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ー3章ー 21話 「ボルン、連合国でまさかの一手」

日も高く登ったお昼過ぎ。

馬の蹄の音と車を引く音が聞こえてきた。


僕は布団で横になっていたが、赤ちゃんの頃から聞き耳を立てる……否、音から情報収集するスキルを身につけている。


そのため誰が訪れたのかが直ぐに分かった。


その人物はボルンだ!


ボルンは1番弟子のベルネさんと共にアステルド連合国へ商談に行っていた。

この商談が成功すればグランゼル王国からの買い付けを止め、より安く、品質も今までと同水準の物が手に入る。


グランゼル王国の現在の状況から考えると、税収増を目的とした政策がなされている。


具体的な内容は分かっていないが、中流階級以下の国民が二択を迫られる事は間違いないようだ。


一つは国を捨て他国に身を寄せる。

もう一つは甘んじて受け入れ、苦しくても留まる。


移住を考えなければならないほどの増税を課す理由が全く分からないので、グランゼル王国を簡単に非難する事はできないが、そこまでして民が離れていく事を良しとしているのだろうか?


実際この村には着々とグランゼル王国からの移住者が来ている。


実に不便……いや、自然溢れる良い所だし、開拓も少しずつ進み、いずれは発展するだろう。


もちろん税なんてものはない。


今回のアステルド連合国との取り引きが上手くいけば、僕らの生活も変化するだろう。


聞くところによると、アステルド連合国は小国が集まって出来た国。


元々商業で交流があった国同士が一つになった国だけに複数の食文化が存在し、その分だけ食材も多岐に渡る。


その反面グランゼル王国は王制を敷いており、貴族文化が根強いため食材一つ取ってみても高級志向な国なんだとか。


もちろん庶民向けの物も売っているが、値段はアステルド連合国と比べると倍はするらしい。


そう考えるとボルンが売っている物も安くなる可能性は高い。


つまり僕らの生活も楽になると言うわけだ!


だけど残念ながらこの村は自給自足。

お金を稼ぐなんて事をしている人はボルンの奥さんと大工さんくらいだ。


その奥さんと大工さんでさえ、商売の傍ら畑仕事をしていたりする。

このまま人が増えたとして、全員が自給自足というのはどうなのだろうか?


手に職があっても仕事がないのはマズい。

そうなればいずれこの地を離れ、他の国へ移り住んでしまうだろう。


これではせっかく村を作ろうと考えたオルセアの思いが無駄になってしまうかもしれない。


まぁ今考えた所で直ぐにどうこうできる事ではないのだが。


戦った後だし、しばらく休んでいた方が良いのだろうけど、ずっと布団にいるのは気が滅入るので、気分転換がてらボルンへ会いに行く事にした。


いつもはグランゼル王国側の道からボルンは現れるのだが、今回は反対側のアステルド連合国側の道にボルンは居た。


……道と呼べるほどのものではないのだが。


それはさておき、ボルンに作ってあげた車と荷馬車の二台が並んで停まっている。

荷車にはたくさんの食材が積まれていた。

どうやら商談は上手くいったみたいだ!


「アレン坊ちゃん!お待ちしておりましたよ」


ボルンは僕の姿を見つけるなり開口一番にそう言った。


……待っていた?

全く身に覚えがない。


何かを頼んだ事はないし、お願いされた記憶もない。


新しい調味料でも見つけてきたのかな?


最近はお茶作りにハマっているので、紅茶に合う砂糖や蜂蜜といった物があると良いのだけど……グランゼル産の物は高くて手が届かないからね。


それにしてもボルンの表情筋が緩みきっている。


何やら良い商売でも思いついたかのようなニヤケっぷりだ!

それはそれで良い事だけど……何か怖い。


するとボルンは小声で僕に囁いてきた。


「坊ちゃん……錬成で作った車や荷車をアステルド連合国で販売出来るように話をして来ましたよ!」


……え!?

なんですとっ!?


僕は思わず目を丸くし、ボルンの顔を凝視したまま硬直した。



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