ー2章ー 3話 「固有スキルという希望」
命は助かった。
それはとても喜ばしいし、異世界での生活がやっとこれから本格的に始まろうという段階で、終了しなくて良かったと言うのが率直な感想だ。
だが、その命を救ったこの檻。
意図した訳ではないが初期想像錬成なるものが発動し、イノシシを閉じ込めた。
錬成という固有スキルを持って転生したのは知っている。
だけど、これをどう説明すればいいんだ!?
この世界について知らない事の方が、圧倒的である。
錬成でなくても良いが、固有スキルなんてものが果たして存在するのか?
もしないとしたら、僕は異質な人間となってしまう。
不思議な空間で聞いた女性の声は、その事に関して何も言っていなかった。
……これはどう解釈したら正解なんだ?
この長くも短い時間の中で考えたが、答えは出なかった。
もう流れに任せるしかない。
下手な事を口走れば、良からぬ方向に話が進んでしまう可能性は否めない。
すると、僅かだが光明が見えてくる。
「この檻……僅かだが魔力の痕跡があるな。まさか固有スキルか!?」
オルセアは不自然に存在する檻を観察し、微量に残っていた魔力を感じ取った。
しかも固有スキルという言葉まで飛び出した。
これはイけるかもしれない!
間違いなく固有スキルはこの世界に存在している。
それはよくあるものなのか、稀にしかないものなのかは分からない。
だが、確実にあるという事はそれだけで救いだ!
「アレン、この檻は……お前が作り出したのか?」
当然そう言う問いがくるのは分かっている。
だが、もはや恐れる事は何もない。
この流れに乗って会話を成立させるだけで、この事態は収束するだろう。
「よく分からないけど、夢中で檻を思い浮かべたらこうなってたの」
嘘ではない。
自分に固有スキルが備わっている事を認知している以外は。
オルセアは僕をジッと見つめ、何かを言わんとしている。
この歳で固有スキルを発動させた事がマズかったのだろうか?
それとも固有スキル持ち自体が希少なのだろうか?
不安に押し潰されそうになりながら、オルセアの返答を待った。
すると、
「んー。戦闘向きではないが、物を生み出す固有スキルは希少だ。しかもその歳で魔力が微量ながら備わっているとは……」
どっちなのさ!?
怒られる様子はなさそうだけど、その反応の行き着く先がどこなのかサッパリ分からないじゃないか!
これでは不安が一向に解消されない。
僕は意を決して、この問題を解決するように口を挟んだ。
「固有スキルって……変なの?」
一番知りたい事を聞いた。
この世界における固有スキルのあり方を。
そもそもあまり人に知られてはいけないのか、僕の固有スキルが希少だから隠しておかないと悪い人に悪用されてしまう危険性があるのか……どうなのさ!
「アレン、家に戻ったら子供たち全員の特性を調べてみるぞ。まさかこんな早くやるとは思ってなかったがな!固有スキルの話はその後だ」
オルセアは何となく楽しげな表情を浮かべていた。
それに僕たちの特性を調べると言っているが、一体どうやって調べるんだ?
僕の知りたい答えは、もう少しだけ先の話になってしまった。




