F8
「いやー、思ってたよりも早かった」
あの後、無事に街の北辺りに着いた。
早くても30分ぐらいかかると思っていたけど、たった15分で着くとは。
(体内時計)
「身体能力強化」、だいぶ凄い。
「・・・でも、疲れた」
身体能力が強化されているとはいえ、普段のように疲労はするようだ。
「ぶっ壊れって程じゃないみたいだ」
「疲労もしない」とかだったら、なんかズルしてるような気になる。
「ま、異世界にズルとかズルじゃないとかないけど」
とはいえ、45分のところを15分で着くってだけでも、かなりぶっ壊れだと思う。
「戦闘のときは重宝しそう」
炎出せるとか、雷出せるとかよりも、こういうバフとかの方が、
割と役に立つかもしれない。
俺は、戦闘するのが待ち遠しくなった。
「でも、これからどこ行こうか?」
特にやることも無くなった。
でも、何かを忘れているような気が・・・
「・・・そういえば、俺、ぼっちだ」
そう、仲間だ。
異世界に来たら、大体仲間集めて冒険に出るって相場が決まってる。
「なら、俺も仲間を集めるか」
でも、どうやって仲間を集めよう?
なんかこの近くに人が集まる場所は・・・
「あ、そういえば、『ユニオン』があった」
ユニオンって確かギルド的なところだったから、仲間を集められるかもしれない。
俺は、街の南に向かった。
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「やっぱ、あんまデカくないよな、この建物」
「ユニオン」の前まで来た俺は、少し驚く。
ギルド的な施設なら、もうちょっと大きくても良いと思う。
「あと、『ユニオン』って街の真ん中にあったんだな」
「ユニオン」の近くにあったマップを見てみると、現在地が、街のど真ん中になっていた。
「ってことは、最初にこの街に来たとき、俺、見逃してたのか」
確か、南から入って、おばあさんと出会って、南に戻ってここに着いた・・・
なんでこんな派手な施設を見逃すんだろう。
「いや、たまたまこの道を通っていなかっただけだ」
見逃していたと言う事実をなぜか認めたくない。
「まぁいいや、早く仲間集めよ」
俺は、気分が沈んだまま、「ユニオン」の中へと入った。
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