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ー2章ー 23話 「剣聖の弟子、森に現る」

あれから一ヶ月。


僕たち三歳児が作った水路は、大工さんが王都いる仲間の大工さんに応援を要請して、村となる場所の中央を貫き、見事な水路か完成していた。


貯水槽も新たに大きくなり、そこに貯まった豊かな水が僕たちや将来移り住んでくる人達が安心して使える生活インフラとして誕生した。

「しかし三歳にしてこんな大事な設備を考えつくとは……アレン坊ちゃんの将来が楽しみですね!」


大工さんたちは僕を褒めてくれたが、少ない人数の大人だけで気づける事には限界がある。


大工さんたちは家作りに忙しいし、オルセアも畑や家畜の世話で忙しい。

正直もう少し人がいれば、やれる事や必要なものに気がつけるのだが。


何にせよ、生きていく上で欠かせない水の確保はできた。

これでオルセアの負担が減り、少しはゆっくりできるだろう。


そんな事を考えていた時、大きな鷹が僕の家の傍に設けられている止まり木にやって来た。


暫く見ていなかったが、何かを伝える為に飛んで来ているのは分かっている。

僕はオルセアに鷹が来たことを知らせに行くと、畑仕事を中断して止まり木へと向かった。


足に括りつけてある筒から手紙を取り出し、神妙な面持ちで内容を確認している。


一体何があったのだろう。


暫くして手紙を読み終えると、「これは忙しくなるぞ……」と呟いて大工さんの元へ向かった。

察するに、王都で何かがあったのは間違いない。


気にはなるが盗み聴くのも良くないので、僕は今晩のご飯に使う香草を取りに、森へ向かおうとした。


すると馬の蹄の音がしたのでそちらを見てみると、ボルンの荷馬車とは別にもう一人馬に乗っている女性の姿があった。


一見すると「魔女」のように見える。


ボルンが連れて来ているようなので、怪しい人ではないだろうが、誰なんだろう?


「アレン坊ちゃん、お久しぶりですね。今日も調味料を仕入れてありますよ?」


あれ以来、味へのこだわりがあると思われた僕の為に、ボルンは毎回調味料を欠かさず仕入れてきてくれる。

新商品があると味見をさせてくれ、僕が気に入ると定番商品として定期的に入荷してくれるのだ。


だが、今はそれどころじゃない。


その魔女らしき人がもの凄く気になる!


ボルンに尋ねると、どうやらオルセアの古い知人だそうだ。

オルセアが今も王都で暮らしていると思っていたがここへ移り住んだと、たまたまボルンから聞いて一緒に来たのだとか。


オルセアの古い知人という事は、かつての仲間だった人?


見た目は2、30代といった感じ。

オルセアより明らかに若い。


ただ、その身にまとっているオーラは只者では無いと、素人の僕でも感じ取れる程だ。


オルセアが読んでいた手紙の内容も気になるが……この人の素性も気になる!


何か今日は気になる事が多い日だな。


僕は無垢な三歳児の特権を活かし、魔女のような女性に聞いてみた。


「じいのお友達の魔女さん?」


「うふふ…魔女に見えるかしら?私はオルセアさんの弟子なの」


なるほど、お弟子さんか。

オルセアは魔女まで育てていたのか……剣聖、恐るべし!


オルセアを呼んで欲しいと言われたが、今は大工さんと話をしていて手が離せない事を伝えると、納得したのか暫く待たせてもらうと言った。


僕は暫くの間お弟子さんの魔女と、たわいのない話で盛り上がり、魔女さんが行った事のある遠くの国の話などを聞いて楽しんだ。


すると、大工さんとの話を終えたオルセアが姿を現した。


さて、こっちはどういう話になるのだろう?




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