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4 神獣のご飯

 戻って来たライザール様は、精霊たちが自分が倒した魔物をわたしの元に転送して空間収納にしまっていたことを知ってなんとも言えない顔をした。


 精霊は転送魔法を使えるそうで、その転送魔法を使ってライザール様が倒した魔物を血抜きして(ありがたい!)わたしの元に転送していたんだって。


 わたしにとっては怒涛の転送具合だったけど、わたしが力尽きたらすぐに転送を止めるつもりでわたしの様子を見ながら転送していたらしい。もっと大量に転送することもできたけど、天井にぶつからないように加減していたんだって。


 あれで加減していたと言われても………わたしはすんごい怖かったんだよ!


 身体強化の魔法は無意識に使っていたみたいだけど、初めて意識して使った魔法を初めて見る魔物相手に維持しないといけないなんて、恐怖以外のなにものでもなかったよ。


『それはごめんね。でも、これで魔法を使うことは身に付いたでしょ。よかったね!』


 ………………。


『ルルアーナ、無茶をさせたようだな。傍を離れて悪かった』


 え、ライザール様が謝った?!


『なにを驚いている。俺は、お前を守り導くためにいる。お前を危険に晒すためじゃないんだぞ』


 そう言うライザール様は、ベッドの傍に置かれた椅子に乗りがっくりと頭を垂れている。耳も尻尾も垂れていて、悪いと思っているのはその姿からもわかる。


 ライザール様、わたしは大丈夫ですから。それに、大量の魔物素材が手に入ったのは嬉しいんです。


『………嬉しい?なぜ?』


 ライザール様はお母さんからご飯を貰っているけど、でも、あれだけじゃ足りないんですよね?いまならわかります。ライザール様の魔力が減っているの。ライザール様は空気中から魔素を吸収しているけど、それだけじゃ足りないんですよね?


『よく気づいたな。鑑定の魔法を覚えたのか』


 はい。大量の魔物を見ているうちに、鑑定の魔法を使えるようになりました。


『そうか』


 魔物の核になっている魔石を食べれば、魔力が回復するんですよね?


『まあ、そうだな。俺は魔物を食すことで生命を維持している。だが、俺は神獣だ。数年食事をしなくとも死ぬことはない。お前が外に出られるようになるまで食べなくとも問題はない』


 問題ありです。死ななくてもお腹は空くでしょう?わたしは、ライザール様に飢えてほしくはありません。


『ではどうする。お前を連れて狩りに出ろと?』


 違いますよ。わたしの空間収納には、ライザール様が倒した大量の魔物が入っています。この魔物の魔石を食べてください。


『だが、魔石を食べるには魔物を捌かねばならない。この部屋が血まみれになるぞ』


 それなんですけど、魔石だけ空間収納から取り出せそうなんです。ちょっと、やってみますね。


 わたしはさっきと同じく、右手に魔力を集めた。そして、空間収納に意識を向ける。頭の中に、大量の魔物が浮かんだ。小さい魔物からやってみようと思い、ウサギの魔物ホーンラビットに意識を集中する。そして、一匹のホーンラビットの中に魔力の塊のようなモノを見つけた。


 わたしは、そのホーンラビットの中にある魔力の塊だけを手のひらに取り出すように念じた。


 手のひらに硬いモノを感じて見ると、手のひらに石が乗っていた。わたしの小さな手にちょうど収まるくらいの大きさで、中に魔力が詰まっているのを感じる。


 ライザール様、成功です!魔石を取り出すことができました!


『お、おう。空間収納にしまった物の一部だけ取り出すなんて、聞いたことがない。すごいな』


 ライザール様は目を大きく見開き、椅子の上からベッドの上に飛び移りわたしの手のひらにある魔石をまじまじと見つめた。若干、引いている気がしないでもない。


 ………引かれるのは嫌だから、わたしの気のせいだと思うことにする。うん。


 さあライザール様。魔石を食べてください。


『わかった………』


 ライザール様は手渡した魔石をバリバリと食べ、飲み込んだあとに物足りさそうな顔をした。


 足りませんでした?もうひとつどうぞ。


 そう言って、わたしは鹿の魔物フラワーディアーの魔石を取り出した。魔石はさっきのホーンラビットよりずっと大きいので片手では持っていることができず、ベッドの上に転がってしまった。それを見たライザール様の目が、嬉しそうに爛々と輝いている。


 ライザールは魔石を両手で押さえ、ガリガリと音を立てて食べ始めた夢中になって食べる様子がすごく可愛らしい。きゅんきゅんする。


 ライザール様が魔石を食べ終わった頃に、お母さんがやって来た。


 お母さんは、ベッドの上で機嫌良さそうに伸びをしているライザール様を見て目を細めた。


「あら可愛い。なにか良いことでもあったの?」


 そう声をかけながら、ライザール様から返事があることなど期待していないのか、手に持っていた服を棚にしまい始めた。


 お母さんがわたしを産んだとき、ものすごく安産だったらしい。わたしは産道をスッポーン!と勢いよく通り抜け、あっという間に赤い部屋から外へ飛び出した。おかげで、お母さんは出産で身体にかかる負担がものすごく軽くて。産後は平気な顔で動き回っているの。







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