ー3章ー 18話 「進化する魔物と錬成の可能性」
イノシシを狩りに来たはずが、まさか昨日話していた魔物に遭遇するとは夢にも思わなかった。
緑色の肌に醜悪な出立ちのゴブリン。
明らかな敵意と殺気をこちらに向けているのが分かる。
初めて見るその姿はイノシシと対峙した時の恐怖感の比ではない。
命のやり取りという意味では同じだろうが、手には斧と盾、目つきは鋭く冷たい……そこにあるのは純粋な殺意のみ。
何より人型の魔物というのが、より一層そう思わせているのかもしれない。
背丈は僕より少し大きい程度だが、筋肉質で力勝負になれば僕に勝機はない。
リゼルさんは以前「この森の魔物は弱い」と言っていたが、とてもそんな風には思えない。
確かに彼女らからしてみれば、このゴブリンも弱いのかもしれないが……。
どう考えても格上の相手にしか見えない。
ゴブリンは草むらから突然飛び出してきて、手に持った斧を真上から振り下ろして来たが、オルセアの声で咄嗟に下がる事が出来たお陰で何とか交わすことができた。
あれをまともに喰らっていたら、僕は今頃死んでいただろう。
……未だに震えが止まらない。
オルセアたちは……いや、世界はこんな化け物みたいな魔物と戦っていたのか!
「アレン。コイツは弱っているとはいえ、進化途中の魔物だ!お前はまだ小さい……ここは任せろ」
これが進化した魔物なのか……!
僕の認識では、ゴブリンは最初からゴブリンだと思っていたが……それは現代の物語ではって事か。
何が進化してゴブリンになったのかは分からないが、コイツを野放しにしたら第二第三の魔王が誕生してしまうって事だ。
僕らが目指しているのは封印された魔王の討伐。
オルセアは「任せろ」と言ったが、それで良いのか?
確かに僕はまだ小さい。
力も大人に比べたら弱いのも分かっている。
でもこのゴブリンを倒せなかったら、この先どうやって魔王を相手にすればいいんだ?
僕はふと例の声に、頭に浮かんだ事が出来るか聞いていた。
「ゴブリンの足に錬成した物を直接着けることはできる?」
「可能です」
「鉄は限定的と言っていたけど、最大でどの程度なら使える?」
「一度に最大で3Kgの鉄が使用可能です」
なるほど……それだけ使えれば十分だ!
錬成は戦闘向きではないとオルセアは言っていた。
確かに直接的な攻撃はできないだろう。
だけど、戦闘補助くらいならできるはずだ!
最初にイノシシと出くわした時も、咄嗟に檻を錬成して閉じ込める事ができた。
今回の相手はゴブリン……斧を持っている事から、木製は不可……鉄が使用できる最大値からして檻を作っても意味がない。
僕はこの緊迫した状況下で、ある作戦を思いついていた。
「オルじい……大丈夫、僕が倒す!」
僕は震える手足を何とか押さえ込み、殺意に満ちたゴブリンと真っ直ぐに向き合った。




