ー2章ー 6話 「神に愛された錬成」
転生する時に得た錬成という固有スキル。
どう使うかは僕が考えなさいという事だったが、赤ちゃんの時には年齢制限があって発動しなかった。
三歳になった今、イノシシの襲撃という危機的状況下で年齢制限が解除され、初期という事みたいだが、錬成に成功した。
まさかこのタイミングで発動するとは、僕自身思ってもいなかった。
固有スキル事態は存在するからそれ自体は問題ないのだろう。
僕が一番懸念しているのは、転生者というこの世界にとって異質な存在だと見られる事が何よりも怖かった。
もし錬成という固有スキルがあまりに特殊なものであった場合、赤ちゃんの僕が森に居た時点でかなり怪しい存在であり、「転生者」という概念があるかは謎だが、関連付けられる可能性は否めない。
剣聖と呼ばれた英雄ならば、尚更だ。
勿論、赤ちゃんの時から記憶があったなんて事までは知りはしないだろうが。
オルセアを信じていない訳じゃない……これは僕の中にある転生者という事実が不安にさせている事だ。
この世界で暮らしていきたい。
だからこそ、この不安だけは払拭しておきたい。
僕の中でこの問題さえ解決すれば、安心して暮らしていけると思う。
僕はオルセアと対峙しながら、良い結果になる事を神に祈った。
「まさか三歳で固有スキルを使うとは……正直驚いたぞ?」
始まった。
やはり三歳で固有スキルを使うのは一般的ではないようだ。
「だが、前例がないわけじゃない。まぁ珍しいのは間違いないけどな」
……良かった。
単純に珍しいだけなら、そこまで異例という訳ではなさそうだ。
問題は、固有スキルの種類についてだ。
「アレンの固有スキルは、錬成だろう。これはかなり希少な固有スキルと言っていい。色々な固有スキルを見てきたが、錬成は初めてだ!」
マズい……どうやらかなり稀な固有スキルみたいだ!
不安が一気に跳ね上がり、心臓の鼓動が耳に直接響いてくる。
だがその不安とは裏腹に、オルセアの表情はなぜかにこやかだった。
「固有スキルは世界の四分の一の人しか持っていないものだ。そして固有スキルは使用者次第で変化するんだ!錬成が戦闘向きではなくてもな」
つまり、固有スキルを有している人も少ないし、錬成は稀中の稀………。
もはや異質な存在として見られてもおかしくはない。
何かニコニコしているけど、これは……終わったかもな。
愕然とする僕の肩をオルセアがポンと叩いて言った。
「アレンは神に愛されているな!そのスキル、大切にしなさい」
全身の力が抜けた。
どうやら僕が不安に感じていたことは取り越し苦労だったらしい。
赤ちゃんの頃から記憶はあるけど、この三年の間で手にできた情報はとても少ない。
この世界の常識や、理、情勢といった事は全くと言って差し支えない程知らないのだ。
そこから生まれた不安だったのかもしれない。
だがこれで安心して固有スキルを使う事ができそうだ!
と言っても何を錬成したいというのはないのだが。
ひとまずは何か生活で役に立ちそうな何かを作ってみるのも良いかもしれない。
だって……あまりに何もなさ過ぎるんだもん。




