少年時代編 ー4章ー 1話 「それぞれの道、それぞれの修練」
草木が新たな芽吹きを見せ始めた、まだ少し冬の名残りを感じる季節。
僕は早朝から剣の修練に励んでいた。
あれから4年……僕らは10歳になり、身体つきも少しずつ大人びてきた。
最近の僕はと言うと、オルセアが付きっきりで、毎日みっちりと剣の稽古をしている。
昔は相手にもならなかったのだが、最近ではオルセアを追い詰める事もしばしばあり、少しずつではあるが、剣の腕も上達してきたように思える。
……ひょっとしたらオルセアが年齢を重ねたのと、少し手を抜いている可能性はあるのだが。
それでもかつてのように、剣を交えているのに弄ばれている感じは全くない。
対等……とは言えないが、それなりに応戦できていると思う。
ガルドはローデンさんと大盾の修練に励んでいる。
ローデンさんの稽古は中々に厳しいらしく、「お前が倒れたら全滅すると思え!」と口癖のように毎日言われているとの事。
確かにパーティにとってガルドのポジションは守りの要である。
その口癖は当然と言えば当然なのだが……何だか大変そうだ。
最近では大盾以外にも、ガルドに合った武器を色々と試しているらしい。
防御特化とはいえ、いざと言う時には多少なりとも攻められなければという考えかららしい。
……色々と考えているんだな。
リシアはメルフェリアさんと一緒によく森へと出かけている。
村にいると時折「ドーン!」という音が聞こえてくる。
その後に「ドカーン!」と更に大きな音が決まって聞こえてくる。
きっとあれは二人が何かの魔法を使っているのだろうと思っている。
そしてその音から、どちらが放った魔法なのかも何となく分かる。
ルナとリゼルさんは朝と夕方、ご飯を食べる時以外はどこに居るのか全く分からない。
何かはやっているのだろうが、その姿を誰も見ていないのだ!
秘密主義……というわけではないだろうが、一体どこで何をしているのか。
不思議に思ったので聞いてみたことがあるが、「大事な試練に緩衝してはいけない」とリゼルさんは謎めいた事を言って教えてはくれなかった。
……察するに、ルナにとって大事な時期なのだろう。
とっても気になるが邪魔するのは良くない。
僕はそう言い聞かせる事にした。
それぞれが自分の師を信じて着実に成長している。
色々と力を入れて教えているのは、魔王復活までに間に合わせるため。
僕らの平和を守るために強くなりたいだなんて、現代で生きていた頃に少しでも思った事があっただろうか?
そんな事を時折考えている。
夕日が茜色に染まる頃、僕らはいつもの広場にある食卓へと集うのだった。




