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もふもふ


 短いです。





 ――これはもう、すんばらしい絶景ですな。



 見てよこの見渡す限りのケモノミミ。


 赤白黄色とは言わないまでも、毛色に合わせた耳はバリエーション豊か。



 それと同じく、もっこもこの尻尾達。…やばいやばい。モフりたい。



 なんだか民族調で好戦的なファッション。レザーやファーが多い。そして何故にそれが似合う。


 ……あ、そういえば少年も毛皮だ。



 見渡す限りの萌え要素に、アタシは間抜け面で突っ立っていたのかも知れない。



「――えと……あの、聞いてますか勇者様」


「はっ! ええはい生きてます!きちんと不純なこと考えずに生きてますよ!!」



『…考えてたのか』




 考えてましたが。…いや何のことですか。



「一応、ここが例の僕の村です。あのっ、みんなに紹介しても良いですかっ!?」



 なんだか段々と大事に…。


「……のぞましくはないが不可能ではない」


「じゃあっじゃあ! おっけーって事ですね!?」



 うれしげに一目散に駆けていく少年は、……きっと無邪気と形容するべきなんだろう。良い方で。


「―みんな!! 勇者様!! 勇者様連れてきましたよー!!」



 走り去ってくモフい尻尾を、かわいーなー……なぁんて、眺めていた。


 …あーあ、少年の反応からすると村中大騒ぎになっちゃうんだろうなー。



「―ん? ……あれ?」


 何だ何だ。静かだぞ。


 ――…それは、予想だにしなかった反応。

 …返ってきたのは、冷たい視線と、冷淡な言葉。



「―リッキー、お前」




 ――何やってる。



 少年の眼が絶望に堕ちるのを見た。





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