ー3章ー 17話 「託された未来と、4人の歩む道」
……魔王復活まで、後20年。
この封印された期間はあくまで最長でという事だろう。
寧ろもっと早く封印が解かれるものだと考えていた方がいい。
僕は半分の10年持てば良い方だと考えていた。
これは根拠があってとかそういう事ではなく、そう考えて動くべきだという話。
生死に関わる話を悠長に構えるのは、余りにも楽観的過ぎる。
……しかしどのように動くべきなのか。
日々の練習は今まで以上に取り組むのは当然として、その間の魔物への対処や、今現在の封印の状況、他の国への情報共有など……やるべき事がたくさんあるだろう。
その辺もちゃんと考えてあるようで、オルセアは全員に今後の動きについて話てくれた。
まずは僕たちについてだ。
魔王と直接対峙する事になるであろう僕たち4人は、朝食後にマンツーマンで指導を受ける。
午後は子供らしく成長して欲しいという事で、それぞれの判断に任せるとした。
まぁ僕は練習すると思うけど。
オルセアは森の調査、勇者パーティのメンバーは交代で各地の魔物の発生源の調査をするそうだ。
交代で留守にするので、その間は皆でフォローしながら僕らの練習を見る事になった。
「お前たちに大変な役割りを押し付けてしまって……すまないな」
オルセアは自分たちで何とかできなかった悔しさを滲ませていた。
気持ちは痛いほど分かるが、仕方がない事だ……誰のせいでもない。
封印までして世界を救ったんだ。
その先は、僕たちが頑張るさ!
周りを見渡すと、ガルド、リシア、ルナも僕と同じ思いを抱いているのだろう。
その表情から確かな覚悟を感じ取れた。
6歳だからって現実を理解できないわけじゃないんだ!
オルセアからしたら、もっと子供らしく生きて欲しかったと思っているのだろけど。
僕は寧ろ、オルセアにこそ楽しい老後を過ごして欲しいと思うけどね!
自分の人生の大半を世界の為に使ったんだ。
それくらいのご褒美があっても良いじゃないか!
こういう重い話を聞いたり話したりすると凄く疲れるから、アレをみんなに振舞おう。
僕はみんなを広場のテーブルに案内して座らせた。
少し早いお昼ご飯でも良いのだけど、その前に気持ちをリフレッシュしないとね!
日頃から食事に使う香草を採取しに森に入るのだが、偶然野いちごを発見したので、乾燥させてお茶を作っていたのだ。
オルセアが畑で食材を育ててくれているが、流石にフルーツの類いはない。
ボルンがフルーツを何種類か売っているが、お茶にするには少し値が張るので野いちごならどうかなと思って作ってみた。
少し季節が移ろいできたのか、風が少し涼しい。
そんな時はやっぱり温かいお茶がピッタリという事で、みんなにストロベリーティーを入れてあげた。
野いちごの香りが鼻から抜け、スッキリとした口当たりのお茶が喉を潤してくれる。
……これは成功だ!
「……アレン、お前……天才だな!」
どうやら気に入ってもらえたようだ。
そしていつの間にかオルセアの眉間にあった皺はなくなっていた。
皆も今は魔王の存在を忘れ、僕のお茶で和やかな雰囲気になってくらている。
いつまでもこんな日常が続いてくれたらいいのだけど。
翌朝、昨日の話通り朝から練習が始まった。
といっても、食材の関係でイノシシ肉がそろそろ終わりそうもいう事で、オルセアと森へ向かった。
イノシシ退治は僕が担当になったから、練習も兼ねているで丁度いい。
いつも通りオルセアの指示の元、僕一人でイノシシと戦う。
愛剣の石刃も何度か使っているので、段々と馴染んできた。
息を潜めイノシシの気配を探っていると、草むらから「ガサガサッ」と音がした。
僕は戦闘態勢を整え、いつでも動けるように身構える。
すると突然「下がれ!」とオルセアが叫んだ!
咄嗟に後ろへ下がり、音がした草むらから現れたのは、一体のゴブリンだった。




