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1 プロローグ

 わたしの名前はルルアーナ。


 元冒険者で冒険者ギルド職員のお父さんと、お父さんと組んで冒険者をしていた専業主婦のお母さんの娘。


 お父さんもお母さんも普通なのに、自分が普通じゃないと気づいたのは生まれて間もない頃だった。


 そこいら中に飛んでいる光る小さな生き物が教えてくれたの。


 光るソレは、みんなニコニコしながらわたしに話しかけてきた。中にはわたしに触ってくる子もいたし、ベッドの上で飛び跳ねている子もいた。


 小さく光るソレは、自分たちのことを「精霊」だと言った。そして、わたしが精霊たちの言うことを理解できると知ると、大喜びで色々なことを教えてくれた。


 精霊たちの話によると、わたしは「普通じゃない」らしい。


 まず、精霊は普通の人間には見えない。しかも、生まれてすぐの赤ん坊は視力が弱いので、飛んでいる精霊は見えないはずとのこと。なぜ精霊が見えるのかと聞いたら、無意識に身体強化の魔法を使ってるらしいの。


 精霊たちが言うには、人間は生まれてからしばらくの間は体内の魔力が不安定なので、魔力が暴走して自分や周りの人間を傷つけないようある年齢まで魔法を使わないし使えないんだって。


 そして。この大陸では神様を崇めていて、その神様を祀る教会で祭祀から祝福を授けてもらうことで生活魔法が使えるようになるんだって。


 生活魔法を使うことで魔法の使い方を学んで、それぞれ個別の魔法を使えるようになるのが普通らしいよ。


 その通常の流れをすっ飛ばして魔法を使っているわたしは、精霊たちに言わせると「普通じゃない」となる。というわけ。


 なるほどね〜。


『なるほどね〜。じゃないからね?ぼくたちの言うことを理解できてるのが、まずおかしいんだからね!』


 わたしの目の前をふよふよ飛んでいた精霊のひとりが、わたしの思考を読んで鋭いツッコミを入れた。


 わたしたちの会話は、精霊たちが「念話」という魔法を使うことで成立している。精霊たちが勝手にわたしの考えていることを読み取り、自分たちの考えていることをわたしの頭の中に直接送ってくるの。


『いい?ルルアーナ。君は、自分の異常性をよく理解すべきだよ。普通の赤ん坊は、君みたいに思考することはできないんだからね』


 そんなことを言われたって、できてしまうんだからしょうがない。


『はぁ………。まぁ、そうだよね。君にはわからないよね』


 うん。そうだね。ところで、あなたに名前はあるの?


『あるけど、いまは教えない。ぼくは風の精霊だから、「シルフ」と呼んでくれればいいよ。あっちはウンディーネに、サラマンダー、それからノームだよ』


 わかった。シルフね。わたしはルルアーナ。


『知ってるよ、ルルアーナ』


 ふふふ。名前を呼ばれるの嬉しい。


『それはよかった。ルルアーナ。ぼくたちはルルアーナが特別な子だって聞いて、見守るためにやって来たんだよ』


 見守る?


『そう。ルルアーナを見守るの。でも、精霊のぼくたちじゃ普通の人間には姿が見えないから、不便があるでしょ。だからね、君のお目付け役が来るんだよ。そろそろ到着する頃だと思うんだけど………あ、来た』


 たしんっ


 黒い何かが、布団の上に降り立った。


 生まれて間もないわたしは、頭を上げることができないのでソレがなんなのか確認することができない。うーむ。身体が思うように動かないって不便だな。


『コレが、愛し子か?こんな赤ん坊が?………ふん。銀色の髪に紫色の目か。色は悪くないな。魂は、清い状態か。さすがに、生まれて二日で穢れるわけがないか。で、精霊たち。俺に報告はあるか?』


 黒いソレは、とっても不機嫌そう。わたしが、その不機嫌の原因だとしたら、申し訳ない。


『ライザール様。ようこそおいでくださいました。ルルアーナ様は素晴らしいです。思考することができるので、我々とコミュニケーションを取ることができます』


『シルフ。それはどういうことだ?赤ん坊でも考えることはするだろう。それのなにが素晴らしいんだ』


『ルルアーナと念話を繋いでください。そうすればわかりますよ』


『ふん。どうだかな。………おい、娘。なにか考えてみろ』


 あらあら。ずいぶん偉そう………というか、本当に偉いのかな?だとしたら、丁寧に接しないといけないよね。敬語を使えばいいのかな?


『なに?!』


 黒いソレがいきなり視界いっぱいに広がって、金色の瞳がわたしを見つめてきた。


 うわあ。星みたいに綺麗な瞳。吸い込まれそう。


『うっ!』


 ?


『なんだこいつは?!』


 ん?


『シルフ、こいつはどうなっている?!』


 黒いソレは混乱しているように見えた。


 大丈夫かな?わたしのせいで混乱しているんだとしたら、申し訳ないよ。わたし、なにかしたかな。


 あの、えと………そうだ。ライザール様!あの、ライザール様。わたし、なにかしてしまいましたか?


『………なにもしていない。少し、驚いただけだ。ルルアーナ、お前は普通の赤ん坊ではないのか?なぜ、そんなふうに受け答えができる』


 う〜ん。それは、わたしにはわかりません。


『そうか。どうやら、俺が聞いている以上のことが隠されているようだ。ゼノグレア様が俺をルルアーナの目付役にしたのは、なにか理由がありそうだな』








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