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お寺がだめなら神社だ。
評判のいい神社がある。
少しだけ遠いが。
病院に行き父と母をあわただしく見舞うと、神社に向かった。
着いた。
神主に面会を求めた。
会った神主が言った。
青白い顔で春先だというのに汗をかきながら。
「これはこれは、またとんでもないものを」
俺は言った。
「幽霊でしょうか」
「いや、幽霊や怨霊と言ったたぐいのものではありません」
「なんですか」
「それがなにかは、さっぱりわからないのです。よくないもの、とても強い力を持ったものと言うのはわかるのですが」
「そうですか」
「どうにかしてあげたいのはやまやまですが、私にはどうしようもありあません」
神主はそう言うと、逃げるように俺の前からいなくなった。