ー4章ー 6話 「答えを探す足取り」
筋肉痛で剣を振る事ができない中、僕はそれ以外にもできることはないかを考えていた。
無影はただ剣速が早いというだけではない。
それはオルセアが言っていた、剣を空気に感じる程の筋力と、爆発的に間合いを詰められるほどの瞬発力が必要という事だ。
つまり今、剣を振る事が難しいのであれば、瞬発力を鍛えれば良いということ。
だが今までのように、ただ闇雲にダッシュを繰り返したり、走ってみたりしても、そこに到達するには余りにのんびりし過ぎている気がする。
同じ事をするにしても、もっと効率よく鍛える事ができるはずだ。
そこで僕はとある物を思い出したのだ!
この森での生活しか知らないから、ひょっとしたらアステルド連合国や、グランゼル王国で売っているかもしれないけど………そう、それはリストウエイトだ!
これを錬成して手首や足首に装着することで、格段に負荷がかかる。
練習中も然ることながら、日常生活でも常に着用していれば、自然と瞬発力があがるのではないかと思う。
まずは手始めに2キロのものを作ってみることにする。
四箇所で8キロ……これはそれなりに負荷がありそうだ。
常時装着、オルセアとの稽古の時にも例外なく使用するので、まぁ最初はこの程度が妥当だろう。
早速錬成してみると、光の中からリストウエイトが姿を現し「ズシッ」と地面に落ちた。
……なかなか効果がありそうではないか。
無言のまま両手首、両足首に装着してダッシュをしてみる……。
重いのもあるが、身体が変な方向に振られる感覚がなんとも言えない。
だがこれを克服できた暁には、僕はきっと進化していることだろう。
オルセアが何歳くらいでこの無影をあみ出したのかは分からないが、魔王復活までの時間を僕なりに考えてみる限り、この程度の事でへこたれている場合ではない。
みんなも師匠の元で秘策を学んでいる事だろう。
僕は日が暮れるまでひたすらダッシュを繰り返した。
……きっと無影ができるようになると信じて。
翌朝、腕の筋肉痛は少し良くなっていたが、代わりに足腰が悲鳴をあげていた。
まぁ分かっていた事ではあるのだが。
一夜開けたのにも関わらず、足が笑っているような変な感覚だ。
リストウエイトを装着している分、足を上げるのに一苦労する。
朝食を食べるのに広場に集まったみんなは、僕を見るなり「どうした?大丈夫?」と声を掛けてくれだが、オルセアだけは黙っていた。
それは見放したとか、冷たく接しているとかではなく、僕自身の成長を静かに見守っているのだろうと思った。
これまでは手とり足とり色々と教えてもらっていたけど、ここからは僕だけにしか答えが出せない領域なんだと言われている気がした。
……分かっているよ、オルセア。
身体は痛いけど、僕もその先を見てみたいんだ!
朝の爽やかな風を感じながら、確かな決意を胸に抱いていた。




