第94話 落ち着いた日々
「ひぁっぴう゛ぁぁすでぇいてぅーゆー、ひぁっぴう゛ぁぁすでぇ――」
「ちょっと待ってねね様、ネイティブ風に言おうとしたところであまりできてない……」
「あれ?」
「あぁ……、2人とも何をなさって……」
そう、今日はハッピーバースデイ! レイナちゃんの9才のお誕生日!
本当は国の休日にしてみんなでお祝いをしたかったのだが、さすがにそれは良くないと言うことで多数の反対意見をもらい、最重要会議という名の私の泣き落とし作戦を経て中止となった。
この世界では誕生日に小さなパーティーはするものの、わざわざ毎年人を呼んで大々的にパーティーをすると言うことはない。
ただ、5の倍数の時は一大イベントだ。自身の家にたくさんの人を招いて盛大なパーティーを開催する。それが通例となっているそうな。
でも今日はレイナちゃんまだ9才。なので大々的なお祝いはしない。私たちも朝こうやってお祝いするくらいで、別に何か変化があるわけでもない。少し夕食は豪華になるかも。
「って、本当に何やってるんですか。さっさと着替えて下さい」
「はい……」
星のサングラスに付け髭、三角帽子などをかぶって今日一日の仕事をしようと思っていたのだが、フィネメイゼは厳しい。
「そういえば世界情勢も思ったより早く落ち着いてきたね」
「そうですね。これは相当異例な早さかもしれないです。私たちが相当暴れましたから、どこの国も敵対するのではなく友好関係を取る方向に舵を切ったようです」
建国してから数年。正直少なくても5年くらいは国内外含めて混乱すると思っていた。
実際小さな混乱はある物の、おかしいくらいに物事が上手くいっている。上手くいきすぎているのかもしれない。
理由はわかってる。
(あんた手を加えてるでしょ)
(ちょっとね~)
(神のちょっとと私たち人間のちょっとは大分違うから)
まあ、そういうことだよね。
ここ数年で、大陸の情勢は大分変化した。最大勢力であった帝国は衰退。大陸真ん中を支配していた4国はいくつかがこのニシゾノ王国に併合。一気に中央の支配権を我々が握った。
フィネメイゼの予想では、ある程度落ち着いている今、この春から本格的に外交が始まるのではと言うことだった。
まだ立場を決めかねている国ももちろんあるが、小規模な国々はどちらも友好関係を取る姿勢。大陸北西部にある小国の連合体が接触してくるのではないかというフィネメイゼの予想だ。
大陸北西部は、古より寒さや資源の乏しさなどが原因で、少数民族達がそれぞれ集落を作って生活をしていた。
魔法技術が発展し、発展していったその集落はそれぞれで小国を成すようになり、いくつかの争いを経て小国連合という形で緩やかな国家連合を形成している。
一国一国では弱い力も、集まれば強大な力になる。国こそは違う物の、手を取り合ってともに成長し、大きな国々と共存してきた連合体だ。
そういう小国連合は、確かに連合にはなっているものの、あくまで国が違うので有事の際になると混乱が発生しやすい。そのため、多くの国と友好関係を結んでいる。おそらく私たちも友好関係を結ぶことになるだろう。ということだ。
私たちとしても小国連合と関係を築くことは決して悪いことではない。
小国連合の大半が非常に寒い地域のため、そこに生息する生き物の毛皮が非常に暖かい。
私たちの国も冬になると非常に寒くなる。部屋を暖めるために燃料を大量に消費するわけだが、まず服を暖かい物にすれば燃料の消費が少なくなって冬の備蓄の量を減らせる。
それに毛皮は装飾品やカーペット、ソファーなどにも使えて非常に便利だ。
他にもそれぞれ独特の文化でコミュニティーを成してきた小国は、面白い文化がたくさんある。
それらに触れて、良いところはこちらに輸入するというのも大事だと思うのだ。
「私としては海に面する国と貿易を多く行いたいなぁ」
「どうして海ですか?」
「ビーフオアフィッシュでフィッシュを選ぶ女だからだよ」
「??? よくわかりませんが、お魚が好きと言うことですね」
「そういうこと」
私は確かにお肉も好きだが、海鮮の方が好きだ。魚は煮ても焼いてもおいしい。生でもおいしい。
でもここじゃあ魚の生食はあんまり出来ないけど。それでも魚はおいしいからね。
「やっぱり我が国も外交はしっかりとしていった方が良いですね」
「そりゃあそうだよねぇ。正直丸投げできる人がいたらとてつもなく楽なんだけど……」
「既に私に丸投げしてませんか?」
「フィネメイゼも領地経営とかあるかなって思っただけだよ~」
「ふーん……」




