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ー4章ー 13話 「一杯の茶が繋ぐ国と街」

アステルド連合国代表のオスカー・フェルドさんが突然やって来た。


錬成で車や荷車を作り、アステルド連合国で販売する事が数年前に決まり、ボルン商会を通じて時折錬成しては販売していた。


今もそうなのだが、魔王復活という抗えない現実を考慮して、当時僕はオスカー・フェルドさんとの面会をお断りした。


その理由については、余計な混乱を避ける意味で、ボルンには伏せておくように伝えていた。


取引相手の国に本人が挨拶をしないのは、大変失礼であるとは思ったけど、この世界の有事にそれは言っていられないという思いの方が強かったからだ。


……まして僕はまだ弱い。


その間、アステルド連合国から何も言われていないようだったので、理解してくたのだと思っていた。


そんな中での来訪……一体何の目的で来たのだろうか?


オスカーさんは僕の手をしっかりと握り、


「アレン君のお陰で、国民生活が豊かになり始めているよ。本当に感謝している」


そう言って僕の錬成が役に立っている事へのお礼を伝えてきた。


僕の能力が誰かの役に立っているのは、とても喜ばしい事だ。

だけど、改めてその事を伝えに来たにしては、随分と物々しい。


護衛をしている兵士の数や、馬車の数が随分と多い。

ただお礼と挨拶をしに来ただけとは思えない。


「立ち話も何なので、良かったらこちらへお座り下さい」


僕はオスカーさんを僕の座っている席へ案内し、座ってもらった。


何もお出ししない訳にはいかないので、紅茶を出す事に。

オスカーさんの嗜好が分からなかったが、紅茶であれば恐らく差し支えないだろう。


僕は暖かい紅茶と、お好みで加える事ができるようにミルクとシナモンをお出しした。


「お気遣い、ありがとう」と紅茶を一口。

「……これは、美味しい!」と、ミルクを加え、もう一口。


一人頷き、紅茶にご満悦の様子だった。


そしてミルクの隣に置かれていたシナモンに気が付き、香りを確かめる。


恐らく初めてだったのだろう。

そのエキゾチックな香りに、「これは何ですか?」と不思議そうに質問をしてきた。


「それはシナモンと言います。ミルクティーに入れると、また違った味わいになりますよ」


そう伝えると、恐る恐るシナモンを加え一口。


「こ…これは!」


初めて味わうシナモンミルクティーに、言葉を失ったようだ。


反応からするに好印象だったのだろう。

オスカーさんはシナモンを大変気に入った様子で、暫くの間頷きながら黙ってシナモンミルクティーを飲み干した。


「はぁ…」と息を吐き、「この茶葉とシナモンは誰が作っているのですか?」と、予想通りの質問がきた。


茶葉は最初僕一人で世話をしていたが、剣の練習との両立が難しくなり、興味のあった街の人数人に教え、今は茶畑をお願いしている。


シナモンは、森から定期的に僕が集めている。


お菓子やケーキなんかにも使えるけど、時間的な余裕がないので、今はミルクティーに加えるくらいでしか使っていない。


「なるほど……」と頷きながら、オスカーさんはみんながいる前で終始言葉少なに感心していた。


するとオスカーさんは飲み干したカップをそっと置き、


「突然こちらへお邪魔したのは、お礼と情報交換……いや、共有と言った方が良いかな」


と、穏やかな顔つきから一変、真剣な面持ちで語り始めた。


その表情からは不穏な何かを感じ取れた。

それは恐らく、森の外の話だろう。


……一体何があったのだろうか。


僕らはオスカーさんの話に耳を傾けた。

森の外で起こっている出来事に。




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