ぐるぐるワーミングアップ
青空が広がっていおり、鳥がさえずり、花が咲く。
「フォークのマーク」「左上の矢印」と描かれて、「P」「日本平」と書かれている緑の看板の前に、女の子がしゃがんで看板を見上げている。
女の子の横に、物流ロボットがひっきりなしに往来する。
女の子が看板を数十秒にらんで、飽きたように、急に物流ロボットの流れに駆け出す。すると、女の子に近づくとともに、物流ロボットが一気に止まった。止まった物流ロボットに、空で飛ぶカラスが鳥の糞を落としたりする。女の子がこうして何の意味もなく、ただ楽しく感じただけだった。
ここは道路だったようだ。だが、今は物流ロボットでしか入れないロボット専用レーンとなっている。女の子が廃タイヤの山でフェンスを越えて侵入してきた。
看板より先に進んだら、取り壊されていない建物の中に、ほこりが溜まっているテーブルと椅子が散乱している。
女の子がちょっと閉めてあるドアをどこかで拾った木の棒でこじ開けて、商品棚だった白いケースに向かう。
ケースの上からしなびた焼きパンを1つ取って、包装を破して味わう。
「手越、授業、まだサインしていないけど?」
突然、女の子の脳内から声が届いてくる。女の子が掛けてあるヘッドセットからの声だ。女の子は事の大小を問わず真面目に接する委員長がきらい。
「風邪をひいたから、あとで録画を再生してチェックを入れるよ」
女の子が適当に噓を付いて、ヘッドセットの電源を切った。作られて何十年も経った焼きパンがおいしいか?本人に聞かなければ分からないだろう。
飽食して、数十分歩き回って、女の子がようやく建物のバックアップ電源を見つけた。電気を供給するソーラーパネルも傷んでいなかったようだ。
すると、女の子が侵入した経路を引き返して、灰色の金属製ケースを先の建物に運んできた。
金属製ケースを展開したら、高性能パソコンだった。
女の子がヘッドセットを建物のバックアップ電源とそのケースからのパソコンと繋げる。
「こうやってやっと禁断のゲームを遊べるのだろう…」
繋いですぐにも遊べるわけがない。パワーオンセルフテストと数分待たされた。その後、やっと制作会社、ゲームのタイトル、メインメニュー画面が出て、利用規約とかの確認画面が数回スルーしてようやく「名前を入力してください。」の画面が出た。
「名前…名前…本名をつかいたくないなぁ…」
女の子が余目で商品棚に向いて、先食べた焼きパンと同じ包装に、「焼きパン&お菓子本舗御竹屋」と書かれている。
女の子が「ミタケ」を入力した。そして、女の子がすぐにもめまいがして、目が覚めたら、ゲームの世界にいた。