ー3章ー 24話 「優先すべきもの」
アステルド連合国代表のオスカー・フェルドさんが、僕に会いたいと言っているらしい。
実際に錬成して作るのは僕だから、一度会っておきたいというのは当然の反応だろう。
話を聞いた上で車や荷車を作るのは問題なさそうだから受けようとは思っているが……。
この世界の置かれている状況を考えると、やはり今は力を付ける事が優先されると思う。
もちろんこの村を発展させていくのも重要な事ではあるけど、魔王復活までの時間は限られている。
6歳という歳から始めて間に合うのかは分からないが、先日のゴブリンとの戦いで思ったのは、明らかに僕が弱いという事だ。
何とか勝てはしたが、あんな魔物がたくさん居たら間違いなく死んでいただろう。
平和な世界で錬成を使って世の中の為になる事だけ出来れば、それに超したことはないけど、魔王を何とかしなければそれさえ出来なくなる。
国家元首に会う機会なんてそうあるものではないのだけど、今はそのタイミングではないと思う。
「せっかくのお誘いだけど、今は難しいって伝えて。車や荷車を作るのはお受けしますって」
ボルンは訳を聞かずに「分かりました。依頼があった時はお願いしますね」とだけ言って笑顔でその場を離れた。
何だか悪いことをしちゃったかな。
理由くらい伝えても良かったけど……魔王復活なんて言って怖がらせてもいけないからね。
……やっぱりこれで良かったのかな。
何はともあれ、この村が使える資金を確保する事が出来たのは良い事だ!
本来ならオルセア達がやる事だけど、そこは臨機応変で良いのかな。
「アレン!……お前、寝てなくて大丈夫なのか!?」
突然声がしたので振り返ると、オルセアだった。
そう言えば気晴らしにと思って外に来たけど、誰にも伝えていなかった。
「うん。外の空気を吸いに来ただけ。大丈夫だよ」
僕はそう言ったけどオルセアから見たらまだ大丈夫とは言えない状態なのかもしれない。
流石に剣の練習はできそうにないけど、歩く事くらいなら出来る。
オルセアは広場の椅子に僕を座らせ、温かいお茶を出してくれた。
「アレンには石刃の事を話さなければならないな……」
そう言ってオルセアは僕の隣りに座った。
僕は放心状態だったからよくは覚えていないけど、ゴブリンが石刃……いや、剣に吸収されていくのを見ていた。
……あれは何だったのだろう。
まるで負けたらそうなるかのような必然性みたいなものを感じた。
オルセアは石刃の事を話さなければと言っている。
形状が変わったりするから不思議には思っていたが……一体何かあるんだ?
「……あの石刃…いや、石はな。魔王種が死の間際に落とす物なんだ」
……魔王種、つまりあのゴブリンのように進化した魔物の事か。
しかし何で死ぬ間際にそんな物を落とすのだろう。
その謎についてオルセアはゆっくりと語り始めた。




