アタシ
突発連載小説。
どうなるのかは僕にも解りません。
気分的には、ギャグや恋愛、さくさく進める、改行しないで書く…などなど、苦手の練習な感じで。
全てにおいて、気分で更新。
「―ねぇ、お前ェ。最近マジウザいんだけど」
…アタシだってねぇ、うざいと思ってますよ。
うざいうざいって…言ってるアンタらがうざい。
「友達いなくて寂しいわけ? 何で頑張ってガッコー来ちゃってんの?」
言っとくけど抵抗出来ないんじゃなくて抵抗してないだけだから。
ほら、冴え渡る右拳が血を吸いたいって飢えてるよ。
…あ、嘘嘘。そんな魔剣みたいな性質無いですけど。
「おい、コイツやっちゃえよ」
―その辺の男集めてリンチ?
はっ
…アタシに勝つんならボクサー部でも連れて来いよ。
ばきっ!
「きゃははははは!」
…違うし。我慢してるだけだし。
女喜ぶなし。
ドカっ
…手ェ出したら退学処分だし。
「―な、コイツケンカ強いとか言ってなかった?」
「所詮ホラだろ! 元暴走族総長だっていう兄貴だってスーパー店長だぜ?」
…そこは別に否定しないけど。
あ〜あ、イライラする。
「犯しちゃわねぇ?」
「えー…。コイツ貧乳だぜー?」
―貧乳馬鹿にすンな!!
貧乳だって頑張って生きてるんだ!
これだけ巨乳共がはびこってる世界で!!
「いいじゃん。一応性別は女だしさ」
「あ〜…?しょーがねーな…」
「あ、じゃあ私ムービー撮っとくよ」
…最終宣告だぞ、いいな。いい加減にしておけよお前ら。
もう保証しないからな?
「…うっわ、リアルにぺったんこ」
「きゃはは!!」
「……―な」
「「「え?」」」
デコのあたりでブチブチっていう音がした。
「貧乳馬鹿にすンなァァアァアーーッッ!!!!」
―兄ちゃんごめん。
アタシ退学だわ。
アタシはまぁ…あんな感じでちょっと学校で敵が多いだけの普通の女子高生。
復讐というセピア色の夢見る、ちょっと乳のない普通の女子高生。
…ちなみに名前。木菟凪。木菟ってのはフクロウに似た鳥。変な名字だよね。
退学処分は免れた。運が良いんか悪りいんか、アタシの誇張表現にまみれた『いじめられ』主張は通ったらしく、あんだけやったにも関わらず事態の収拾といじめた生徒の保護者への納得のために、アタシは停学処分に留まれたみたい。
で、真っ昼間に下校中。
取り敢えず暇なんで、兄貴ん所に行こうと思う。
ヤツらの話は本当だ。元暴走族総長の兄貴…どっかで聞いた設定の兄貴は、たった今近くのスーパーで勤務中。
…いやいや、真面目だよ?
