ー2章ー 14話 「錬成と朝の訪問者 ―森に訪れた新たな風―」
みんなの練習用装備は錬成した。
喜んでもらえたし、僕自身も錬成の練習になったから、そういう意味では大変満足している。
だが肝心の僕の装備は、未だオルセアが拾ってきたその辺に落ちていたであろう木の棒。
率直な感想を言えば扱いやすいし、とくに困った点はない。
このままでもいいのだけど、やっぱり僕専用の武器は欲しい。
という事で僕も武器を作ることにした。
いずれオルセアの剣を託されれば剣を二本扱わなければならない。
それを見越して今から二本用意してもいいのだが……僕は剣の素人。
とてもいきなり扱えるとは思えない。
まずは師匠の言いつけを守って一本の剣をまともに扱えるようにならなければ!
どんな形状が良いのか悩んだが、考えたすえ石刃が剣の長さになった時と同じような感じが良いだろうと思った。
もちろんその形状は想像するしかないのだが。
今の石刃をよく観察し、その姿を想像してみる。
よし、恐らくこんな感じだろう。
イメージが固まったところで早速錬成を始めた。
白い光を放ちながら想像した物体が構築される。
仕上がっていく様は実に美しい。
暫くするとイメージ通りの剣が完成した。
木製でありながらも、そのディテールは正に完璧。
出来上がった剣を手に取り、重さや硬さ、握った時の感触を確かめた。
実にしっくりくる!
早速剣を試し振りをしてみると、シュッ!という空気を切り裂くような音がした。
練習用ではあるが、これで全員自分の特性に合った装備を手にすることができたな。
後はひたすらに練習あるのみ!
この後僕らはそれぞれ練習に没頭し、腕を磨いた。
翌朝、料理担当である僕は朝食作りをしていた。
するとボルンがいつもの様に現れた。
商いに来るにしては、いつもよりも間隔が早いように感じた。
ボルンが普段来ているのは、三日に一度。
前回来たのは昨日だ。
珍しい事もあるもんだと見ていると、今日は商品の代わりに人を数名乗せていた。
一体何事だろうか。
到着早々荷車に乗っていた人達とオルセア、大工さん達で話し始めた。
僕は朝食を作りながらあまりよろしくはないが、その話を聞いていた。
話の内容から移住希望者だと分かった!
何もない森に移住して来ると言うことは、恐らく以前話していた王都の中流階級以下の人違だろう。
まだ政策が施行されるのは先だと聞いていたが……。
「これは私の家族です。オルセア様にお目通りするのは初めてでしたな」
何とボルンの家族だった。
ボルンの稼ぎがどの程度かは知らないが、失礼な話上流と呼ばれる程の商売はしていないだろう。
恐らくそういった類の人は、宝石商や不動産業など、大きく稼げる仕事をしているはず。
まぁ森が賑やかになるのは大歓迎だ。
「私は今まで通り、行商を続けます。妻にはこの森で店をやってもらおうと考えています」
一瞬耳を疑ったが……店を開くと!?
何屋さんを始めるのかは分からないが、遂にこの森に店が建つのか!
オルセアは村を作ると言っていた。
そしてお店の開業は、その計画にぴったりじゃないか!
まだこの森にはオルセア家と大工さん達しか居ない。
ボルン家を加えても大した人数じゃない。
だが先々の事を考えれば、今店を構えておくのは正解かもしれないな。
少しずつだけど、村にするために進んでいる現状を、僕は朝食を作りながら実感していた。




