ー3章ー 16話 「魔王復活の刻限──残された猶予と託された意思」
規模の違いはあれど、各地に魔物の発生源が存在している事実。
そしてそこで魔物が魔物を吸収するかのように進化を遂げているという話。
オルセアの指示の元、勇者パーティが各地へ研鑽の旅と称して調査をしていた事。
今は何事もなかったかのように平和に見えるが、魔物の脅威は依然として残っている。
そう……何も終わっていないのだ。
その事実をどれだけの人が認識しているのだろう。
人は忘れる事で心の平穏を保ちたがる生き物だ。
でもいくら忘れようとも、その危機は解決しない限りずっと存在し続ける。
その事を全員に伝えた所で、受け入れる人はどれくらいいるのだろうか?
恐らくオルセア達は人々が受け入れ難いこの事実を、人知れず排除しようとしているのだろう。
魔物もある意味、上手く利用すれば兵器となり得る。
そんな国がもしあったらと思うとゾッとするが、それさえも見越してこの森を選んだのだろう。
多分この事実をちゃんと受け止めているのは、ここにいる人だけ……ならば僕もキチンとそれに向き合わなければ!
オルセアは顎を擦りながら調査の結果を話し始めた。
「全員の調査結果と俺の見解を総合すると……やはり魔王は魔物の最終進化形態と言って間違いない」
……やはりか。
話を聞く限り、オルセアが当時封印するしかないと判断したのは正解だった……いや、それしか道がなかったのは当然だ。
魔物が魔王の力の源になっている以上、それを絶たなければ、いくらオルセア達が英雄と呼ばれた超人だとしても勝てるはずがない。
そんな魔王を封印したのだから、やはりオルセア達は只者ではないと改めて思う。
だけどその封印はいつまで持つのか。
…永遠になんて都合の良い話はないだろう。
オルセアは封印について、持って後20年程度だろうと話していた。
つまり僕らの世代で封印は解かれ、魔王の脅威が再びこの世界を襲うという事だ!
その頃オルセアは70歳を超え、いくら剣聖だ、英雄だと謳われた存在だったとしても、まず対応できないだろう。
だから僕たちに戦う術を教えてくれていたのか……。
何となく心のどこかでファンタジー気分であった事が、恥ずかしくなった。
「世界を救う」なんて、本やゲームの世界の話でしかないと思っていた。
だが、こうして現実の問題として目の前に存在していると、遊び半分ではいけないと痛感させられる。
英雄になろうなんて思わない……でも、逃げる訳にはいかない!
これは事実を知っている人間がいち早く決断し準備をしなければ、とても間に合わない。
オルセアは「もう少し大きくなったら…」と言っていたが、寧ろこのタイミングで聞けた事が良かったと思う。
受け入れざるを得ない事実……オルセア達が命を掛けて稼いだ、魔王復活までの時間。
この後、どのような対策が必要なのかをオルセアは語るのだった。




