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ー3章ー 27話 「壁が必要な理由」

翌日、いつものように朝食後のティータイムで寛いでいると、ラッツさんが荷馬車に乗っていつものように移住者の人を沢山乗せて現れた。


昨日オルセアから聞いた話がずっと残っていて、本当は剣の練習を再開したいと思っているのだが、「もう少し休め」と言われてしまったので、仕方なくこうして寛いでいるわけだ。


それにしても毎日ラッツさんは移住者の人を連れてくるが、僕の知る限りもう50人くらいは連れて来ている。


もちろんそれを見越してオルセアは村を作ると言っていたのだろうが……この勢いだと、街になるんじゃないか?


大工さんの仲間も王都から移住して来たお陰で、家はどんどん建てられていくし、元々王都で商売をしていた人なんかもいるからお店もちらほら増えてきている。


森の中が少しずつ賑やかになってきて、子供のはしゃく声や井戸端会議なんかも見かけるようになって実に平和だとは思うけど...…村の敷地外はすぐに深い森だ。


これって安全な村と言えるのか?


確かにメルフェリアさんの結界が守ってくれているのは分かるけど、村と森を隔てるものはないもないから簡単に森へ入れてしまう。


森には野生の動物や魔物が居るから、小さい子供が遊び半分で入ったら危ないと思う。


……僕も小さい子供だけど。


それはそれとしても、何か対策が必要なのではないだろうか?


例えば壁を作るとか……。


そうだ、壁だ!


少し物々しい感じにはなるけど、「ここから外は危ないよ」と明確に分かるものがあれば安心なんじゃないだろうか?


どこまで人が増えるのかは分からないけど、増えたらまた作れば良いだけだし、壁なら錬成で何とかなるんじゃないか?


ここで温かいお茶を満喫しているのも良いけど、何もしていないのは落ち着かない。


まずは状況把握からだ!


僕は忙しそうにしているラッツさんに、王都からの移住者の数を聞くことにした。

一体あとどのくらいの人が移り住む予定なのか……まずはここからだ。


「ラッツさん、移住してくる人はあとどのくらいいるの?」


「んー、王都の情勢を知った人たちが日々増えてるからね……」


ラッツさんの話では、今決まっているだけであと100人程度はいるらしい。

しかしそれは今の時点で王都の事態を知っている人という事だ。


これから情報を知った人たちが移住を希望する可能性は高いと言う。


王都には中流階級以下の人達が2万人程度居るらしい。

流石に全員が移住を希望するとは限らないが、その規模の人々をこの森の村だけで支えられるのか?


村の運営なんてやった事はないから何とも言えないが、やはり壁は作った方が良さそうだ。


何せ一々村の外に出ようとする人々の行動に対して「外の森は危ないですよ!」と言い続ける事は不可能だからだ。


まだ人数が少ないうちに対策を練っておかないと取り返しが付かなくなる。


僕はラッツさんにお礼を言って大工さんの元へと向かった。


最大で2万人……これを受け入れるだけの広さって一体どのくらい必要なんだ?


壁作りの全貌が見えないまま一人考えながら歩いていた。




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