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ー3章ー 3話 「剣聖の謎」

長い沈黙を破ったのはローデンさんだった。


彼の目は何かを決意していた。

それは共に戦ってきた仲間への哀しみと、無用な争いに対する怒りを内包しているようだった。


「我が師、剣聖オルセア様。ローデン・バルグレイヴに、グランゼル国王討伐の許可を……!」


その目には涙が溢れていた。

震えた声で訴えるローデンさんの肩を、そっと抱きしめるメルフェリアさん。


きっと勇者セリオンは仲間であり、同志であり、友だったのだろう。

メルフェリアさんもローデンさんの言葉を否定できず、ただ泣いていた。


「よく聞け、二人共。セリオンの役目は、俺のはずだったのだ……それにお前達まで失う訳にはいかない!……セリオンの死とお前たちの憤りは、生涯俺が背負い続けよう」


静かに二人を諭したオルセア。


五年という歳月を争いに費やした国が、弱体化しているのは明らかだ。

しかしオルセアは国王討伐を許さなかった。


怒りや憎しみは、いずれ自分に戻ってくると分かっているからだろう。

弟子にそんな思いはして欲しくないという師匠としての優しさなんだと思った。


ローデンさんは地面を殴りつけ、やり場のない怒りをぶつけていた。


こんな人格者の心を狂わせる国って何なんだ!


僕も何だか胸が苦しくなった。


「しかし!……いや、やめておきましょう。一番お辛いのはオルセア様でしたね」


ローデンさんは、言いかけた言葉を飲み込んだ。


辛いのはみんな同じだけど、オルセアの思いが彼の気持ちを踏みとどまらせたのだろう。


暫くの沈黙の後、オルセアはローデンさんの気持ちを少しでも和らげようと、口を開いた。


「俺が得ている情報が確かなら、グランゼル王国はいずれ崩壊するだろう。全ては強欲王が招いた結果だ……我らが手を下すまでもない」


オルセアは何かを知っているみたいだった。


多くを話さなかったが、グランゼル王国の政策の失敗がいずれ崩壊を招くきっかけになると話していた。


自滅への道を歩んでいる事を知らない王とは……何とも滑稽な話だ。


国同士の情勢は分からないけど、戦場を渡り歩いてきたオルセアが言うなら間違いないだろう。


今は様子を見るしかなさそうだ。


それはそうと、ここには僕たち子供が揃っている。


ずっと僕だけが知っていて、本人が今日まで語らなかった事をローデンさんが口にしていた……そう、「剣聖」のことだ。


今ここで聞くのが、絶好のタイミングではないだろうか?


少し周りの気持ちが落ち着いてきた今、僕は子供の純粋な好奇心と言う事でオルセアに尋ねた。


「ねぇオルじい、剣聖ってなに?」


メルフェリアさんとローデンさんは不思議そうな顔をしている。

恐らく二人はオルセアが既に話しているものだと思っていたのだろう。


だが、僕の知る限りその説明を誰かにしているのは聞いたことがない。


オルセアは少しため息をついて、仕方がないといった感じで話し始めた。


「じいは昔、魔物から国を守った褒美として王国から剣聖の称号をもらったんだ……」


ついに話始めたオルセアであったが、本人はあまり話したそうではなかった。


聞いてはいけない事だったのだろうか?


ボルンやローデンさんが「剣聖」と口にしたのは、親しみや尊敬の念があるように思っていたのだけど……。


少し間をおいて再びオルセアが語り始めた。


それは弟子にも話したことがなかった、彼がずっと抱えている「剣聖」に纏わる表と裏の話だった。






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