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「うわっ」
「おおっ」
「こりゃあ」
懐中電灯がなにかを照らすたびに、先輩が声を上げる。
うるさいことこの上ないが、気をまぎわらすことにおいては役に立っていた。
「もっとおもしろいところはないのか」
面白いところだと。
死体安置所でもあればいいのだが、そんな場所は俺は知らない。
そもそもこの病院にあったのかどうかもわからない。
俺が知っているところで面白い場所といえばあそこしかない。
俺は案内した。
そこに着いた。
「ここは」
初めて来た先輩にもわかったようだ。その場所は手術室だ。
そうとしか見えないし、実際にそうなのだ。
「へえ」
先輩は気に入ったようで、あちこち見始めた。
舐めまわすように時間をたっぷりとかけて。
しまいには手術台の下まで覗き込んだのだ。
「なんじゃこりゃ」
何か見つけたようだ。
しかし手術台の下なんかに、何があるというのだ。
先輩が手術台の下で何かごぞごぞしていたかと思ったら、しばらくして出てきた。
手に何かを持って。
見れば一枚の紙。
そこにはなにかが赤く書かれていたのだが、それが何なのか、図形なのか知らない外国語なのかもわからなかった。
「おい、これはなんだ」
「わかりませんねえ」
「ふん、使えないやつだ」
先輩はその紙をポケットにねじ込んだ。