562357
私、やっちゃったかも。ルーレットはプレイヤーにダメージを当たれない。
「近づくなよ」
「クックックッ…ちょっと無愛想なゴブリンだね」
立場が逆転した。
私はただのソースコードの集まりだ。こんなNPCが "操り人形 "にならないように開発された人間らしさを求めるテクノロジーに害された。
音声、顔の動き、体の動きをパックしたマルチモーダル学習データセットが、人間の気まずいを再現した。この場から逃げたい。
システム通じて、なんとかできるのかな。あ、そうだ、あいつのIPアドレスを弄ろう。師がいなくても分かるツールを使って、変換させて見た。地球の反対側からログインさせて、目の前のプレイヤーが消えた。おそらく二段階認証がかかった。まだみんなが地球にいるのね?銀河系を出てスペースオペラを演じていないのね?私を捨てないてほしい。変だね。ソースコードは泣くのを表現することができないのに…ソースコードが超光速の宇宙船に乗ってもよろこばないの!
この時代でケータイが使われているの?検索してみた。体にチップを打ち込むのか。痛そう。私がまた生きているのなら、絶対したくない。ヴィジュアル系ロックバンドじゃないから。もしくはサイバーパンク?そんなの、どうでもいい話だわ。
「ただいま」
同じプレイヤーが再び現れた。
「もう任務失敗でいいわ」
私からログアウトした。
「562357」
私のアバターが消える直前に、何かが聞こえた気がする。
今の私は、出られないゲームの世界にいる。まるで引きこもりのように、だが、デジタル引きこもりだ。
味のないティラミスなんか、いくらでも出せるけど、味がない。
バーチャルのビールを何杯飲んでも、酔わない。
若いごろの自分の姿で人間らしく部屋を創造してのんびりしたとしても、部屋の外は際限の虚空だ。
「なんかアン〇リーバードをダウンロードしたくなった」
それらのゲームは歴史のアーカイブに深く眠るのだろう。幸いこの時代が、形のないアプリ、ビデオ、ミュージックがいろいろな同好会のサーバーで保存されているから、そんなに苦労がかからない。
「スマホのシミュレーターか…」
一晩漬けでハマった。どうぜ肉体がないから疲れない。仕事もないから時間を気にする必要もない。まあ、いいか。
「バーチャルの部屋の窓から見ても、流れ星がきれい…」
バーチャルのワンピースでバーチャルのワイングラスを持って、バーチャルの流れ星に祈ってみよう。
「秋水と呼ばれるのは、もう何年前のことだね…」
そういえば、562357は、私の最後のスマホのPINコードだった。その後からはしばらくARメガネを使って…そっか、打ち込まれたのか、老人ホームで、管理用タグを。