疎外
アタシが歓迎されていない空気は、肌で感じるほど濃厚だった。
どうして来たんだと、村人たちの目はそう言っている。
かわいいケモノミミも『効果はいまひとつのようだ…』…で、ある。
―いや、あたしが拒まれるのは別に全然構わない。なれてるし。
…やるせないのは、今、少年が責められてるって事。
事情が分からないアタシには内容がいまいち理解できない。
だから、なんで少年が怒られてるかなんて分からない。
…けど、どうやらひどいことを言われているようである。
少年は下を向いたまま、しばらく前からごめんなさいしか言わない。
「…ねぇ、なんか…凄くまずかった感じ?」
『うむ…そのようだな』
ジードがいて良かったと思った。
だって、こーやって一人で会議できる。
「―どうしようか」
『……あちらの事情には、首は突っ込まない方が賢明だ。
どうにか話がつくまで、暫く様子を見よう』
「……そうか。…わかった」
――本当は、アタシは怒鳴って蹴散らしてやりたかった。
気に入らねぇとぶん殴ってやりたかった。
張本人責められないからって、責任者を代用するなんて最低だ。
連帯責任とかって屁理屈は大っ嫌いだし。だから学校も嫌いだったし、部活も辞めてやった。
…けど、結局そうしても少年に居場所がなくなるだけ。
都合がいいのはアタシだけだ。ジードの言う通り、賢明な判断じゃない。
だからアタシはぐっと堪えて黙って、うつむく少年を見ていた。
暫くして、とぼとぼと少年が歩いてくる。
アタシは此方をジロジロ見てくる村人を睨み返し、少年に話し掛ける。
「――なんか…ごめん。悪かったかな」
「―いえ、…大丈夫ですよ! ごめんなさい、村を挙げての歓迎は出来ないんですが…ボクの家に来てください!
大したお持て成しは出来ないですけど―」
これは空元気なんだろうか。
アタシには、無理に笑ったように見えた。




