ー2章ー 13話 「初めての杖と羨望の棒」
オルセアは錬成した大盾を片手にガルドの元へと向かった。
彼は石をほじくる事に夢中で、防御職としての練習を一切やっていなかった。
まぁ、防御って誰かに攻撃してもらわないとできないってイメージがあるのは確かだけど。
だが三歳児仕様の大盾を僕が錬成したので、何かしらの練習ができるだろう。
その方法については、オルセアが一番理解している。
素人の僕が心配したところで、なんの意味もない……ここは見守ることにしよう。
オルセアがガルドに話しかけると、ガルドは渋々ほじくる手を止めた。
何を話しているのかは少し遠くて聞き取れないが、恐らく練習してもらうために説得でもしているのだろう。
暫く様子をみていると、どうやら会話が終わったようだ。
ガルドは肩を落とし、非常に残念そうな表情を浮かべていた。
そんなに石をほじくるのが楽しいのか!?
まぁ普通の三歳児なら、そういう反応も頷けるんだけど。
ガルドはオルセアから大盾を手渡され、構えや扱い方をレクチャーされていた。
何があるかは分からないが、恐らく君の防御力が重要になる場面はきっと訪れる。
頑張るんだ、ガルド君!
ガルドの練習を見ていたリシアとルナは、大盾に興味をもったのか、練習しているガルドたちに合流した。
僕は木の棒を振りながらその様子を伺っていると、二人が僕の方へと向かってくる。
まぁ何となく察しは付く。
恐らく「私たちの武器も作って」とせがんでくるだろう。
だけど魔法職の武器なんて作れるのか?
大盾くらいなら問題ないとは思ったが、魔法が使える杖だよね……難しいのでは?
いつも頭に響いてくるAIみたいな声と話ができれば聞けるんだけど……まぁそこまで都合よくはいかないか。
「可能です」
……へ?
「魔石がない以上、使用者が杖に魔力を込める必要がありますが、杖自体は作成可能です。但し、素材は木に限定されます」
まさか会話までできるなんて。
だったらもう少し早く言って欲しかったんですけど!?
……まぁいいや。
今後の錬成で分からない事が聞けるって分かっただけでも収穫だ。
さて、どんな武器を作ってあげようかな。
そう考えていると二人が僕の前に来て、「私たちにも作って!」と予想通りのお願いをしてきた。
子供が考えそうな事など既に分かっていたさ。
って、僕も子供だけど。
それはさておき、まずはリシアの杖から作ってみるか。
魔法使いって事だから、僕のイメージでは両手杖なんだけど……リクエストがないからそれでいいかな。
RPGで定番とも言える、先端がクルクルしているあの木の杖にしてみよう。
僕はイメージをできるだけリアルに想像した。
すると、いつものように白い光が目の前に現れ、徐々に杖が構築されていく。
いつ見ても不思議な光景だ。
そして出来上がった杖をリシアに渡した。
「杖に自分の魔力を込めて使ってね」
商品説明は大事だからな。
後で「使えないじゃない!」とかクレームを言われても困るしね。
魔力の込め方は恐らくオルセアが知っているだろう。
リシアは嬉しそうに杖を構えたりして喜んでいた。
次はルナだ。
回復職である彼女は、片手杖の方が良いかな。
後方支援職だけど、戦闘向きではない以上身動きが取りやすい方が何かと助かるだろう。
イメージでは先端に魔石が付いているイメージだけど、今の僕にはできない。
なので、それっぽい装飾にしてみよう。
天使の羽をあしらった木彫りの装飾でどうだろうか。
僕はイメージを膨らませ錬成した。
錬成中の光を見てワクワクしているルナ。
期待に応えられるといいのだが。
出来上がった杖は想像通りの仕上がりだった。
個人的には満足しているが、ルナの反応はどうだろう?
「かわいい……ありがとう!」
大変ご満悦のようだ。
しかし今思ったのだが、僕だけその辺に落ちていたであろう木の棒だ。
みんなだけズルい!
こうなったら、僕も自分の武器を錬成しよう!
……みんなよりもカッコイイのをね。