暴力で解決して昇格とか、断じてやってないからね。
意外と似合うんだよ、あのエプロン。
「にーちゃーん」
クーラーの効いた店内。汗ばんだ身体だから一瞬ヒャッとするが、ンなモンは一過性で、既に冷気には慣れた。
兄貴はどうやら呼び出されているらしく、レジのエラーの修復をしてる。
ってのも、誰かに訊いたとかじゃなくて。…ソコにいるから。兄貴。
「…あ? あれ凪?」
「そうで御座いますよークソ兄貴」
エラーにはお手上げと、元々そのレジの担当だったらしいお姉さんに押し付けた。
お姉さんはグズグズ渋るのだが、そこは兄貴がちょっと笑えばお姉さんはOKを出す。アイツはまともにしてればまぁまぁ格好いいのだ。
「…どったの凪ちゃん。学校は?」
「ん、停学」
「ああ停学か。良かった。停学くらいで済んで。…どんくらい?」
「…たしか、…一週間かそこら」
「了解。…ホントに軽くすんだな。今度は凪が何したか知らないけど」
「取り敢えずレイプ犯ぶん殴って、腹立ったんでムービー撮りやがったケータイをへし折って、嫌がらせに全員の靴とケータイをグラウンドに埋めて、上からホースで盛大に水掛けてきた」
「…えげつねぇ」
そうか?ちなみに強姦は未遂だけど。
そしてついでに財布から500円ずつ抜いたことは一人胸に留めておく。500円っていう微妙さがポイント。
はん。そう簡単にアタシが屈従するかっての。
「それで、勝利の報告を俺に?」
「そう。そして兄貴ならどうするかと思って」
「……そうだな、取り敢えず俺の姿見たらちびるぐらい虐めて、精神に俺=苦痛を擦り込んどく。二度と変な気を起こさないように」
「シンプルなだけに怖いっす」
さっすが報復のエキスパート。
いやまぁ…つまりアタシら兄妹はこういう奴らなんだけど。
しかし本題は別の所に有る。
「それでさぁ、今日家の鍵忘れたから貸してくんない?」
「ハァあ?…鍵ってロッカーだけど」
「そんなん取ってくればいいんじゃん。違うの?」
「……ああ…ハイハイ…仰せの通りに…」
鍵が必要だっただけで、正直兄貴に報告とかいらなかったけど。
アタシって結構良い子だから夜遊びとかしないし。
…あれ、あなたのそれって異論?
ちょうどピーク時を過ぎたのか、スーパーに人影はなくなってきていた。
暇になった(本当はエラー調整中)レジのお姉さんが、グズなレジの機械を放り出してアタシに話しかけてきた。
…おいおい、サボりだぞ。兄貴に報告すっぞ。
「ねぇねぇ、…凪ちゃん…だっけ? 店長の妹さんでしょ?」
「…ああ…まぁ、―はい一応」
「店長って彼女居るのかな?」
…またソレか。
「―居ますよ。恋狐っていう」
「え〜〜!? ……まぁ…普通に考えてそうか…」
ハムスターだけどな。
「望み薄?」
「そうですね。もう5年目っすから」
「ごねんかぁ〜…」
まあ…嘘ではあるまいて。…それにコレは元々兄貴が言い出した言い訳だ。
ハムスターの恋狐はウチのペットだし、家の兄貴に動物とにゃんにゃんしたい趣味があるわけでもない。
「―店長格好いいしなー…。優しいし面倒見いいし…」
夢は見ない方が良いぞ。風呂から全裸で歩いてくるような奴だ。
あんなんが居るからアタシは恋愛なんかに興味がない訳だし。いや二次が好きとかじゃなくてだよ。
「…凪、パース!」
「おうよ!…どっせい!」
店裏から出てきた兄貴が、鍵を投げた。無事キャッチしたのにあらぬ文句を付けられる。
「どっせいて…女の子ならもっと可愛い声出しなさい。『キャッ』とか」
「ない。きもい」
「…あの、店長。彼女とは上手くいってますか?行ってないならその…友達からでも…」
おっと、いくかお姉さん。
「…ん? あ〜、ごめんね。結構順調なんだ。今日も家で待ってるし」
「同棲まで!?」
…ノーコメント。
アタシはとっとと退散しよう。
恋狐に餌あげなきゃ。
「兄ちゃーん、アタシもう帰るからー」
「あ〜、恋狐に遅くなるって伝えといてー」
…まぁ、間違いじゃない。
了解の意で手を挙げて、アタシは一歩踏み出し―…、
「…あ…! …くっ」
立ち眩みの時と似てる、…眩暈。
ベロとか指先とか末端が激しく痺れる。
痙攣してるのも分かってて、こんな姿晒したくないとも思ってる。だって頭の中は驚くほど冷静で。
でも身体は言うことを聞かない。
目の前が霞むように曇って、頭痛がひどくなって、
「凪!!!?」
…あ、兄ちゃんが叫んでる。
―いかん、コレは倒れるわ。
ハゲ校長のグダい話聞いてるときみたいに。
って思った瞬間には曇る程度だった視界の白が脳裏一杯に広がって、
アタシは意識を失って、
床に頭を打ち付けたのだけは分かった。