第73話 最終決戦へ
ここからは私の仕事だと入ったものの、騎士たちが完全に帝都に侵入してからじゃないと動きにくい。
ここでいきなり城に侵入しても話がうまく進まない。できるだけ相手を追い詰めてからこういうのはやらないと。
「私もずいぶん王様らしくなってきたかな?」
ダンジョン探索の為にアイテムボックスの中に入れていた野宿用品一式を先ほどまでいた大きなテントの横に広げ、木でできた椅子に座りながら呟いた。
前方に見えるケルスレイド帝国の帝都チェンメンの内部の様子は外からでは見ることができない。
ただ、すべての門の前に私たちの国の騎士団が張り込んでいるため、中から外に出てくる商人、逆もしかりの姿は確認することができない。
おそらく帝都は今食料の危機が発生しているのではないだろうか。
敵国の兵が街のすぐそこまで迫ってきているという不安、物流が滞ることによる経済活動の停止、悪化する治安。
商人が来ないのだから食料なんてあるわけがない。
帝都は都会だから畑なんてものは存在していないだろう。あるのは僅かな備蓄のみ。
ただなぁ、文句を言うならあんたの国の皇帝にでも言ってくれ。こっちは宣戦布告を受けて正々堂々と戦っているだけなのだから。
今は敵国の心配をしている暇などない。
ひとまず、ここまで飛んできたために魔力が半分ほどまで減ってしまっているので、アイテムボックスの中に入れていた簡易ふかふかベッドをテント内に置いて今日は休むことにする。
もう季節は秋。いずれ冬がやってくる時期、いくらここら辺が私たちの国より暖かいとは言っても朝は冷える。
緊張からか少し早く目が覚めてしまった私がテントの前で焚火の準備をしていた時、その一報は届いたのだ。
まだ太陽は顔を出していない。
戦争は夜だからと言って止まるものではない。
「先ほど、我が騎士団から帝都に侵入が完了したという一報が届いた。これより最終決戦が始まろうとしている!」
私のテントの隣のひときわ大きなテント、今回の作戦の本拠地、その前にある開けた空き地に待機組の兵たちが集まっていた。
「昨日、国王陛下がここを訪ねてきてくれた!」
メルデミシスがそういうと、兵たちは一気に声を上げ、辺りは歓声に包まれた。
「我らには国王陛下が付いている!我が国に敗北の2文字は存在しないッ!!」
「「「「「うおぉぉぉぉおおおお!!!」」」」」
「「「「「国王陛下万歳!!」」」」」
地面が振動するほどの大きな声、メルデミシスの演説のうまさには鳥肌が立つ。
「よし、じゃあこれより私は敵国の皇帝に話をつけてくる。皆の者、後は頼んだぞ!」
私はそういうと、一晩で回復した魔力を一気に放出しながら城へと向かって飛んで行った。
「ねえねえ神、私かっこよかった?かっこよかったよね!!」
(あ~、そうだね~)
「ちょっと!なんでそんな棒読みなの!!」




