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ー3章ー 8話 「初めての狩りと、剣に宿った光」

茂みに潜む何かの気配……初めての狩りに心臓の鼓動が高鳴る。


オルセアは傍に居てくれるが、本当に上手くいくのかは分からない。

過去にイノシシと二度戦ったが、そのどちらも錬成による捕獲という形で勝利している。


つまり、剣で倒した経験はないということだ!


今後の魔物との戦いを想定しても、イノシシを剣で倒せなければ直ぐに行き詰まってしまうだろう。


何としてもここで真の意味での初勝利を納めなければ、剣士として失格だ。


僕は深呼吸して何とか緊張を和らげようと務めた。


「アレン、相手は直線的な攻撃をしてくる。それを踏まえて攻撃しなさい」


懇切丁寧なアドバイスはなかった。

あくまでヒントをくれたに過ぎない。


戦場となれば戦いの中から打開策を見出していかなければならないという、オルセアなりの教えなのだろう。


そしてこの戦いの答えは、毎日の練習の中にあるのだと思った。


直線的な攻撃……正面でことを構えれば、物理的に僕がやられる。

体重差も戦闘においては優劣がある。

僕はイノシシよりも遥かに軽い……素早さでいえば僕の方が上だが、攻撃力は向こうが上。


この差を埋めるには……。


そうこうしていると、茂みの中から鳴き声が聞こえた。


……イノシシだ!


大きさまでは分からないが、間違いなく相手はイノシシ。

僕は剣を構え、いつでも動けるように体勢を整えた。


次の瞬間、イノシシが威嚇をしながら姿を現す。


……遂に来たか。


僕は剣をまるで自分の体の一部のように握り、相手の初動を伺った。

向こうも警戒心を高めているだろうし、こちらの出方を伺っているのが分かる。


先手必勝とは言うが、ここは慎重に動いた方がよさそうだ。


双方の睨み合いが続く……勝敗は一瞬で決まるかもしれない。

オルセアもただ黙って行方を見守っている。


次の瞬間、イノシシが動いた!


まさに猪突猛進……イノシシは一心不乱にこちらへ全力で走ってきた。


……まだ少し距離がある。

もう少し引き付けてからだ!


僕は交わせるギリギリまでイノシシを引き付けた後、真横へジャンプした。


急な動きにイノシシは対応出来ず、正面の木に激突した。

その隙を狙ってずっと練習してきた袈裟斬りの体勢を取る。


……が、ここで剣に変化があった。


意識はしていなかったのだが、剣に僕の魔力が込められ、光を帯びだしたのだ!


これがメルフェリアさんの言っていた事なのか!?


既に袈裟斬りのモーションに入っていた僕は、その変化をあれこれ考える間もなく、そのままイノシシに斬りかかった。


魔力が付与されているからだろうか……剣は何の抵抗もなく、スーッとイノシシの首を切り裂いた。


イノシシは暴れる事も鳴くこともなく、そのまま絶命した。


あまりに一瞬の出来事だった。


もっと時間が掛かり、死闘を繰り広げる……そんなイメージを持っていただけに、終わったという感じがあまりなかった。


オルセアは腕を組み満足気に頷いている。


それまで気を張り詰めていたせいか、足の力が抜けその場に座り込んでしまった。


何にせよこれが僕の初勝利だ!


まだまだ未熟で、見直す事や覚える事がたくさんあるが、この小さな勝利は剣士としての自信を貰った忘れられない出来事となった。


この日、命のやり取りの末倒したイノシシを、みんなで有り難く頂いた。






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