ペットにしますか?

はい

→いいえ ピッ


(ペ、ペットっ!?これはいけないだろ…道徳的に)


ミディアは寂しさで今にも死にそうだ。


「ミディアお前はペットなんかじゃないぞ!!」


(そんな…コースケ様にとって私はペットにする価値すらない存在なんだ…死のう。いや、待って…これは本物のペットになれるかどうかのコースケ様からの試練なんだわ!!)


「コースケ様っ!!」


たったったったっ…だきっ!


(えーっ…どうしてこうなったんだ、これ?まぁ怒りは収まったから良しとしよう)


しかしまだサラが残っている。


コースケはどうする?

戦う

弁解する

→???? ピッ


(ん?なんだこの???は?思わず選択しちゃったぞ?)


すると突然レイナちゃんがとことことサラのところに小走りで行き、何か耳打ちしている。


すると「ボンッ!!」という音と共にサラの黒いオーラが消えていく。

レイナちゃん一体何をしたんだ?

そしてその技をぜひとも俺に教えて欲しい。


こうしてこの戦争の幕は閉じた。

結論、レイナちゃんナイス。


みんなが寝静まった後俺は一人でアルセウスまで戻りご飯を食べて寝た。


余談だが俺が王様から500Gという大金を貰ったことはサラたちにはもちろん秘密。

でないと全て使われそうだ。

そしてミディアは俺の隣で寝たかったようだが、俺の健康上よろしくないので丁重にお断りさせてもらった。




王国を出て3日目の朝、今日は清々しい起床だ。

殴り起こされることもない。

うん、平和が一番。


予定では今日ルクスムに着くはず。

それにしても早く起きすぎたか?

まだうっすらとしか明るくない。


するとテントの裏の方で「ぶんっ!ぶんっ!」と風を切る音が聞こえているのに気づいた。


(こんな朝早くから素振りしてるのはサラしかいないな。やっぱりなんだかんだ言っても努力は欠かさないやつ……って、えっ!!)


少し覗き込んで見てみるとそこには確かに一人の少女が素振りをしていた。

しかし、そこにいたのはいつか見た紅髪の女の子だった。


(あれって…宿屋でぶつかった…なんで…まさかあれがサラ!?)


恐る恐る近づいて声をかけてみると、こちらを振り向き「えっ!」と驚いたあとへなへな座り込んでしまった。


(あー、もしかして不味いことした?秘密の特訓だったとか?)


とりあえず確認をとってみることに。


「あのー…サラ?」


「ひゃ、ひゃい!」


紅髪の美少女は名前を呼ばれただけで怯えてカミカミになっている。

取り合えず隣に置いてあった兜を被せてみた。


「あんたとうとう見たわね…かくなる上は証拠隠滅しか…」


いつものサラだ!や、ヤバい!俺の勘が危険信号を発している!!


「あなたとは短い付き合いだったけど、ここでお別りぇ…ひゃっ!」


俺はサラが被っていたものを急いで取った。

するとカミカミ少女に戻る。

もう一回被せるといつものサラに。

あれ?これおもしろいぞ…

しばらく被せては外しを繰り返して遊ぶ。


「いいかげんにしなさいっ!!!」


ボコッと殴られて俺は軽く吹き飛んだ。

相変わらずいてぇ。


「てか、兜無くても普通じゃん」


何も被っていないサラだけどかむこともなくいつもの口調になっていた。


「えっ?………ああぅ……もうっ!コースケのせいだからね!!」


な、なんというツンデレ少女!!


「それにしても朝から素振りなんて偉いんだな。毎朝してんのか?」


「えっ?えぇ、まぁこれが日課になってるから…」


「だからそんなに強いし、レイナちゃんも信頼して任せられるんだな。きっと」


「いきなりどうしたのよ。そんな真面目な顔して」


「ん…いや、昨日サラがモンスターと戦ってるときレイナちゃんサラを信用してか危機感が全く無かったんだよ。やっぱりサラのこういう努力を知ってるからなんだろうなぁって」


「な、なによいきなりそんな気持ち悪いこと言い出して…らしくないわね」


顔を赤くしてどうやら照れてるようだ。


「んー…ただ俺はサラみたいにガンガン攻めれるわけでもないし、レイナちゃんやミディアみたいに魔法が使えないから足手まといだなって」


我ながらよくこんな嘘すらすら出てくるな…

どうせ別れることになるとはいっても罪悪感があるのは否めない。


「何言ってんのよ。あんたは私の雇い主なんだから考える必要なんかないでしょ。大人しく守られてれば良いのよ」


…………ん?

さっきまで証拠隠滅とか言って殺そうとしてなかったっけ??

…気にしたら負けだ、きっと。


「そうだな。せっかくこうして被り物なしで普通に話してるんだし」


あれ?途端におたおたし始めたぞ。まさか取られてるの気づいてなかった?


「……ふぅ。なんかもうどうでもよくなっちゃったわ。あんたのせいね」


落ち着きを取り戻したサラは半ば呆れながら言う。


「そもそもどうしてそんなもん被らないといけないんだよ」


サラは不意を突かれて一瞬驚いたがすぐに訝しげな顔になった。


「そ、それは…「コースケ様!サラさん!おはようございます!!」


ミディアがはかったように出てきた。

それにしても朝から眩しすぎるぞミディア。


「おはよミディア。朝から元気だな」


「はいっ!だって今日はルクスムに着くからわくわくして…」


そういやミディアはお姫様だから他の町に行くことないんだったな。


「確かに今日つくけど期待はしない方が良いわよ。なんたって『ならず者の街』って言われてるぐらいだから治安なんて最悪よ」


「そんなに悪いのか??」


「ええ、まぁ表通りの方はましなんだけど、裏通りになるととてもひどい。闇市なんて当たり前だしその中でも奴隷商なんて最悪ね」


「奴隷か…そんなものが許されてるのか??」


「いえ、法律では一応は禁止されてるんだけど、薄汚い貴族とかが町の領主とか警察に金を握らせて黙認させてるらしいの。だから…法律なんて意味をなしてないわ。……ほんと最低」


サラの顔が歪んでるように見える。

奴隷なんて俺には縁のない話だと思ってたけど今から行くところはそんな現実がとても近くにあるんだ。

そう考えるととても悲しい。


「だったらなんでそんなとこを目指すんだ?」


こういう危ない街は避けた方が良いのではないだろうか。

そもそも目的なんて無いんだから。


「あんたそれでもプレイヤーなの?そういうところだからこそあるカードもあるのよ。それに食料も調達しなくちゃいけないし、お風呂にも入れる。だいたい私達がいる時点でそんな危ないことはないわ」


まぁ確かにサラ達の強さは本物だ。

だがミディアはそうはいかない。

例え力がばれても俺が守らないといけないな。


「ミディア。ルクスムでは俺の側を…ってミディア?」


「ミディアならもう行ったわ、ほら私達も行くわよ」


俺の決め所だったのに…ぐすん。

取り合えずルクスムではミディアから離れないようにしないとな。



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