ー2章ー 4話 「特性判定 ―白く輝く手の中で―」
イノシシをどうするのかは大工さんたちにお任せして、僕とオルセアは家の前にある広場に戻った。
オルセアは僕らの特性を調べると言っていたが、一体どうやって調べるというのだろうか。
疑問を抱えつつ広場に来ると、ガルドは土に埋まった大きな石をほじくり出そうと必死になっている。
正直何がしたいのか分からない。
だがそれが子供というものだ。
実に微笑ましい。
リシアとルナは近くの草むらで花を摘んでいる。
オルセアにでもプレゼントするのかな?
女の子らしい行動に自然と笑みがこぼれる。
「三人とも、こっちへ来てくれ!面白いことをするぞ」
オルセアの呼び掛けに、みんなが手を止め集まってくる。
「何をするんだろう?」と不思議そうな表情を浮かべる三人。
全員が揃ったところでオルセアは懐にしまっていた手のひらサイズの石を取り出した。
石には紋様が刻まれていたが、それ以外はごく普通の石といった感じ。
この石ころで特性が分かるのか?
何とも理解し難いが、オルセアが出来ると思っているならそうなのだろう。
「よし、それじゃこの石を一人ずつ握ってみてくれ。光った色によってそれぞれが持つ特性が分かる。少し早いと思ったが……大丈夫だろう」
言動からすると本来はもう少し年齢を重ねた時にやるようだ。
しかし石ころが光るとはどういう原理なんだ?
まぁそこは現代の常識で測ってはいけない部分なのかもしれないが。
オルセアはまずガルドに石を手渡した。
「さぁ、握ってみろ」
オルセアの言葉に促され、ガルドは石を握った。
すると石がぼんやりだが紫色の光を放ち始めた。
「おお!」と一同がどよめき出したが、オルセアの表情は変わらなかった。
紫色の光に納得していないのだろうか?
当のガルドは光った事にご満悦のようだが……。
「よし、ガルドは防御型だな。お前は盾がメインの職業が向いているぞ!」
なるほど、そういう事か。
光の色によって、個人の特性が判断できるというものだったのか。
紫色は防御の特性を示していると。
確かにガルドは赤ちゃんの時から今に至るまで、リシアに攻撃され、ルナに毎朝踏みつけられても平然としているからな。
納得の特性だ!
だが、オルセアの表情はこの結果に満足していなさそうだった。
次はリシアが石を握った。
すると赤い光を放ち始めた。
ガルドの時とは違う色……リシアにはどんな特性があるのだろうか。
「リシアは魔法の特性があるな。将来は大魔道士になるかもしれないぞ?」
リシアは凄く喜んでいたが、オルセアは未だ満足気な表情を見せない。
察するに、剣聖である血の繋がった自分の孫の中から、剣士の特性を持つ子供が現れるのを待っているのだろう。
だが、ガルドとリシアにはその特性はなかった。
残るはルナだ。
彼女は表面上おっとりしているが、内に秘めたものは中々のものであると日頃から感じている。
僕も彼女が剣の特性がある事を願いながら行方を見守ることにした。
「次はルナだな。さぁ、握ってみなさい」
オルセアはルナに石を持たせる。
ルナはそっと石を握った……すると、緑色の光がぼんやりと小さな手を染めた。
やはり他の二人とは違う色だ。
緑色が何の特性なのかは分からない。
だが色が違う以上、剣の特性である可能性は十分にあった……だが。
「ルナは回復の特性があるようだな。傷ついた人を癒し、道を切り開く鍵となる職業だ!回復職の特性は割合い少ないからな、誇っていいぞ!」
オルセアの孫は、全員剣の特性がなかった。
顔には出さなかったが、心中落胆しているであろう事は痛いほど分かった。
「最後はアレン、お前だ。握ってみなさい」
転生者である僕にも、何かしらの特性があるのだろうか?
この世界と何の関わりを持たない僕が、「特性なし」という結果になったとしても何ら不思議はない。
僕は恐る恐る石を受け取り、意を決して力強く握った。
すると目が眩むような白く強い光を放ち初め、石の形状が徐々に変わっていくのが掌の感触で分かった。
一体何が起こっているんだ!?




