3/7
3
その時だ。
ポケットが赤く光った。
いや正確にはポケットの中のものが光ったのだ。
「ええっ」
先輩ともども驚いていると、何か聞こえた。
はっきりと聞こえたのだが、それが何かの音なのか、人間の声なのか動物の泣き声なのかも判別できなかった。
「うわわわっ!」
先輩は奇声を発したかと思うと、いきなり走り出した。
「ちょっと」
俺は追ったが、途中で見失ってしまった。
――どこいったんだ。
いくら探しても見つからない。
――あのまま帰ったのかな。
そういうことにしておこう。
それがいい。
俺はとにかくもう帰りたかったのだ。
出口を目指して歩く。
そしてもうすぐ出口というところで、見つけた。
一枚の紙。
先輩が手術台の下で見つけたものだ。
再度見なおしてみても、やはり何が書かれているのかわからない。
図形なのかイラストなのか文字なのかさえも。
俺はその紙をその場で破り捨てた。