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 よく分からない真っ暗な場所にいる。

 おおい、これどうなってんだ!

 体も全然動かない……はっ、まさか拘束されてる?

 やばい、なんとしても抜け出さないと。

 でも身動きが取れないんじゃ何もできや…………いや。


 俺は閃いた。

 身体の周囲に粉塵をまとわせ、大爆発を起こした。

 どこにいるのかは分からないが、これでワンチャン!



「ふぅ、なんとなかったか」


 ようやく光が目に入った。

 良かった、なんとか脱出できたみたいだ。流石は俺様。

 でもここは一体どこだ?

 なんだか細かい瓦礫がいっぱい散らばってるみたいだけど……布やガラスの破片的なのもあるな。うわ、熱で溶けちゃってるし。どこかの建物だったのかな。


 危機を脱したのは良いが、まるで状況がつかめない。


 俺は周囲を俯瞰すため、例の如く浮遊魔法で宙に躍り出る。


 そして下を見てみた。

 俺がいた場所を爆心地として周囲が大きく損壊していた。やはり建物の中にいたらしく、それをまるごと吹き飛ばした形だな。爆発の影響は数十メートルに及んでいた。

 さらに高度を上げてみれば、至る所にぎっしりと建物も見える。

 ああ、やっぱりここは街だったのか。


「でもなんで俺は拘束されてたんだ? 建物ってことは……まさか壁に埋まってたのか? いや、もうそれしか考えられない。ははは、なんて馬鹿なんだ俺は、そういやその可能性を失念してたわ」


 間抜けな話だった。

 確かに転移先を細かく指定していたわけではない。

 じゃああれか? 俺は見ず知らずの街に来るやいなや、いきなり大爆発テロをかましたやばい奴ってことか? ああやっちまったな……でも仕方がないじゃないか。いきなり暗い場所で身動きが取れなかったら誰だってもがきたくなるもんだろ?


 俺は仕方がないと自分に言い聞かせ、とりあえず元いた場所に降りた。


「さて、一発どでかいの貰っちまったが、本来の俺の目的を果たさないとな。えーっと、戦闘力最強のやつと戦うんだったよな? どこに行った?」


 俺がここまで来たのは俺の力を試すためだ。

 そいつを倒し、俺のこの世界での最強を証明する。

 最強を目指すことが、今ところのなんとなくの俺の目標なのだ。


「あれ、おっかしいな。戦闘力三千なんちゃらのやつがいないぞ……? 絶対そいつの近くにワープしたはずなのに……」


 周囲一帯をいくら探しても、少し離れたところに戦闘力三百くらいのが一人いるくらいで、他は有象無象の雑魚ばっかだ。おかしい、なんでこんなことに。


「……もしかしてだけど今の爆発でやっちゃった説はないか? うわ、十分に考えられるな。嘘だろ、対戦相手が適当な攻撃で一発ノックアウトなんて……やばい、俺最強すぎる。薄々気づいてたけど、俺ってもしかしてガチでチート級の――」


「そこの者! 動くなッ!」


 俺ががっくりきていると、突如として声がかかった。

 見てみれば、鎧を来て槍のような武器を持った男ども三人がいた。


「こ、この爆発はなんだ! お前は何か知っているのか!」


「答えろ!」


 男たちは俺の方を明らかに警戒している。

 誰なんだこいつらは……

 戦闘力を測ってみる。

 左から三十五、四十二、十五だった。


「えっと、すみません。あなた達は一体誰なんでしょうか」


「お、俺たちのことはどうだっていいだろ! こちらの質問にだけ答えろ! そこで何をしている!」


「お、俺は見たぞ! そいつが宙に浮いて、ゆっくりと降りていくのをな!」


 男の一人がビビった様子で俺に指を突きつけてくる。

 ああ、よくわからないけどなんだかとても面倒なことになってる気がする……

 どうしよう、なんか鎧っぽいというか兵士っぽい感じの武装してるし、もしかして街の治安を取り締まってる人たちだったりするのかな。だとしたらこんだけ派手に吹き飛ばしといてまずい。器物損壊……どころか殺人の容疑で逮捕されてしまう可能性がある。そうなれば俺の異世界生活は無事、ジ・エンドだ。


「ま、まさか魔道士か……!?」


「空を移動するなんて風魔法、宮廷魔道士レベルの使い手だぞ……! こ、ここは援軍を」


 男たちの一人がどこかに行こうとしていた。

 仲間を呼ぶのだろうか。

 させない。


「悪いが死んでもらう! レーザービーム!」


 俺は例の如くビームを放った。

 ギュイイイインと放たれたまばゆい超破壊力のビームが男どもにまっすぐと伸びる。

 男たちはあっけなく飲み込まれ、焼失した。

 しかしそれがいけなかったのだろうか。


「なんだ……」


「これは……」


 俺のビームの光に釣られてか、元々の爆発の様子を見に来たのか、周囲がにわかに騒がしくなってきてしまった。やばい……めちゃくちゃ目立ってるじゃん俺。こんなところで犯罪者のレッテルを抑えれる訳にはいかない。確かに悪いことはしたのかもしれないが、これはしょうがなかったんだ。でも世間はそんな俺の言い分を聞いちゃくれないだろう。

 くそう! 最悪だ。なんでこんなことになっちまったんだ!

 いや、冷静になれ俺、まだ間に合う。ここは一旦ワープで逃げよう。そうすれば犯人は闇の中。事件はお蔵入りとなる。俺はまた新しい場所で人生をやり直せば良い。


「下がれ、衛兵だ!」


 だがどうやら世間は俺を許しちゃくれないようだった。

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