ー2章ー 5話 「石刃の継承 ―選ばれし者―」
個々の特性が分かるという不思議な石。
僕の番になり石を握ると、強く白い光が石から放たれた。
それだけではなく、他の子たちが握った時には見せなかった反応まで起こっている。
握った石が形を変え出したのだ!
光が眩しくて石を直視できなかったが、掌の感触から確実に形を変えているのが分かる。
それはまるで僕の手に馴染むように変化しているように思えた。
まるで石が持ち主を選んだかのように。
光はやがて収束していき、その形状が見て取れるようになった。
僕の手に握られていたのは丸い石ではなく、小さな石刃だった。
なぜそうなったのか、全く分からない。
これが何を意味するのかさえ。
一瞬の沈黙の後、オルセアがゆっくりと口を開いた。
「アレン……その石はお前を選んだ。今からその石刃はアレンの相棒だ」
どういう事だ?
この石で特性が分かるっていうだけじゃなかったのか?
オルセアはこれまでずっと表情を変えなかったが、石が本来の反応を見せた事により少しだけ笑みを浮かべていた。
それでも自分の血を継いだ孫の中から、この結果が現れて欲しいと願っていたのだろうけど。
僕は手に握られた石刃を見つめながら、オルセアに聞いた。
「僕には何の特性があるの?」
石に選ばれたというだけでは、何の特性があるのか分からない。
ナイフといった感じの石刃から察するに、短剣を使える職業……シーフとかだろうか?
現代のRPG要素からすればそういう職業に当たるのだろうが。
「アレンの特性は、剣士だ」
……はて。
剣士にしては随分と心もとない長さなのだが、何か理由があるのかな?
「それはアレンが成長すると共に最適な形に変化するんだ。今はナイフのような石刃だがな」
この形はあくまで今の僕の力量に合わせたものって事らしい。
正直剣士になるなんて、微塵も考えた事はなかった。
だから護身用みたいな武器に変化したのか?
いずれにしても剣士としての修行をすれば、この石刃は剣に変化するかもしれないということのようだ。
だけど、何で僕が選ばれたんだろう。
ガルドたちは選ばれなかった事に少し落ち込んでいるよだった。
何だか少し申し訳ない気持ちになる。
「暫くそいつは使わずに持っていなさい。武器の扱いを知らないうちは、武器に心を飲まれてしまうからな」
剣聖と呼ばれた人の言葉は、とても重く神聖な響きがあった。
相棒として付き合うには、まだ僕の心がそれに見合っていないという事なのだろう。
まさかの展開ではあったが、僕らの進むべき道が決まった瞬間だった。
しかしまだ問題は解決していなかった。
そう、固有スキルの件だ!
状況からしてイノシシを閉じ込めた檻を錬成したのは明らかに僕だ。
固有スキルがこの世界に存在しているのは分かっている。
そしてどうやら戦闘向きではない事も。
だが、三歳の子供が固有スキルを発動した事例が果たしてあるのだろうか?
僕は不安な気持ちを押し殺しながら、オルセアの方をそっと見た。
「よし、それじゃ解散!アレンは少し残りなさい」
来た……いよいよ固有スキルについての審判が下される。
どうか変な結末にはなりませんように!




