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ー1章ー 11話 「村の始まりとニワトリの朝」

とんでもない話を聞いてしまった。

そんな理不尽なことがあっていいのか?

正直、「狂っている」という言葉しか思いつかない。


王都には一体、どれほどの中流階級以下の人たちが暮らしているのか。

その人たちは王都を追われ、路頭に迷ってしまうではないか!

何もできない僕は、ただ胸の奥が熱く、苦しくなった。


「すぐにではないにせよ……この先どうしたらいいんだ」


大工さんの一人が悲痛な声で呟いた。

当然の反応だと思う。

「そういう事ならこうします」なんて、すぐには言えないはずだ。


「なら、ここに住めばいい」


オルセアは一言、そう言った。


いや待て、ここは森の中だよ!?

僕らは良いとして、大工さんたちは仕事があるからね?

住むのはいいとしても、仕事がなくなっちゃうじゃないか。


「オルセア様……お気持ちはありがたいのですが」


そうだよね! それが正しい反応だと僕は思う。

ぷるぷると震える足を踏ん張り、窓枠に指を引っかけながら話の続きを聞いた。


「この森に村を作ろうと思ってる。ここは王都領の外だ……他国とも関わりのない場所。

いずれそうなるなら、受け入れ場所は必要だろ?」


なんとも大胆なことを言ってのけるオルセア。

しかし、それは理にかなっているのかもしれない。


この森はどの国にも属していないという。

それなら村を作ろうが文句は言われないはずだ。

王都を追われた人たちが住む場所を失うのは確実。

それを見越して村を作ろうというのか!


――流石は剣聖と謳われた英雄様だ。

考え方が一味違う!


僕は足の限界を迎え、ペタンと尻もちをついた。

それでも気になるので、窓から聞こえてくる話に耳を傾けた。


「なるほど……それなら確かに大工は必要ですね」


大工さんはオルセアの提案から、他の国民も救えるのではないかという思考に変わっていた。


「家を建てる代わりに、しばらく家賃をもらったらどうだ?

それなら建てた報酬が手に入るから、生活していけるだろ?」


オルセアは柔軟なビジョンを示した。

建てた分に見合う金額になるまで家賃で支払ってもらえば、対価として問題ない。

移り住む人も安価で安住の地を手にできるというわけだ。


「そいつはいいアイディアだ! 分かりました、私たちはこの森でお世話になります」


家を建てる材料は森にいくらでもある。

僕は王国の恐ろしさを知りながらも、オルセアの描いた未来図に胸を踊らせた。


こうしてはいられない。

足腰を鍛え上げ、一日も早く歩けるようにならなくては!


どうせここまでバレてしまったんだ。

少々予定が早まっても驚きはしないよね?

きっと、そういう子もいると思ってもらえるはずだ。


とはいえ今日は足が笑っていて、これ以上のつかまり立ちは無理そうだ。

僕は明日に備え、ゆっくり眠ることにした。


――翌朝。

「コケコッコー!」と聞き覚えのある鳴き声が、朝日が昇りきらない家の近くで響いた。

朝になったのは分かる……だが、なぜニワトリがいるんだ!?


牛の次はニワトリですか!

全く……だから一体どこから現れるんだって!


オルセアは僕らが寝ている間に何をしているんだ?

ニワトリの鳴き声に驚いた赤ちゃんたちは、負けじと一斉に泣き出す。


いや、張り合うところ違うからね……。


オルセアの食生活がどんな感じなのかは知らないけど、タンパク質を補給したかったのかな?


それにしても迷惑な鳴き声だ。

賑やかなのは悪くないのだけれど。


今後これが続くと思うと……いや、慣れるしかないか……はぁ。


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