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第91話 そんなことより……

 冬の間、民は基本的に家にこもることになる。さすがに冬明けにフィネメイゼが戻ってきたときに大飢饉発生なんて言うことになったら溜まったものじゃないわけ。基本的にフィネメイゼの周りにいる者は平民から上がっている者が多い。ていうかこの国ではほとんどの人物が平民上がりだ。

 すこし別の国で貴族だった人も混じっているだろうけど、この国ではそんな過去の肩書きなどは無に帰す。みんな元々は平民。

 だからこそ、現状この国は民の意見を聞いて、民に寄り添った運営が出来ている。だからこそ民は豊かで、もちろん国もそれに伴って豊かになっていくわけ。


 でだ、フィネメイゼが立てた代官、メルレル男爵は、元々この国が出来る前からここら辺で商売をしていた商人で、相当大きな商会だったらしい。とはいっても、ここまで大きくなった理由は先代の代表が頑張って事業を拡大したからで、彼の功績ではない。

 ただやっぱり商人の子。口だけは達者だったようで、しかも隠蔽が上手いと来た。今回の着服であったり悪事に関しても、見事に隠蔽がなされている。神がいなかったら気がつかなかったと思う。

 だからフィネメイゼも私も彼の悪しき性格に気がつかなかったわけだ。私のやらかしでもある。




 親がこれなら子もこうと言ったものだろうか。メルレル商会は前代表で現在は男爵家当主であるカネトール・メルレルから変わってアホタレイ・メルレルが仕切っている。

 コイツがなかなかのアホでね、メルレル商会は現在規模が縮小しつつある。これは私調べなのだが、どうやらアホタレイは妻がいるらしく、その妻がものすごい美人らしい。

 その妻を愛するあまり、仕事を放棄して一生イチャコラやっているのだとか。だから商会が回らなくなっていって、事業が縮小しているとか。


 いやアホタレ!




 でも資産というのはやっぱりあるようで、着服したお金と、前からあった資産でメルレル一家はものすごい豪遊生活をしているとか。


「さぁて、まずどこから手をつけようか」


 ただ男爵位を剥ぐだけでは面白くないわな?

 ていうか私としては何も損害を被っていないわけだ。うちは最低限決められた税だけ納めてくれれば基本的には税を上げようが下げようが大きく口を出すことはないとしている。

 そりゃあ不当につり上げるとかはダメだよ?

 だから税を変更するときには私の承認がいるようにしたの。何か条例を通すときは王宮に書類を提出するようにしているが、それは必要に応じて私の元に回すようにと言うことにしている。

 たとえば砂場で砂のお城を作ってはいけないみたいなわけの分からん法律とか、すべて私の元に回ってきたら溜まったもんではないわけ。そういうのは私に来る前にそっちで判断して承認して良いからねっていうこと。

 まあ砂場で砂のお城を作ってはいけないとか言う法律あったらさすがに私ではなくとも止めるでしょ。


 で、メルレル男爵は税を不当に上げた。もちろん報告は無しでね。

 これはダメ。こちらに届けてきた書類では変更はなかったと言うことになっている。これに関してはフィネメイゼがしっかりと調べて先ほど報告してきている。


 私としては、私の国で、しかも私が信頼するフィネメイゼの領地で悪事を働いて民を苦しめているアイツをそう簡単に許したくないわけ。

 でも一応冬支度自体はしっかりしていて、民を傷つけているわけでもなさそうだ。これで町の女衆らを侍らせて好き勝手やっているとかであったらもうダメなんだけど、さすがにそれをされると死刑にせざるを得ないので、私の面白みがなくなる。


 今そこら辺の新たな悪事はフィネメイゼが調査中だから、続報を待つことにする。






「で、やってたと」

「はい。本当にうちのアホタレが申し訳ございませんでした」

「あはは、何言ってんのさ! アホタレイじゃなくてカネトールの方ね!」

「あの、えっと、そうじゃなくて、あー……」


 何か多少の食い違いがあったようだが、どうやら女衆らを侍らせていたらしい。ダメだこりゃ。


 もう1匹いたら100匹いると思えみたいな感じで出てくる出てくる悪事の数々。

 ダメだこりゃ!


「うーん、死刑! これはダメだね!」

「はい、大変申し訳ございません。私の監督不届きで……。

 私もこの責任をとってしばらくは領地で謹慎を――」

「「ちょっと待って!!」」


 これはマズい! レイナちゃんもこの気配を嗅ぎ取ったのか説得に加勢してくれるらしい。


(私のお菓子を準備してくれる人がいなくなっちゃう!)


 とかレイナが思っているが、そんなことを思っているなどとは本人と神様以外知らない。




「ダメだよ、責任をとるならもっとしっかり働いて貰わないと」

「そうだよ! 誰が私のお菓子……、じゃなかった。これで謹慎したら人手不足でしょ!」

「ちょっとまって、レイナちゃんもしかしてお菓子のためにやってる?」


 私がそう問いかけると、知らない知らないとかいいながら大げさに首を振っている。


 レイナ、しばらくおやつ没収!




「うぇぇ……、私のお菓子……」

「あはは……(私、どうすればいいんだろう……)」


 フィネメイゼが今自分が置かれている状況と、これからとらねばならない行動を完全に理解することが出来ない。あのフィネメイゼが! 理解できないわけだ。

 この執務室のカオス具合は伝わるだろう。


「とにかく! 冬が明けたらすぐにメルレル男爵家全員王宮呼び出して、その間フィネメイゼは領地の復興を頼んだよ。

 私が転移魔法で全部やるから」

「いや、陛下のお手を煩わせるわけには……」

「だめ! フィネメイゼが長期間開けたらもうこの国の政治経済崩壊するからね!? もう、メルレルマジで本当に重罪」


 メルレルが王宮にやってきたら、すぐに裁判担当のアンジェリカに引き渡して処遇を決めて貰う。あとは新しい代官とかどうするか問題あるよなぁ……。


 ていうか待てよ? 今フィネメイゼって何歳だ?


「フィネメイゼ、今何歳?」

「そろそろ18になります」

「……婚期やばい?」

「……あ、気がつかれましたか」


 一応この国も王国で、貴族で回しているわけだから政略結婚とかあるわけね。この世界での結婚の平均年齢は15歳から20歳。何なら20歳で結構遅い。通常は15で成人を迎える前から相手を見つけて、成人と同時に結婚するとか。

 で、今フィネメイゼは18歳。マズいよね?


 この国ではもちろんパーティーとかある。貴族の誕生日会とか出席するわけ。

 で、フィネメイゼももちろん招待が来ているわけ。なんならこの国の中ではフィネメイゼは相当な高嶺の花。

 なんて言ったって私の直属の部下で、常に国王、王女、フィネメイゼという3人で執務室にこもって仕事をしているわけ。超重鎮。重鎮オブ重鎮なわけで、みんな狙っているのだ。

 では何で結婚してないか?


 忙しすぎてパーティーに出席できないから。


「ちょっとまって、フィネメイゼどうするの? さすがに結婚するでしょ?」

「うーん、そうですね……。もう私は出来ないものとしてみていますよ」


 そういいながらどこか遙か彼方を見ているらしい。


 うん、メルレル死刑確定で、それより先にやるべきことがあったわ。


 フィネメイゼが結婚しなかったら、メルデミシス侯爵家今代で途絶えるぞ。




 ん? ちょっとまって……?

 フィネメイゼと私同い年だよね?


 ふむ……。私もやばい?

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