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第88話 未開の森⑤

 あのアリが温厚な性格で良かった。心の底からそう思う。

 刺激しなければ害はない。私たちはアリを刺激しないよう、この暗く鬱蒼とした森の中を歩いて行く。

 私の知っている森に響く音は、ざわざわ~みたいな、さわさわ~みたいな。そんな感じの自然な音なんだけど、この森にはアリの歩くカサカサと言った音が響いている。

 環状に覆う山脈がこの音を反響させているのだろうか。それともただ周りにアリが多すぎるだけなのだろうか。四方八方からその音は聞こえてくる。

 多分後者なんだろうな。




 動画だったら早送りとかカットされるんだろうなぁと思いながらひたすらあるく。ただ歩く。


「ねね様、疲れた~」

「うん。私も。こんなことなら空の上から攻めれば良かったね」


 冒険気分を味わいたいからと森に降りたが、別にわざわざ森に降りる必要は無かった。今更ながらそう思う。

 別に空からでも巣の破壊くらいなら出来るし、アリを殺すくらい触れてなくても簡単だ。私の魔力を舐めないで欲しい。


「あー、めんどくさい。もう冒険良いかなぁ……。私が望んでいた冒険じゃない」

「えぇ、ねね様ったら飽き性だね」

「そう。やっぱり物事には旬という物があってね、残念ながら未開の森の私の中での旬はとっくに過ぎ去ってしまったのだよ!」


 と、いうことで、もうサクッと終わらせますか。

 アイテムボックスから絨毯を取り出して上に飛び乗る。結構歩いたけどやっぱり空を飛んだ方が早いね。

 ここから森の中心部までは飛んで20分ほど。ていうかあの足場の悪い森の中を仏に歩いて行ったら太陽出てたかも。私としたことが頭が悪かった。


「巣をどうやって破壊するの?」

「ふっふっふ、私に考えがある」


 私は地球にいたとき、部屋でごろごろーっとしながらいろいろな動画を見ていたわけ。そんな動画の中にとある物があって、いつかやってみたいなぁって思っていたわけ。

 まさかそれがここでかなうとは!


「うーん、不安……」

「大丈夫大丈夫!」

「ねね様の大丈夫は大丈夫じゃないよぉ……」






 そうこうしている間に、私たちは巣の上空にやってきた。巣の上は日が当たるようになっていて、そこから湧き出る有象無象のアリたちに月明かりが反射している。

 戻ってくるアリたちは動物を抱え、それを必死に巣へと運ぶ。時にはメートル級、そんな大きな獲物を運ぶためなのか、アリの巣の入り口は相当大きくなっている。

 普通は外で分解するんじゃないのかなぁとか思いながら私はそれを見ている。まあ保存するには丸の状態の方が良いとか、そんな感じなのだろうか。

 私はアリではないのでそこら辺は分からない。ただ言えるのが、溶岩の流し甲斐があるということ!!


「ふっふっふ、やってきました! もー、もしこの光景をライブ中継できたら大バズ間違いなしなのに~」

「えっと、森を焼かないでね?」

「わかってるって、多分大丈夫だから!」

「ねね様の大丈夫は不安だよ」


 私がごろーっとしてるとき、流れてきたのはアリの巣に溶かした金属を流し込むアレ。アレやってみたいなぁって思っていたわけ。

 こんな大きな巣、下まで溶かした状態で流れないだろうとか思うのだが、この世界はファンタジーだよ? そんなもん魔法でどうにかなるわけ。

 じゃあそれくらいの金属はどうやって準備するのかって? もちろん魔法だよ。

 私ね思うわけ。なんか金属が枯渇して大変~! とか言ってるけど、魔法で作れば一気に解決なわけよ。金属くらい土魔法で作れるんだよね。

 まぁ、土や岩はまだしも、金属ともなると必要な魔力量がとてつもないから、そう簡単に作れるわけでは無いんだけどね。だから実用化はされてない。

 じゃあ私はどうかって?


 余裕だね。






「うーん、下降りた方が良いかなぁ……」

「やめた方が良いと思う……」

「だよね」


 下に降りたら絶対攻撃される。いくら温厚な動物でも、こちらから危害を加えないと攻撃してこないとしても、巣の近くに行ったら攻撃されるに決まっている。自然界というのはそう言うもの。

 ならば上から流そう。あー、魔法って便利! 


(神、私の魔力だとどのくらい金属出せる?)

(ん? あー、多分この巣は埋められると思う。でも終わったら近くの村で数日休んだ方が良いかも)

(野宿じゃダメ?)

(野宿でも良いけど、相当魔力が減るからしっかり休んだ方が良い)

(りょ~)


 どうやら魔力は足りるらしい。まあ言い方的に結構ギリなのかな?


(いや、全然ギリじゃない。余裕だけど魔力が減るから念のためって言う話)


 ギリじゃないらしい。さすがはドラゴン級。






「狙いよし! 魔力~、よしっ!」

「あはは……」


 大げさに動き回る私を見ながら苦笑いをするレイナちゃん。あぁ、最近レイナちゃんが冷たい……!

 なに、共感性羞恥とか感じてるのかな……?


(あぁ、見てるこっちまで恥ずかしいよぉ)


 正解である。




「じゃあ流すね~」


 魔法でドロッドロに溶かした金属を、アリの巣めがけて投入。(※絶対に真似しないでください)


「うぎゃ、何か降ってくるぞ!

 ワーホントダ!

 なんだあれ!!」


 そうアフレコをしながらどんどんと流していく。巣を守ろうとアリたちが近づいてくるけど、強大な力の前に何もすることは出来ず、巣の中にどんどんと真っ赤な液体が流れていく。


「あぁ……」


 レイナちゃんがため息を漏らす。ごめんねレイナちゃん。こんな残虐な様子を見せてしまって。






「よし、駆除完了!」

「よし、じゃないよ!! 山火事山火事!!!」


 案の定、森が燃えました。


 その後必死に消火をしまくったのは秘密だよ。

 ……消火の方が時間掛かった。

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