第50話 畑に来たよ!
この日、私たちは王都のすぐ近くにある、大きめの農園に来ていた。
「陛下、殿下、本日はお越しくださりありがとうございます。」
「お疲れ様です。本日はよろしくお願いいたします。」
農場に着くと、その農場を管理している農業大臣のゲルツが私たちを出迎えてくれた。陛下とは私のことで、殿下とはレイナのことだ。
この農場では、りんごや桃などの果物のほかに、ダイコンやニンジンなどの根菜類、キャベツやホウレン草などの葉野菜など、多種多様な食用植物を栽培している。
主に王宮の食事に回される野菜たちで、普段私たちがお世話になっている農場だ。
私やレイナの体はここでできているといっても過言ではないだろう。
「本日は、どのようなご用件で?」
「いや、ちょっと農業を見てみたいとレイナが言うもんだから。忙しかったのならごめんね。」
「いやいや、そんなことはございませんよ。陛下や殿下に来ていただけて野菜たちも喜んでおります!」
このゲルツとかいうおじいさんはすごくいい人だ。
一応私は王宮で雇う人たちには全員、神様の力を借りたりして以前の生活やその人を取り巻く環境などをしっかりとチェックしているのだが、この人は善行ばかりをしているいい人だ。
王宮内のいろいろな人の相談に乗っていたり、どのような人でも分け隔てなく接し、みんなから愛されているこの国全員のおじいちゃんだ。
メインはフィネメイゼだけど、私も時々ゲルツさんに相談をすることがあるよ。
いつも優しく答えてくれてとてもありがたい。
「レイナちゃん、畑はどう?」
「すごい!すごく広い!」
レイナは孤児院にいた時に畑を見たことがあるらしいのだが、最近は王宮で働いているために、あまり見れていなかったようだ。
孤児院にいた時は小さなトマトなどを栽培するのにハマっていたらしく、本人曰く、土のにおいが落ち着くらしい。
でも、庭から土を持ってきて執務室に置くのはよろしくないということが少しずつ分かって来たらしく、最近は土のにおいをあまり嗅いでいなかったようだ。
「殿下、何か収穫してみますか?」
ゲルツがそう聞くと、レイナは目を輝かせながら「いいの!?」と答えた。
そして、楽しそうに手をつなぎながら畑の奥の方へと歩いている。
私はその様子を見ているだけで心が浄化されていく気分であった。
リアルが忙しいため、少し短めです。
次回の投稿は11月2日です。




