ー2章ー 8話 「三歳児、錬成スキルで食卓改革!」
ボルンとの取引に成功した僕は、早速調味料を見せてもらうことになった。
固有スキルをこんな形で使って良いものなのか、正直悩ましいところではあるが……。
まぁ結果的にお互いの悩みを解決できたなら問題はないよね?
って事で、魅惑の調味料を吟味しようではないか!
ボルンは僕が見やすいように今ある調味料を用意してくれた。
塩はもちろん、胡椒や柑橘系の果汁、王都で流行っているという調合されたソースなど、多種多様だった。
色々目移りしてしまうラインナップに心が踊る。
今日の食事はイノシシ肉……これに合う調味料をチョイスするとなると、やはり塩と胡椒だろう。
シンプルだけど、これだけで十分に美味しい!
だけどこれだけでは焼いた肉しか食べられない。
僕は荷車に積まれていた食材に目をやると、トマトのような野菜がある事に気がついた。
「ボルンさん、その赤くて丸い野菜はなんですか?」
気になっていたので聞いてみると、
「これはトマットという野菜で、酸味と果肉がジューシーな野菜ですね。栄養も満点ですよ!」
……トマット……トマトだな。
この世界と現世で言い方や見た目が若干違うだけで、根本は一緒なのだろう。
僕は日頃森で野草などを調べていたが、香草の類いが自生しているのを確認している。
このトマットと香草、塩、胡椒を使えば……トマト煮込みが作れそうだ!
……いや、トマット煮込みか?
まぁどっちでもいいか。
三歳児の僕が作ったら怪しまれるかもしれないが、そこは天賦の才という事にして作ってしまおう。
なに、子供の悪戯が奇跡を起こしたという事になれば良いだけのことだ。
「では、そのトマットと塩、胡椒をください!」
ボルンは笑顔で商品を袋詰めしてくれ、僕に手渡してくれた。
「アレン坊ちゃんは偉いですねぇ。その歳でお使いができるなんて」
ボルンはオルセアのお使いで来たと思っているのか?
……ツッコミどころはあるが、そういう事にしておこう。
僕はボルンと別れ、オルセアの元へと向かった。
肉を焼き出されては手遅れだ!
頼む、生肉のままでいてくれ……!
全速力で戻ると、オルセアが丁度肉を切り分けているところだった。
間に合った……これなら味付けができる。
「オルじい!これで味付けしよ?」
僕は袋から塩、胡椒を取り出しオルセアに見せた。
当然の反応だが「一体どこで手に入れてきたんだ?」と言われたので、素直に事情を話した。
もちろん、固有スキルを使った事も。
オルセアは腕を組み、一瞬考え込んだが、
「その歳で大人と交渉したって……アレンお前、ひょっとして商才があるんじゃないか!?」
と、かなり驚いていた。
普通の三歳児はおねだりするくらいだろうから、そう思うのは自然か。
何にせよこれで固有スキルは今後使っても問題なさそうだし、味のある料理も堪能できそうだ!
僕は生肉の前に立ち、塩、胡椒をササッと両面に振りかけた。
苦節三年……遂にこの時がやってきた!
ヤバい、よだれが出そうだ……。




